• トップ
  • インフォメーション1
  • レッドロケッツ応援記 ~10/18 対トヨタ車体クインシーズ戦 相手の気迫の前に、2015/16シーズンは黒星スタート~

レッドロケッツ応援記 ~10/18 対トヨタ車体クインシーズ戦 相手の気迫の前に、2015/16シーズンは黒星スタート~

  info_category1.gif2015/10/19



 いよいよ幕が開けたV・プレミアリーグの新シーズン。しかし、例年の開幕とは大きく異なる点が一つだけある。それはレッドロケッツが、「ディフェンディングチャンピオン」としてこの日を迎えたということだ。勝負の世界ではよく、勝つことよりも勝ち続けることの方が難しいと言われる。実際、レッドロケッツも、前回覇者として挑んだ過去4度のシーズンは、いずれも栄冠を勝ち取ることができなかった。
ただ一方で、今季、連覇に挑戦できるチームはレッドロケッツを除いて他にない。その栄誉を胸に抱いていたからこそ、新キャプテンとなった島村は、きっぱりと「目標は2連覇です」と言い続け、チームも『絆~歴史を創る~』というスローガンを掲げて、日々厳しいトレーニングを積んできたのである。東京体育館のスタンドを真っ赤に染めたサポーターも、昨季以上にレベルアップしたレッドロケッツの姿を信じて疑わなかった。


 
 オープニングポイントは、近江がサーブレシーブをきっちり返球し、先のワールドカップで活躍したルーキーの古賀が強烈なスパイクを放った。続くポイントも古賀がバックアタックを突き刺し、2-0。最高の立ち上がりではあったが、そこから逆に相手に押し込まれてしまう。山口が「初戦ということで少し硬さがあったかもしれない」と振り返ったように、5連続失点を喫し、白垣のフェイントや長いラリーからの大野の速攻で一旦は10-10に追いついたものの、12-12からの6連続失点が痛かった。トヨタ車体は新外国人・ポリーナ選手を中心に、その攻撃力はたしかに破壊力があったが、選手たちは「自分たちのミスで相手を乗せてしまった印象」(古賀)を持っていたという。
 21-25で最初のセットを落とすと、イエリズがスタートから入った第2セットも流れに乗れないまま、4-12。試合後に「コンビネーションもちぐはぐしてしまったし、サーブとブロックの対応も、もう少し相手の良さを封じるような状況を作りたかった」と語った山田監督は、この時点で早くも2回のタイムアウトを使い切ることになる。
 それでも、ここからの粘りはレッドロケッツの真骨頂であり、選手たちが見せた意地だった。山口が意表を突くツーアタックを決めると、大野に代わって投入された家高が右手一本で相手スパイクをシャットアウト。古賀はバックアタックや巧みなフェイントで相手に的を絞らせず、選手たちはなりふり構わぬ必死さで徐々に点差を詰めていく。



20-22の場面で起用された鳥越のサーブから、白垣と近江のスパイクでついに同点とし、23-23で迎えたポイントでは近江の執念とも言える〝右脚〟でのレシーブが島村の得点を生み出した。トヨタ車体・ポリーナ選手の強烈なジャンピングサーブを鳥越が身体を張ったレシーブでつないだり、島村が起死回生のブロックを決めたりと、レッドロケッツはデュースに入って計3度のセットポイントを握ったが、そこからのあと1点が遠く、結局、27-29と振り切られてしまった。
「相手はNECに対して、120%で向かってきます。その中で、メンタル的にブレないで戦えるかどうかが、まず必要だと思います」
 山田監督がそう話していた通り、この日のトヨタ車体には、何とかしてレッドロケッツを苦しめようとする気迫が漲っていた。試合後には古賀も「自分たちが受け身に回ってしまい、攻め切れなかった」と反省したが、果たしてレッドロケッツサイドに、チャレンジャーとして立ち向かっていく強い気持ちがどれほどあっただろうか。もちろん、選手たちは諦めることなく、第3セットからの巻き返しを誓ったはずだが、勢いがあったのは間違いなくトヨタ車体の方だった。
 白垣のスパイクや大野の速攻で序盤は互角の展開だった第3セットも、「単調な攻撃になることが多く」(山口)、5-5から相手に抜け出されてしまう。6-10から古賀の連続得点や、リベロ岩崎の二段トスを白垣が打ち切って1点差まで迫ったものの、追いつけずに逆にリードを広げられた。悪い流れを断ち切るべくセッターを奥山に代え、家高も投入されたが、リズムを取り戻すまでには至らなかった。19-25。チームの歴史に新たなページを刻もうとスタートした2015/16シーズンは黒星発進となってしまった。
 
 試合後の会見で、島村は「自分たちにミスが出たり、相手への対応が後手、後手に回ってしまいました。もっとできたのかなと思っています」と悔しさをにじませた。山田監督は選手たちを会場の片隅に集め、いつになく険しい表情で「甘さがある」と言い放った。その言葉は選手に向けられたものであると同時に、監督自身に向けられたものでもあった。
「今日はNECらしさを出せず、非常に悔しいです。昨季は前のシーズンが5位ということで4強入りを逃していましたから、危機感を持ち、不安を残さないように練習に打ち込んで、それを毎試合ぶつけることで勢いを生むことができました。今季も改めて優勝という目標でやっていますから、昨季とは違った、追われる立場としての危機感を持たなければいけません。そういうことに動じないだけのものをしっかり準備していく必要性を感じました。選手たちに不安は出るでしょうが、それを練習の中でどれだけ消化できるかがカギになる。そういう意味で、良くなることはまだまだたくさんあると思います」(山田監督)
 当然のことながら、この敗戦をなかったものにすることはできない。しかし、これを良い薬と捉え、次週からの戦いに生かしていくことはできる。開幕戦で悪い部分をすべて出せたと前向きに考えよう。レギュラーラウンドの終着点は約3ヶ月後、長いシーズンは今、始まったばかりだ。






~開幕戦でプレミアリーグデビューを飾る~
 その瞬間は、レッドロケッツが2セットを先取され、第3セットも10-16と大きくリードされた場面でやって来た。いわゆる〝2枚替え〟で、正セッターの山口に代わる形でコートに立った。7月のV・サマーリーグで公式戦デビューは果たしていた奥山だが、これでV・プレミアリーグ初出場を飾ったことになる。
「交替を言われたのがいきなりだったので、ちょっと緊張しましたが、ベンチの先輩たちに『思い切りやってこい!』と言われたので、気持ち的には思い切ってできたかなという感覚があります」
 その言葉通り、頭の中は冷静で落ち着いており、「相手セッターのいたサイドが低かったので、まずはそちら側に打ちやすいトスを上げることを心掛けました」と、自分がやるべきことは整理できていたようだ。
 ルーキーイヤーだった昨季は怪我に苦しんだ。同期入社の家高、柳田、佐川、とりわけ同学年の柳田と佐川が試合で活躍する姿を見て、誇らしく思いながらも、そこにわずかな焦りと悔しさも持っていたという。故障も癒えた2年目の今季は、夏場にしっかりと練習を積んできた。「パス力をつけるために筋トレに取り組みましたし、セッターとしての経験が浅いので、先輩たちにアドバイスをもらいながらコミュニケーションを図ることを意識してやってきました」と話す。この日は相手に傾いた流れを引き戻すことは難しかったが、短い時間の中、丁寧なトスで奮闘する奥山の必死さは、スタンドを埋めたサポーターにも伝わったに違いない。
「自分の売りは高さ。セッターをやる前はアタッカーでしたから、巧さという点はこれから磨いていかないといけませんが、高い位置でのトスや攻撃的なトス、それと気持ちで上げるようなトスを大事にしていきたいです」
 ファンの多くが、昨季限りで現役を退いた前主将・秋山のような役割を求めるかもしれない。つまり、たった一つのトスで苦しい状況を打開し、チームを立て直すジョーカー的な役割だ。もちろん、それができるに越したことはないが、奥山は彼女なりのセッターの形を作り上げていってほしい。キャリアの浅さは、イコール、伸びしろの大きさである。レッドロケッツのチームもさることながら、セッター奥山の今後の成長にも期待せずにはいられない。
(取材・文:小野哲史)

アーカイブ