レッドロケッツ応援記 ~10/30 岡山シーガルズ 開幕勝利ならずもV奪還へ見えた課題~

  info_category1.gif2016/10/31



 いよいよ迎えた2016/17シーズンの幕開け。
 V奪還を目指すレッドロケッツは、開幕戦で岡山シーガルズと対戦。これまでチームとして積み重ねて来た成果を形に示すためにも、是が非でも勝利したいのが開幕戦。それはレッドロケッツに限らず、すべてのチームにとって共通する思いだ。
 両チームのまさにそんな意地と意地、思いと思いのぶつかり合いを象徴するように第1セットの立ち上がりからスパイク、サーブ、ブロックの応酬で、長いラリーが展開される。新たなシーズンの始まりから、長い時間をかけて築いて来たディフェンス力でボールをつなぐレッドロケッツだが、山田監督が「岡山の守備は神がかっていた、と言っても過言ではないほど素晴らしかった」と言うように、練習ならば「決まった」と思うようなスパイクが岡山のブロック、レシーブに切り返される。
 気持ちよく打てているはずなのに、なぜ決まらないのか。何かがおかしいのか。知らず知らずのうちに焦りが生まれ、6-12と岡山が6点をリード。攻撃のリズムを変えるべく、山田監督はセッターの山口に代えて、これがVプレミアリーグでのデビュー戦となる正を投入。島村のクイックや柳田のバックアタックなど中央からの攻撃を展開し、11-13と2点差まで追い上げるレッドロケッツ。序盤から繰り広げられる熱いラリーに、3階席まで埋め尽くしたレッドロケッツサポーターから歓声と拍手が沸き起こる。
 あと1点。あと1本。このまま一気に勢いも加速するかと思われたが、好調のシーガルズはその後もサイド、ミドルを織り交ぜた攻撃で得点。柳田のスパイクや大野のサービスエースでレッドロケッツも追い上げたが、序盤の連続失点が響き、20-25で第1セットは岡山が先取した。


 
 1セットを失い、巻き返しを図りたい第2セット。まずはチームにとって生命線とも言うべき、ミドルの攻撃を通し、バックアタックや両サイドから多彩な攻撃展開を試みたが、近江が「シーガルズは粘りのあるチームだとわかっていたけれど、予想以上の粘りの前に粘り負けをして、自分たちが勝手に崩れてしまった」と振り返ったように、10-8とリードした場面から連続失点を喫し、第1セットに続いて流れは岡山へ。島村に代えて家高、古賀に代えて廣瀬を投入し、リズムを変えようと試みるも要所でのミスが響き、第2セットも19-25で岡山が連取した。
 後がない状況で迎えた第3セット。近江、鳥越がレシーブで応戦し、十分な助走から多彩な攻撃を仕掛けるも、岡山も粘りを見せ、なかなかリードが得られない。山田監督が「前に出た選手が悪かったからというわけではなく、相手の目線や状況を変えて打開しようと持って積極的に選手を代えた」と言うように、柳田に代わって小山、大野に代わって上野を投入。終盤には、上野のジャンプサーブから連続得点で22-23と1点差まで迫る。
 起爆剤となった上野は「サーブよりもスパイクで印象づけたかった」と悔やんだが、11人1人の特徴を生かし、開幕戦から多くの選手がコートに立ち、さまざまな展開へとつなげられたことはチームにとって大きなプラスであることは間違いない。短い出場時間ではあったが、上野も「他のミドルとは違う自分の武器を生かして、これから対戦するどんな相手に対しても『絶対に勝つ!』という気持ちで臨みたい」と力強く述べた。
 
 18-23と一時は5点をリードされた劣勢から追い上げ、柳田の起死回生のサービスエースで24-24とジュースにもつれるも、最後は島村が岡山のブロックに止められ、第3セットは24-26。悔しいストレート負けを喫した。
 古賀が「初戦で力み過ぎた部分もあった」と言うように、独特な空気が漂う中ではあったが、島村が「コンビが使えて、攻撃のバリエーションが多かったのはよかった」と言うように、敗れはしたが悪い面ばかりではない。
 何より、この敗戦はこれから始まる長いリーグを戦うために忘れてはならない大切なことを思い出させてくれた、と山田監督は言った。
「今日の岡山のように、簡単に決めさせないディフェンスを前にしてどうやって全員で攻撃をしかけ、どう打ち勝つか。大きな課題を開幕戦で与えてもらった。次は必ず打開して、勝利が収められるように。もう一度、いかに点を取るか、ということにこだわって準備をして次の戦いに臨みます」
 力を結集し、新たな歴史を築くための戦いはこれから。頂を目指す長いシーズンは、まだ始まったばかりだ。


 



 これが初めてのVプレミアリーグ。きらびやかにライトアップされた東京体育館のコートに立つと、胸が躍る。
でも同じぐらい、緊張で足が震えた。
「金曜日に前日練習で初めてコートに立った時からものすごく緊張して。試合が始まるまで、ずっと心臓がバクバクしていました」
 今季も全員バレーを掲げるレッドロケッツ。セッターの正にもいつチャンスが巡ってくるかわからない。いつ呼ばれても大丈夫なように準備しておこう。高まる気持ちを抑え、冷静に試合を見ていた第1セット。出番はすぐに訪れた。
 6-11と5点を追う場面で山口に代わりコートへ。
「ミドルがなかなか生きていなかったので、まずはミドルを中心に攻撃がつくれるように。そうすればサイドも生きる、と思ってトスを上げました」
 あれほど緊張していたのに、1本ボールに触れば心が落ち着いた。いつも通り、平常心で。山田監督も「丁寧なトスを上げてくれた」と振り返ったように、やわらかなフワリとした軌道で上がるトスをスパイカーが打つ。もともと「ミドルを使うのは得意」と言うように、大野や島村をうまく使い、立て直しを試みた。しかし、事前の対策を上回る岡山のディフェンスの前に、なかなか突破口を見出せず、結果は悔しいストレート負け。レッドロケッツで、Vプレミアリーグの開幕戦勝利を収めることはできずに終わったが、悔しさばかりでなく、これから始まる長い戦いへ向けた手応えと、より一層強い決心が芽生えた。
「ミドルを使うことが自分の軸。いいスパイカーが揃っているチームなので、その力を最大限引き出せるトスを上げて、チームの勝利に貢献したいです」
 自分の武器を生かして、チームの力を引き上げる。新たなステージでの戦いは、セッターとして、かけがえのない経験となるはずだ。

アーカイブ