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レッドロケッツ応援記 ~5/4、5 対PFUブルーキャッツ戦、対JTマーヴェラス戦 15年ぶり制覇ならずも〝新しい融和〟で黒鷲旗大会準優勝~

  info_category1.gif2016/05/06


 
 大阪市中央体育館で行われた、シーズンを締めくくる黒鷲旗全日本選抜バレーボール大会。V・プレミアリーグで4位に終わり、目標だった2連覇を果たせなかったレッドロケッツには、この大会を制することで来季への新たなステップにしたいという狙いがあった。
 ただ、チームは全日本の合宿や遠征でキャプテンの島村と得点源の古賀を欠いていた。そこで山田監督は「新しいチーム融和を生み出す」というテーマを掲げ、大会に入ったと話す。
「リーグが終わったばかりで準備期間はあまりなかったですし、戦術的にも何かを変えたわけではありません。でも、主力の2人が不在の中、新しいメンバー構成で補い合いながらチーム力を発揮していこうと臨みました」


 
 4月30日からのグループ戦では、金蘭会高校、東海大学、トヨタ車体クインシーズに3連勝。準々決勝で難敵の岡山シーガルズ戦をセットカウント3-1で撃破し、5月4日の準決勝でPFUブルーキャッツと対戦した。チャレンジリーグのチームではありながら、プレミアリーグ勢を次々と破って勝ち上がってきたPFU。レッドロケッツにとっては2年前の黒鷲旗大会で競り負けた相手でもあり、決して侮ることはできなかった。それでもこの日、55.6%のアタック決定率をマークするなど奮闘した家高が「中盤あたりから相手のミドルが自分についてきたので、サイドの人たちの攻撃が決まりやすくなりました」と振り返ったように、1-1で迎えた第3セット以降、ほぼ危なげない形でゲームを進め、3-1で快勝した。
 奪った3セットはもちろんだが、落とした第2セットにこそ大きな収穫があったように見える。8-11の場面で投入された2年目の篠原とルーキーの廣瀬が、セット終盤までの長い時間コートに立ち、公式戦という緊迫した中で貴重な経験を積んだからだ。篠原は「山田監督や周りの先輩方からは思い切りやっていいよと言われていて、その通りできたので楽しかったです」と笑顔を見せ、廣瀬も「大会中は緊張の連続でしたが、先輩が声をかけてくれるのでやりやすかった」と語っている。
 実際、近江や山口を中心に他のメンバーが10代の若い2人をがっちりと支えた。篠原のトスが多少ブレても、アタッカー陣は苦しい体勢から得点に結びつけ、廣瀬には声や身振りで安心させるような雰囲気を作っていた。「チームで最も若い2人を何とかして活躍させてあげよう」。そんな心意気がチームに今まで以上の〝結束〟を生み、3年ぶりとなる決勝行きをもたらしたのだった。


 
 迎えた5日、決勝戦であいまみえたのは前回覇者のJTマーヴェラスである。レッドロケッツは第1、第2セット、相手を圧倒するような内容ではなかったものの、31-29、27-25と、ともにデュースを制して勝負強さを見せつけた。リーグではセットの出だしでつまづく試合が少なくなかったが、この日は第1セットを4-0、第2セットを3-0と、近江や柳田の得点で好スタート。第1セットはその後、中盤に逆転を許し、追いつけないまま21-23とされて苦しい状況に追い込まれながら、驚異の粘りでデュースに持ち込み、5回のデュースの末に柳田と近江の得点で振り切った。
 第2セットも終盤に同点とされたにもかかわらず、大野や白垣らの活躍でセット奪取に成功している。いずれのセットもどちらが取ってもおかしくない展開だったが、ここ一番での集中力や、鳥越、岩崎らが見せた1点を取りに行く強い思いは、レッドロケッツがわずかに上回っていたのかもしれない。
 しかし、試合後、近江や白垣、柳田が「カギは3セット目だった」と口をそろえたように、最後の詰めの甘さが相手の息を吹き返させるきっかけを与えてしまった。10-10までは互角に推移した第3セット、レッドロケッツは柳田のスパイクや家高のブロックとブロード攻撃で一歩抜け出し、大野も1枚ブロックで相手の攻撃をシャットアウト。21-17とし、圧倒的に優位に立った。
 だが、柳田が「何でもない場面でスパイクミスをしてしまった」と悔やんだ通り、そこからあと4点が遠かった。23-25でこのセットを失うと、第4セットも終始追いかける展開を強いられ、20-25。一気にセットタイに持ち込まれ、ファイナルセットもJTの勢いを止められないまま、3-8でコートチェンジを迎えることとなる。それでも悪い流れを変えようと送り込まれた佐川が気迫のスパイクを叩き込むと、大野も速攻やブロードをきっちり決めて、12-13に。どんな状況でも絶対に諦めない姿勢は、レッドロケッツの伝統とも言えるスピリットだった。しかし、序盤の大きなビハインドが響き、12-15で逃げ切られ、2001年以来となる黒鷲旗制覇を成し遂げることはできなかった。


 
 近江は試合後、「リードしていた所で勝ち切れなかったというのは今の私たちの実力」としながらも、「久しぶりに決勝まで来られて、今いるメンバーで6試合を1戦1戦勝ち続けていけたことは、自分たちのこれからの自信になりますし、この負けを来シーズンに生かして頑張っていきたい」と語っている。今大会はキャプテンとしてチームをまとめ、決勝戦終了後には特別表彰選手として敢闘賞を受賞したことで、近江自身も大きな手応えをつかんだに違いない。
 山田監督も「シーズン最後を優勝で締めくくりたかったので残念ですが、JTさんが素晴らしかった」と優勝チームを讃えつつ、「とくに若い選手が活躍してくれて、チームにまた新しい力を与えてくれました」と、大会を通しての収穫について述べている。
 この黒鷲旗大会準優勝をもって、レッドロケッツの2015/16シーズンは全日程が終了した。タフなシーズンを駆け抜けてきた選手やスタッフには、良いこともそうでなかったことも含め、様々な思いがあるだろう。だが、ひとまずは「お疲れさまでした!」の言葉を贈りたい。この後のしばしの休息期間で、これまで酷使してきた心と身体をリフレッシュさせ、来シーズンが始まる頃には、さらにスケールアップしたレッドロケッツがお披露目されることを期待しよう。


 



 ~故郷・熊本に贈り続けた〝全力プレー〟~
 もつれにもつれた決勝戦。相手のマッチポイントで、白垣が放った渾身のスパイクが相手ブロックに止められ、チームの15年ぶりとなる黒鷲旗優勝が手のひらからこぼれ落ちた。試合後、白垣は「第3セットを取り切れなかったのは自分自身も悔しいです。最後、勝ち切るまでが試合なので、いくら最初が良くても結果が負けということは何かが足りないということを教えてもらったと思います」と静かに語った。
 白垣は熊本県熊本市出身。先月、九州地方を襲った一連の大地震で、故郷が甚大な被害に見舞われた。幸い、実家は軽度の被害で済み、家族や知人・友人も無事だったというが、熊本や九州の多くのみなさんが今もなお、不自由な生活を余儀なくされている。そういう状況にあって、白垣が心に決めたのは、「下を向かずに、熊本のみなさんに元気や勇気を与えられるようなプレーを見せる」ということだった。できることからやると、厳しい練習をいつも通りにこなし、気持ちをバレーボールに集中させた。
 そして、気合い十分で今大会を迎え、準決勝のPFUブルーキャッツ戦では、アタックで15点、ブロックで5点をマークし、勝利に大きく貢献。JTマーヴェラスとの戦いを前には、「久しぶりにチームが決勝に来て、ワクワクしたというか、やっとここまで来たなという気持ちでした」と、この舞台に立てる喜びを改めてかみしめているようだった。
 試合が始まると、白垣は持ち前の力強いスパイクを次々と相手コートに突き刺し、1枚ブロックで相手の攻めをシャットアウトする場面も作った。白垣が見せる全力プレーに他のメンバーも奮起し、レッドロケッツはともにデュースにもつれ込んだ2セットを先取する。しかしその後、JTに3セットを奪い返され、準優勝という結果に終わったが、白垣は近江とともに大会のベスト6に選出された。
「どんな状況でも上を向いて笑顔で頑張ろうというのは貫き通せたので、そこは進歩した所だと思います」
 大会を通して、チームと自身の収穫をつかんだ白垣。この経験は必ずや次のシーズンにつながっていくだろう。
(取材・文:小野哲史)

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