​新戦力起用でチーム底上げに向けた第一歩 ~サマーリーグ2015 東部大会リポート~

  info_category1.gif2015/07/06



 歓喜の優勝から一段上のステージを目指し、2015/16シーズンが始動した。連覇に向け、さらには選手個々のレベルアップを図るべく、レッドロケッツはインドアバレーの夏の風物詩、サマーリーグに臨んだ。
 東部と西部にチームが分かれ、昨年まではその上位チームが決勝リーグを戦う方式が取られていたが、今季からは東部、西部それぞれで大会は終了。例年であれば、予選では1、2年目の若手主体で臨み、夏場の鍛錬期を経て、少しずつ固まり始めたチームの戦力を試す実戦の場として決勝ラウンドを戦う、というのが出場チームの思惑でもあった。
 昨年のサマーリーグ決勝大会では優勝。ミドルブロッカーもバックアタックなどさまざまな攻撃に入る新たな布陣が奏功したことで「リーグにつながる自信を得られた」と副キャプテンの近江は言う。確かに結果から得られる収穫はいくつもあり、チームに自信を与える大切な要素ではあるが、それ以上に大切なのは「チームの底上げ」と「チーム力の向上」だと山田監督は言う。
「スキルや体力面はこれから夏場にかけて本格的な鍛錬期を迎えますが、今シーズンのテーマとしてチームが強化してきたポイントもある。現時点でできること、できないこと、チャレンジしたけれど失敗してしまったことなど、試合という実戦経験を通して若手選手にも経験を積んでほしい。そのための貴重な機会だと思って臨みました」


 
 チームの底上げを図るべく、新たな戦力を積極的に起用する。その象徴が2年目のセッター、奥山だ。
 レッドロケッツのセッターとして、これが初めての公式戦。「最初は何も考えられないぐらい緊張していました」と言う19歳の司令塔を周りもサポートする。同期の佐川、柳田はもちろん、ミドルブロッカーの上野も「試合経験がない分、いろいろと不安だと思うので、積極的に『こっち持ってきていいよ』とトスを呼んだ」と言うように、全員で奥山をサポート。惜しくも予選グループリーグは柏、デンソーに敗れ4位通過となったが、最終日の仙台ベルフィーユとの7位決定戦では、試合を重ねて来たからこその成果が試合のいたるところで見られたのも事実だ。
 第1セット、相手のサイドからの攻撃に苦しみながらも、上野のサーブから流れを引き寄せ、要所では白垣、柳田の両レフトが得点し、25-21と幸先よく先取。第2セットは相手のサーブに押され、なかなか攻撃を組み立てられず苦しい展開を強いられたが、それでも終盤、14-20と6点差をつけられたところから、白垣、奥山、上野の連続ブロックポイントで2点差まで追い上げる粘りを発揮。このセットは19-25で落としたものの、最終セットにつながる勢いを再び取り戻し、第3セットは常にレッドロケッツが先行。中盤、終盤に連続得点を挙げ、最後は上野のジャンプサーブがノータッチエースとなり、15-10、セットカウント2-1で最終戦を勝利で飾った。
 結果だけを求める大会であれば、いくら若手主体とはいえ7位という結果に物足りなさを感じる人もいるかもしれない。しかし、全員の底上げを図り、若手に実戦の機会を与えるサマーリーグでは、得られる成果や収穫は決して結果だけに限ったことではない。
 たとえば、セッターをサポートしよう、というスパイカーの攻撃参加に対する意識もさることながら、何とかボールをつないでチャンスをつくろう、とばかりに全員が必死で粘り強くボールを拾う。特に、若手の目立つコートの中ではベテランでもある白垣やリベロの鳥越といった面々が、懸命にボールに食らいつく姿はチームに活力を与えた。
さらに、山田監督がここまで重点的に取り組んできたというサーブも相手のレシーブを崩す場面も何度も見られ、上野、小山は競り合った場面でサービスエースを奪うなど、練習の成果を示した。


 
 そして何より大きな収穫は、新たなチームをつくり、土台を築く今、選手たちそれぞれに「自分が引っ張ろう」という意識、チームのために尽くそうという意識が高まっていることだと山田監督は言う。
「相手からすれば、ここをマークすればいいという軸ではなく、全員が軸であるチームをつくりたい。今、まさにそれぞれが軸になるために、責任感を持ってチームに貢献する、それぞれが自分の責任を背負おうとしているのがサマーリーグの3日間を通して感じられました」
 実際に、サマーリーグの試合を通して力強いスパイクとサーブで存在感を示した3年目の上野は「1日目、2日目は自分のことで精一杯になってしまったのが反省点」としながらも、セッターの奥山をリードする姿勢や、さまざまな攻撃を展開。「これまでは引っ張られてついていくだけだったので、これからは自分が引っ張っていけるように、チームの軸になれるようになりたい」と力強い言葉を残した。
 夏場の鍛錬期を終えれば、またすぐに新たなリーグが開幕する。その日に向けて、もっと強いチームになるために。サマーリーグにはキャプテンとして臨んだ近江が言った。
「若手選手には今回の経験を生かしてほしいし、これからもっとチームの底上げをしないといけない。全日本やユニバーシアードでチームを離れている選手が戻って来た時に焦るぐらい、今のチームで練習を重ねてもっと強くなりたいです」
 経験を力に。次の目標を叶えるための、新たなシーズンが始まった。







貴重な経験を積んだ19歳の司令塔

 レッドロケッツで初めての公式戦。思えば、高校3年時の春高バレー以来、これが1年半ぶりの実戦だった。
「(入社直後の)黒鷲旗の直前にケガをしてしまったので、試合に出ること自体がものすごく久しぶり。先輩や同期、みんなが助けてくれたのが本当に心強かったです」
 旭川実業高校時代には春高などキャリアを重ねて来たが、「高校3年のインターハイが終わってから本格的に始めた」と言うように、セッターとしての経験はまだまだ浅い。試合に出ることが一番の力になるポジションで、入団当初から不運なケガに見舞われ、なかなかそのチャンスをつかめずにいたが、2年目の今季、ようやく実戦出場の機会が訪れた。試合を重ねるうち、今度はここを使ってみよう、次はこっちに上げてみよう、と試行錯誤を繰り返しながら3日間のサマーリーグを戦った。不安と緊張を抱える19歳の司令塔を支えたのは、チームメイトのサポートだ。
「最初は何も考えられなかったけれど、試合をする中で『これは効くな』と思う攻撃を積極的に使えるようになりました。まだコンビも合っていないので、競った展開やラリー中にセンターを使うのは怖かったけれど、上野さんが『もっと持ってきていいよ』と言ってくれたので、怖がらずに使うことができました」
 何より大きな支えになったのが、同期の佐川、柳田の存在だ。1年目からVプレミアリーグでも出場機会をつかみ、柳田は新人賞を獲得するなど目覚ましい活躍を遂げる姿を奥山はコートの外から見ていた。誰よりも「がんばれ」という気持ちがある一方で、一緒にコートへ入ることができない悔しさもあった。
「初めて3人一緒にコートへ入ることができて、前衛で3人が並ぶこともできた。(3人が前衛の時は)絶対に点を取ろうね、と言い合って臨んだので、試合中もすごく頼もしかったし、嬉しかったです」
 昨シーズンは、秋山と山口、2人のセッターが支え合い、助け合いながら攻撃を展開し、頂点に立つ姿を見て「セッターの大切さ」を改めて思い知らされた。今季は自分が先輩を支えられるように。
「経験はまだまだ全然ないし、プレーは向上させなければならないことばかりですが、気持ちを強く持って、チームの雰囲気を少しでも高められるように、しっかり頑張ります」
 弾ける笑顔で、更なる飛躍を誓った。

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