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レッドロケッツ応援記  ~2/27 対久トヨタ車体クインシーズ戦 ファイナル3進出逃すも、会心のバレーで有終の美!~

  info_category1.gif2016/02/29



 ファイナル6最終節を迎え、ファイナル3進出への残された切符は1枚しかなかった。しかし、この日の第1試合で目下のライバルだった久光製薬スプリングスが勝利し、3ポイントを加算。その時点で、レッドロケッツが3位以内に入って次ラウンドに進める可能性は完全に消滅した。
「自分たちにはどうすることもできない部分ではありましたが、その結果を知って、やはり残念でしたし、悔しかった」と語ったのは山口だったが、多くの選手が同じような言葉を口にした。
 前回王者としてリーグ連覇を目指し、苦しいシーズンをチーム全員の力で戦いながらここまで来たにもかかわらず、その道が、志半ばで閉ざされてしまったのだ。気持ちが落ち込まないはずがない。それでも選手たちはゲーム開始までの短時間に「何のために戦うのか」という考えを整理し、トヨタ車体クインシーズ戦に入っていった。島村が言う。
「トヨタ車体さんもファイナル3に行ける可能性があったので、目の前の相手にそれをされることは阻止したかったですし、今季の開幕戦でストレート負けした分を取り返そうという思いがありました。それに最後の試合になるので勝って笑顔で終わりたかった」
 出鼻をくじかれた開幕戦だけではない。第2レグの対戦では2セット連取後、まさかの逆転負けという屈辱を味わい、第3レグでもトヨタ車体のホームで完敗を喫した。天皇杯・皇后杯の準々決勝では勝利しているとは言え、リーグ戦で同じ相手に4度も負けるわけにはいかなかった。


 
 想定とは違うモチベーションで始まった試合ではあったが、レッドロケッツには立ち上がりから勢いがあった。島村のサービスエースなどで3連続得点を挙げ、柳田のスパイクとブロックで10-5とリードを広げた。その後も近江がサーブで崩したところを島村が押し込んだり、古賀の連続スパイクでリードを保ちながら優位に試合を進めていく。19-13から相手の攻撃に苦しみ逆転を許したものの、古賀の活躍でデュースに持ち込み、最後は柳田が決めて26-24と接戦となった第1セットを先取した。
 第2セットに入ると、先に主導権を握ったのはトヨタ車体だった。レッドロケッツは2-5とされてから大野と近江の得点、さらに島村のブロックで一度は追いついたが、そこから8-12と再び先行を許してしまう。ただ、冷静さは失うことなく、島村の連続得点で食らいつき、大野の速攻で逆転して迎えた2回目のテクニカルタイムアウト以降は逆に一気に攻め立てた。
 レッドロケッツはこの日、11月7日の東レアローズ戦以来となる鳥越と岩﨑のダブルリベロ制を採用。岩﨑が「私が入るブレイク(レッドロケッツがサーブ)の時は、チームが攻めて得点した時なので、そこで連続得点を挙げて勢いづけたかった」と語ったように、サーブレシーブ時に入る鳥越との役割分担がいつも以上に明確だった。第2セット、19-17からは岩﨑の好守もあって5連続得点をマーク。25-18でこのセットもレッドロケッツが奪っている。
 第3セットは山口のツーアタックや柳田のバックアタック、大野と近江のブロックで、16-17までは一進一退の展開。激しい点の取り合いが繰り広げられた中、勝負所での島村のブロードと古賀のブロックで抜け出し、終盤の連続得点で25-20。ストレートで決着をつけた。


 
 皮肉なことではあるが、レッドロケッツには次ラウンド進出をかけ、「敗れれば何かを失う」という重いプレッシャーがあったわけではない。だが、それによって選手は伸び伸びとプレーできる精神状態を生み出し、レッドロケッツ本来の粘り強く、観ている者を熱くさせる最高のゲームを演出できた部分はあるだろう。
 逆にこの試合で最低でも2セット(ポイント1)以上獲らなければ、ファイナル3進出の道が潰えるトヨタ車体は、プレッシャーによる硬さもあったのか、レギュラーラウンドで対戦した時のような威圧的とも言える勢いは影を潜めていた。それがV・ファイナルステージを勝ち抜く厳しさであり、難しさと言えるのかもしれない。
 いずれにしてもレッドロケッツは、ファイナル6を3勝2敗(通算ポイント9)で終了。翌28日の他チームの結果を加え、4位で今リーグの戦いを終えることとなった。最終戦でファイナル3行きに滑り込んだ久光製薬とのポイント差は「1」。これを大きいものと見るか、わずかな差と考えるかは、選手それぞれに委ねたい。約4ヶ月間に及ぶ長いリーグ戦を山田監督は次のように総括した。
「連覇という大きな目標を掲げて、意志を持ってやっていけば、それが本物かどうかが常に試されます。そういう意味で、勝ち続けるためには、こういうことがもっと必要なんだと教わりながら戦ってきたシーズンだったように思います。重要なのは、勝ったことも負けたこともすべて経験とし、次への力にしていくこと。故障者が出て、メンバーがそろわない苦しい時期もありましたが、みんなで助け合いながら乗り越えてきましたし、私自身も勉強になることが多かったと感じています」


 
 今季、『絆~歴史を創る~』というスローガンを掲げたレッドロケッツ。この日のVOM(Vリーガー・オブ・ザ・マッチ)に選出され、「アタッカーを信じて、アタッカーが打ちやすいボールを上げることを心掛けました」と語った山口ら、コートでプレーする選手間の信頼関係は当然ながら厚い。
 ただ、たとえば試合中、リードして、あるいは追い上げムードでタイムアウトに突入すると、家高や岩﨑、奥山らがウォームアップエリアからいち早く飛び出し、ガッツポーズと笑顔でコートに入っている選手をベンチに迎え入れる。また、登録メンバーから外れた選手らもコートの外から途切れることなく声を出し、仲間を支えていた。この「チームのために」という一途な思いは、『絆』以外の何物でもない。
 「連覇」という意味での歴史は創れなかったかもしれない。しかし、他のどのチームにも負けない強い絆で、レッドロケッツ史に新たな1ページを刻んだシーズンとなったのは、まぎれもない事実だった。






~自分自身に対する厳しさが成長の糧に~
 会心とも言える内容で勝利し、島村はチームの出来について満足げな表情で振り返った。
「終始、自分たちのバレーができましたし、3セット目を獲り切れないというような課題を克服して、きっちり3ポイント獲れたのは、今までの経験が生きたと思います」
 快勝劇の口火を切ったのが、立ち上がりにサービスエースを決めた島村だった。第2、第3セットにもサービスエースで得点し、ブロックポイントは4本。得意のブロード攻撃やクイックだけでなく、第3セット終盤には力強いバックアタックも突き刺した。チーム最多得点となる18点をマークし、3セットを通して高いパフォーマンスを発揮しながら、しかし、自身のプレーについては満足していなかった。
「サーブ、ブロック、スパイクと得点の種類は多かったかもしれませんが、1点ほしい場面、ここで決めないといけないという時になかなか点数が取れなかった印象です。そこで相手を乗せてしまった部分もあったし、守備の面でももっと拾えたボールがあったので、反省点の方が多いです。勝ったことは良かったけれど、個人としてはまだまだだと実感しました」
 今季から任されたキャプテンという立場を振り返っても、島村には確かな手応えがあるわけではないという。
「キャプテンとして何かできたかと考えると、ちょっと自信がありません。自分なりに頑張ろうと取り組んできましたが、空回りしてしまうこともあって、そういう時は先輩に助けてもらいました」
 ただ、そうした自分への厳しさや現状に満足しない姿勢が、島村をここまで成長させた糧になったに違いない。
 リーグでの戦いが終わり、昨年同様、全日本メンバーに選出される可能性もある。5月の世界最終予選と、その先に控える8月のリオ五輪。もし、その舞台に立てるチャンスをもらえたとしても、「やるべきことはNECにいる時と変わりません」と島村は話す。
「とにかく全力を尽くすだけ。NECでキャプテンとしてやってきたことは全日本でもきっと生かせるし、出るからにはしっかり結果を求めていきたいです」
 シーズン当初は自分のキャプテン像を模索していた島村だが、リーグ戦を終えた今、ユニフォームの背番号の下に引かれたキャプテンを示す「―」のマークが、しっくりと馴染んで見えた。
(取材・文:小野哲史)

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