家高七央子選手&三上晃右コーチ ユニバーシアード日本代表インタビュー

  info_category3.gif2015/07/27



7月4~11日、韓国・光州(クァンジュ)にて行われたユニバーシアード大会で、NECレッドロケッツからは家高選手が日本チームのキャプテンとして、また、三上コーチもチームスタッフとして参加した。日本はアメリカ、ブラジル、フィンランドと対戦した予選リーグを1位で通過。ファイナルラウンドではコロンビアに勝利し、ロシアには敗れたものの、3位決定戦でブラジルを下して、1997年以来、18年ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得した。家高選手と三上コーチが大会を振り返り、手にした収穫や世界大会だからこそ感じた思いを語ってくれた。
 
――ユニバーシアードでは、日本チームの一員として18年ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得されました。率直な感想からお聞かせください
家高 正直、18年ぶりということは考えていませんでした。今、できることを一生懸命やろうと、チームで取り組んできた結果だと思います。3位になって銅メダルをいただいても、最初はあまり実感がありませんでしたが、周りの人からの「おめでとう」という言葉をかけてもらうにしたがって、3位になった実感や、うれしいという気持ちが湧いてきました。
三上コーチ 予選のグループ戦は、アメリカ、ブラジル、フィンランドとの試合でしたが、まずはそこがひとつの山場でした。各チームの情報がほとんどなく、どれぐらいやるのかも正直わからなかったので、一発勝負のような形で初戦のアメリカ戦を迎えることになりました。そこで選手たちがうまく対応して乗り切ってくれて、ブラジルとフィンランドにも勝つことができました。試合を重ねるごとにチームがまとまって行けたので、こういう結果につながったのかなと思います。


 
――家高選手は、大会中のご自身のパフォーマンスをどう評価していますか?
家高 ユニバの合宿が始まった段階では、膝を少し痛めていて正直、万全ではありませんでした。でも、なんとか全試合に出場し、できる範囲の中でしっかりできたかなと思っています。とくに最終戦のブラジルとの3位決定戦は、個人的に調子が悪かったのですが、そのときは同じ学年のセッター田中(美咲/JTマーヴェラス)や大学時代の恩師でもある藤井監督が、いろいろと声をかけてくれたおかげで乗り越えることができました。
三上コーチ ナオ(家高選手)は膝のコンディションが良い状態とは言えませんでしたが、キャプテンという自覚の中、ドクターの助けを借りながら、全6試合をコートに立って、チームメイトを引っ張っていました。これは彼女にとっても非常に大きい経験になったと思います。
 
――お二人は2年前、近江選手や山口選手とともに前回のユニバーシアード(ロシア・カザン大会)にも参加されています。その経験は生かされましたか?
家高 前回はあかりさん(近江選手)など、実業団の方がとても多く、その方たちがすごくて、私自身はできることが少なかったというか、本当についていくだけという感じでした。今回は逆に、実業団選手が少なく大学生が多いチームで、前回の経験からも大学生は社会人の人に話しかけづらいと思ったので、できるだけ私の方から話しかけたりして、積極的にコミュニケーションを図ることを心がけました。
三上コーチ 今回の優勝はロシアでしたが、前回のカザン大会もロシアが優勝し、ブラジルが2位に入っていました。そのときの材料をもとに、事前の合宿では選手たちにロシアやブラジルの映像を見せました。当時からメンバーはほとんど代わっていましたが、ロシアやブラジルはこれぐらいやるんだぞというのを、みんなにわかってもらいたかったのです。選手たちは、映像を見たときは「すごいな」「自分たちで対応できるのかな」という感じでしたが、とくにブラジル戦においては、相手のイメージを頭に入れていたためか、落ち着いて自分たちのプレーをしてくれました。
 
――家高選手は、そのあたりの実感がありましたか?
家高 世界のトップチームはやはり高さがありますが、事前合宿で三上さんから映像を見せてもらって、へんな先入観ではなく、良い意味で頭に「世界はこれだけ高い」という映像が残っていました。ですから練習でも、「今の攻撃だったらフェイントも叩かれて落されていたよね」といった声が自然に出ていたので、とてもイメージしやすかったです。


 
――三上コーチは、日本チームの藤井監督から具体的にどんなことを求められていたのですか? また、大会期間中、現地ではどのように動いていたのでしょうか?
三上コーチ 藤井監督からは「選手が要求してきた映像や情報を提供してあげられるように」と言われていました。大会では、イタリアで開発された『データバレー』というソフトを使って、日本の試合のデータを打ち込んだり、他チームの映像を撮影したりするのが主な仕事になります。ただ、今回は4会場あって、100キロ以上離れている場所もあったので、自分が行けない会場は、外国チームのアナリストと情報を共有したり、他国のチームバスに乗せてもらって移動することもありました。そんなときは完全にアウェーな立場になるんですけれどね(笑)。また、集めた情報を日本チームで共有するための準備もありますから、編集にはかなり時間を要しました。
 
――大会では6試合を行いました。印象に残っている試合やチームはありますか?
家高 一番は今大会で唯一負けたロシアです。また、グループ戦と3位決定戦で対戦したブラジルも印象に残っています。ロシアは、グループ戦やファイナルラウンドのコロンビア戦では抜けていたスパイクが通用しなかったり、他の国に比べてブロックがとても高くて、なかなか対応し切れなかった思いがあります。5月のモントルーバレーマスターズというスイスで行われた大会で、シニアの全日本が、今回のユニバーシアード代表が9人入っていたロシアに勝ったのですが、どうやって勝てたのかという疑問を試合が終わってから強く感じました。
三上コーチ 体格で欧米勢に劣る日本人選手がやらなければいけないのは、ディフェンスです。相手が打ってくるボールに対して、しっかり粘り強くつないで、その中で勝負に行けるところは勝負に行こうという形で進めようと考えていました。でも、ナオも言ったように、ロシアは高さだけでなく、ディフェンスもレベルが高かった。身長が高い選手やチームというのは、ディフェンス力に欠けることが多いのですが、ロシアはしっかりとボールの下に入ることができるなど、別格のチームでした。日本チームもロシアにだけは完敗だったと思います。
 
――ブラジルの印象はいかがですか?グループ戦と3位決定戦で対戦し、いずれも勝利を収めました。
家高 個々の選手がパワーもあるし、最初はどんなことを仕掛けてくるのかと警戒しましたが、意外とスパイクが抜けた印象です。グループ戦では自分たちのブロックとレシーブの関係性も良く、チームワークの面でも相手は少しムラがあった感じでしたし、自分たちはリズムで思い切り行こうと話していて、狙い通りにできました。また、3位決定戦もすでに一度対戦しているので、簡単には勝たせてくれないだろうと、一人ひとりが十分理解していましたから、気持ちの面ではしっかり引き締めた状態で挑むことができた試合でした。
三上コーチ ブラジルは2位だった前回大会とメンバーが全員入れ替わっていて、チーム力としてもそのときより少し落ちていたような気がします。
 
――日の丸をつけて戦うこということに関して、特別な思いはありましたか?
家高 私は大学のときに大学選抜のチームで海外に行ったことがありますが、日本の代表として参加したのは前回と今回のユニバーシアードだけです。日の丸をつけるというのは、やはり重みがありました。
三上コーチ 私は前回と今回のユニバーシアードの他、上野や佐川らがいた2012年のアジアジュニア選手権や、島村や鳥越がいた昨年のアジア大会にも参加させていただきました。国際大会を何度経験しても、その都度、監督ややり方が変わったりするので、今回のメンバーでこうして結果を残せたのは、自分の中でも良い経験になりました。


 
――ユニバーシアードは総合競技大会です。他の競技の日本人選手と接点はあったのですか?
家高 選手団はアスリートビレッジという選手村が拠点でしたから、他の競技団体とはよく会っていました。「頑張って」とか言われることもあったり、自分たちも「頑張ってください」とか言ったりしましたね。大会の序盤で柔道や体操の選手がメダルをたくさん獲っていて、そういう結果が共有スペースの掲示板に貼り出されるんです。それでバレーボールチームも「うちらもここに貼り出されよう」といった話をしましたし、本当に頑張らないといけないという気持ちになっていました。
 
――今大会を通じて得たこと、学んだことはありますか?
家高 即席チームでしたから最初は少し不安だった部分もありました。でも、大学生も各チームで中心になっている選手ばかりで、「自分がやらなくちゃいけない」という気持ちが自然に出てくる選手たちが多かったので、私がキャプテンをやっていてもやりやすかったです。そして、実際にいろいろなタイプの国や選手との試合では、日本のVリーグでは体験できないような高さやパワーを肌で感じることができ、今後の自分のキャリアを考えると、貴重な経験になったと思っています。
 
――10月にはV・プレミアリーグの新シーズンが開幕します。このユニバーシアードでの経験をどのように生かしていきたいと考えていますか?
三上コーチ 国内リーグはユニバーシアードとは別物と考えています。NECは前回の2014/15シーズンで10年ぶりに優勝することができましたが、いまだ連覇をしたことがありません。NECの新時代を作っていくためにも2連覇を成し遂げられるように、みんなで頑張っていきたいです。
家高 1年目の昨季は、怪我や手術、リハビリなどで苦しい時期もありましたが、このユニバーシアードで得られた経験を、次のV・プレミアリーグでチームに少しでも貢献したいという気持ちだけです。今は基礎を取り組んでいる時期ですが、私はすべてのプレーが課題なので、一つひとつクリアしながら、チームメイトと切磋琢磨しながらチーム力を上げていきたいです。前回優勝したことで、NECは追われる立場かもしれません。でも、三上さんも言ったとおり、NECはまだ連覇がなく、今季はそこにチャレンジするという目標でやっていますので、チャレンジャー精神を常に忘れずに、あと2ヶ月半を過ごしていきたいと思います。
(構成・小野哲史)





 

 

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