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レッドロケッツ応援記  ~平成27年度天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会リポート 準優勝で2015年を締めくくる~

  info_category1.gif2015/12/28

 まだシーズンの最中とはいえ、2015年を締めくくる、年内最後の公式戦。開催中のV・プレミアリーグで、なかなかつかみきれずにいた流れや勢いをつかむべく、この大会を新たなきっかけにしよう、と選手たちは高いモチベーションを持って臨んだ。
 まず今大会、チームにとって大きな光になったのが、柳田の復帰だ。開幕直前のケガで戦線離脱を余儀なくされ、リハビリをしながらチームのサポートに回って来た。「選手生活の中でこんなにボールに触らなかったのは初めてなので苦しかった」と言いながらも、当初の予定よりも早く復帰を果たし、久しぶりの実戦の場が天皇杯・皇后杯。抜群の跳躍力を生かし、躍動する姿に山田監督も「チームの勇気になった」と復帰を歓迎した。



 さらに新たな戦力として、存在感を発揮したのがミドルブロッカーの家高だ。
 今季はワンポイントに限らず、試合出場の機会も増え、攻撃面だけでなくサーブでも得点するなど、要所での活躍が光ったが、天皇杯・皇后杯ではスタメンとして出場。準決勝の日立リヴァーレ戦では、高い打点からの切れ味があるクイックや、ライトに走り込むブロード攻撃など、多彩なプレーで得点を重ね、山田監督も「サイドアウトを確実に切ってくれただけでなく、これまで取り組んできたことの成果を存分に発揮してくれて頼もしかった」と高く評価した。
 準決勝の日立戦、特に光ったのはBクイックだ。
 相手のブロッカーを見て、しっかりコースを打ち分ける。スピードばかりを重視して、動き全体をコンパクトにしてしまうのではなく、持ち味である大きなフォームを生かしたBクイックは、相手コートに何本も突き刺さった。まさにこれこそが、今シーズンを迎えるにあたり、重点的に取り組んできたプレーであり、自身の成長の証であると家高は言う。
「チームとしても『Bクイックの精度を高めること』が課題だったので、山口さんと常にあうんの呼吸で入れるように徹底的に練習してきました。サワ(大野)もジョン(島村)も、代表に選ばれる注目選手だけど、2人に頼るだけでは自分もチームも成長がない。チーム内競争が激戦だからこそ、絶対に負けたくないと思って必死で練習してきました」



 皇后杯でチャンスをつかんだ家高の活躍で、準決勝はストレートで日立を打破。決勝戦は、昨年のV・プレミアリーグ決勝と同カード、久光製薬スプリングスとの対戦となった。



 天皇杯・皇后杯では初の決勝進出となったレッドロケッツに対し、久光製薬は4連覇がかかる大会。プレッシャーもあるが、その中でどう勝つかということを熟知しているのも事実だ。
 それが顕著に表れたのが決勝戦の最初のプレー。久光製薬・古藤のサーブだった。「絶対に自分を狙ってくるのがわかっていた」と自身も振り返ったように、1本目のサーブ、ターゲットとなったのは白垣だ。V・プレミアリーグでは攻撃型のウィングスパイカーとして攻撃面の比重が高いが、天皇杯・皇后杯ではレセプションにも多く参加した。さらに、古藤が打ったコースはリベロの鳥越と白垣の間の絶妙なスペースで、「自分が行けるかな、任せようかな、と迷ううちにボールが来て、弾いてしまったことで気持ちが一気に引いてしまった」と白垣が振り返るように、得点以上に与えられたダメージも大きく、連続失点から始まる苦しい展開を強いられた。
 何とか打開策を試みるも、序盤から大量リードを許し、常に追う展開となればそれだけストレスもかかる。普段通りのプレーがなかなか取り戻せないまま、13-25で第1セットを失ってしまった。
 ようやく本来の形を取り戻したのは第2セットに入ってから。山口のサービスエースや古賀のスパイクなどで得点し、15-11とリードして中盤を迎える。このまま一気に押し切りたいところだったが、終盤になり、再び久光製薬の勢いが加速。またも古藤のサーブから連続失点を許し、第1セットに続いてこのセットも久光製薬に与えてしまう。
 第3セットも好調のイエリズや島村にボールを集め、得点を重ねるも、なかなか相手を振り切ることができず、接戦のまま試合が進む。17-17と同点で迎えた終盤、久光製薬のサーブから連続失点を喫し、22-25、追い上げながらもあと一歩が及ばず、ストレートで敗れ、準優勝に終わった。



 どんな勝負も負けていいものなどない。たとえ内容に満足できたとしても、負ければ悔しさが残り、それが次の戦いへ向けた糧となりエネルギーになるものだ。まさに、その点で上回っていたのが、決勝の久光製薬だったと山口は言う。
「前回のリーグの決勝で負けた悔しさを絶対に晴らしてやる、という強い気持ちを感じました。でも、これで終わりじゃない。リーグでリベンジの機会はあるので、そのチャンスを絶対に生かしたい。次は私たちがリベンジし返したいです」



 リベンジを誓うのは、山口だけでなくチーム全員が同じ。その思いを、キャプテンの島村が代弁した。
「負けたことは悔しいけれど、この負けはチームにとっていい負けだったと思えるし、追いつけないわけじゃない。年明け、もう一度チームを作り直して戦います」
 この大会でチャンスをつかんだ選手たちの成長も、現状の課題が明確に露呈したことも、それを克服するために何をすべきかも、何より、敗れた悔しさも、すべてをこれから戦うための力に変える。
 2015年最後の試合は、新たな年へとつながる始まりの一歩。準優勝という結果以上に、大きな財産を手にするものであったのは間違いない。
 



準決勝戦、第1セットの終盤、20-18と2点をリードしていた場面だった。
 バックセンターから助走を生かし、高い跳躍力を生かした柳田のバックアタック。直接得点にこそならなかったが、レシーバーが弾いたボールをダイレクトで家高が決め、21-18、リードが3点に広がると柳田の笑顔が弾けた。
「まだ、自分のプレーができるか不安な部分もあります。でも、もっと自信を持って(バックアタックに)入ろうと思ったし、リハビリ期間に下半身の筋力がついたので、ちょっと、高く跳べるようになった気がします」
 昨年は新人王を獲得し、今季も活躍が期待されたが、リーグの開幕を1週間後に控えた10月、突然のアクシデントによるケガを負い、開幕前日に手術を敢行。診断当初は年明けに復帰、と言われていたが、少しでも早くコートに戻るべく、リハビリに汗を流した。その間の2か月は、ほとんどボールに触ることもできず不安や焦りと戦う日々が続いた。
 だが、その苦しさを乗り越え、天皇杯からようやくコートへ。
「やっぱり練習では感じられない楽しさが、試合にはある。去年はみんなに盛り上げてもらって、思い切りやらせてもらったので、これからは、外で見ていたことを少しでもチームのプラスにできるように。ケガをして迷惑をかけた分も、少しでも恩返し、思いを伝えることができるように精一杯プレーしたいです」
 年明けに再開する、終盤を迎えたV・プレミアリーグに向け、頼もしい存在が帰って来た。
 

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