​レッドロケッツ応援記 ~2/21 対 日立 大一番で手痛い敗戦も、最終戦にわずかな望みをつなぐ~

  info_category1.gif2016/02/22


 
 ファイナル6もいよいよ残り2戦となり、ファイナル3、ファイナルへと進出するために負けられない試合が続く。
 その中でも、決して大げさではなく「絶対に負けられない試合」。それが、現在首位を走る日立リヴァーレとの一戦だった。
 
 レギュラーラウンドでは勝ち越しているとはいえ、高い攻撃力を擁するチームであるのは間違いない。今週は1試合しかなかったこともあり「日立戦にすべてを賭ける覚悟で臨んだ」と山田監督は言う。
 その言葉通り、試合の立ち上がりはレッドロケッツが先行する。相手の得点源であるパオリーニに対するディフェンスを厚くし、ブロックでワンタッチし、レシーブから切り返した攻撃を古賀、島村といったレッドロケッツが誇る攻撃陣が決め、思惑通りのスタートを切る。
 しかし、ここで一気に走れないのが一発勝負のファイナル6の怖さでもある。負ければ終わり、勝たなければならない。そんな見えないプレッシャーが徐々にのしかかり、やや消極的なプレーが目立つレッドロケッツに対し、日立は的確にゾーンを狙ったサーブで攻め、レシーブが乱れ、攻撃に単調になったところを切り返し、1点、また1点と得点を重ねる。何とか追い上げたいレッドロケッツだったが、古賀が「相手はサーブで攻めてきているのに対して、自分たちのサーブが攻めきれなかった」と振り返ったように、逆転を許し、点差が開くと焦りも目立ち始め、劣勢を跳ね返すことができず16-25で第1セットを失う。
 ただ勝利するだけでなく、3ポイントを獲得するためには絶対に落とすことができない第2セット。10-11と1点をリードされた場面で、流れを変えるべく、山田監督は山口に代えて奥山を投入し、16-20と点差が開いた終盤にはイエリズに代えて柳田を投入する。
 相手の攻撃に対するブロックを重視し、イエリズでスタートしたが「山田さんから『いつでも行ける準備をしておいてほしい』と言われていたので、たとえスタメンではなくても、自分が入ってからのイメージをして準備していた」という柳田がライトからうまく相手ブロックを利用したスパイクを決め、さらには日立のスパイクをブロックし、連続得点で追い上げる。「緊張して、頭が真っ白だった」という奥山もコートの中では笑顔を見せ、「アタッカーが(トスを)呼んでくれたり、自分が助けられてばかりだったので、とにかくスパイカーが打ちやすいトスを上げよう、と心がけていた」と言うように、サーブでパスがやや乱れても懸命につなぎ、スパイカーを盛り立てる。若い2人の力も起爆剤となり、日立を猛追するレッドロケッツだったが、「ミドルをマークしていたらサイドにやられた」と山田監督が言うように、1枚上の攻撃力を見せた日立に対し、あと2点が届かず、23-25で第2セットも失ってしまう。
 
 2セットを先取され、絶体絶命で迎えた第3セットも苦しい展開が続く。
 第2セット終盤の流れを生かすべく、奥山、柳田でそのままスタートしたが、2セットを取り波に乗る日立の勢いをなかなか止めることができない。8-12と4点をリードされ、山田監督は奥山に代えて、再び山口を投入した。
 アップゾーンでもずっと「16」の番号札を手に持ち、いつ出番が来てもいいようにイメージし続け、相手のブロックやレシーブのシフトを冷静に見ながら待っていた。その成果は試合の中でも随所で現れ、ややサイド陣に偏りがちだった攻撃も島村、大野を積極的に使うことで攻撃の幅が増え、相手のブロックマークが絞り切れなくなったところで、当たっている古賀をうまく使う。奥山、山口、それぞれの長所を生かしたトスワークを展開し、ようやく流れを取り戻したレッドロケッツは終盤、近江のサーブで連続得点。前後に揺さぶる絶妙なサーブで相手の守備を崩し、返って来たチャンスボールを島村、古賀が決め25-20。劣勢からの見事な逆転劇でようやくセットを奪取した。


 
 勢いに乗る時であれば、このまま4、5セットを取り、逆転勝利を収めることができる。しかし、1セットを取られてもひるまぬ日立に対し、山田監督が「1本目が悪かった時の2本目、2本目が悪かった時の3本目、もっとお互いがカバーしきれた、という場面で、カバーし合い、助け合うことができなかった」と悔やんだように、いい流れを引き寄せてもなかなかそのリズムが続かない。
 コート内での声、ベンチからの声、ベンチ外の選手やスタッフからの声、そしてスタンドからの大声援。いくつもの「声」が力になり選手を後押しし、11-19と8点差をつけられた場面からも古賀のスパイクや島村のブロックで20-24と追い上げたが、わずかな差が勝敗を分け、第4セットは20-25、セットカウント1-3で敗れファイナル6の勝敗を2勝2敗とした。
 数字の上では、レッドロケッツがファイナル3へ進出するためには、最終戦のトヨタ車体戦を勝利し3ポイントを獲得することに加え、他チームの勝敗が関係するため、厳しい状況であることに変わりはない。
 だが、その厳しい状況も跳ね返すことができたら、と考えたらどうか。今は奇跡にも思える結末が、待っているのではないだろうか。
 悔しい敗戦を受け止め、力強く、柳田が言った。
「1本にかける思いを大事に、やり残したことがないように、全力でファイナル6の最終戦を戦いたいです」
 ここまで積み上げて来たこと、そして、奇跡を信じて。レッドロケッツの戦いは、まだ終わらない。






 ルーキーながら開幕戦からレギュラーの座をつかみ、攻守の要としてコートに立ち続けて来た。高校時代は世代を代表する大エースとしてインターハイや春高で活躍、昨夏のワールドカップでも、これが初めての三大大会とは思わせないような堂々としたプレーで経験を重ね、レッドロケッツの中でも、もはや欠かせぬ存在として、山田監督だけでなく、スタッフや選手の信頼も厚い。
 とはいえ、まだ1年目のルーキーなのだから、試合を重ねるたびに反省や課題が増え、不慣れな状況に苦しむことも多く、なかなか調子や感覚がつかめないことに古賀自身も苦しんでいた。特に日立はレギュラーラウンドで対戦した時も徹底して狙われた苦い記憶がある。加えて、負けられないというプレッシャーは古賀にも大きくのしかかっていた。
「大事な試合だと思いすぎて、やろう、やらなきゃと強く思う分、空回りしてしまいました。コンビが使えるパスが返せていなかったし、リズムもつかめなかった。自分たちで焦って、いい流れがつかめないまま終わってしまいました」
 だが、レギュラーラウンドで苦い記憶を味わった、どこか頼りない姿とは全く違う、格段に成長を遂げ、逞しくなった姿を見せたのも事実だ。公式帳票で57.1%というスパイク決定率が物語るように、苦しい場面で何度もスパイクを決め、チーム1の20得点を叩き出し、古賀自身もようやく本来の感覚を取り戻した。
「来週は最終戦なので、みんなの力を1つにして勝てるように頑張りたいし、今までの集大成となる力を出して、勝ちたいです」
 覚醒したエースが、チームを勝利に導いていく。

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