レッドロケッツ応援記 ~11/13 対久光製薬スプリングス 今季初の連勝ならずも「今季一番の試合」~

  info_category1.gif2016/11/14



 2勝2敗のレッドロケッツと、3勝1敗の久光製薬。勝ち星の数には少々の差があるが、両チームの選手は「この対戦だけは、絶対に負けたくない」と口を揃える。
 理由は明確だ。
 頂点に立つために、どのチームにも勝利しなければならないことはわかっているが、そのためにおそらく、大きなライバル、壁として立ちはだかるであろう相手だと、互いに意識しているから。
持ち前の攻撃力とブロック力でここまで好調を維持する久光製薬に対してどう戦うか。近江は、勝つためのポイントを「1本決められても引きずらずに切り替えて、相手の嫌なこと、嫌なところを突いていけるように徹底したい」と掲げた。
 まさにその言葉を体現するように、前半からセッターの山口が積極的にミドルブロッカーの島村、大野の攻撃を使い、相手に的を絞らせない。久光製薬の強打をレシーブした後、自チームの攻撃につなげることができなかったとしても、ただチャンスボールを返すのではなく、できるだけ嫌なところ、嫌な場所へと返し、次の攻撃の選択肢を減らす。第1セットの序盤は山田監督も「とてもいい入りで狙い通りだった」と振り返る。
 とはいえ、相手も試合巧者であり、力のあるチームであるのは間違いない。攻撃パターンやコースを変え、強打だけでなくフェイントを織り交ぜ、サーブで前後に揺さぶりレッドロケッツのコンビを封じようと攻めてくる。「相手はピンチでも動じず、自分たちが先にミスを出してしまった」と山田監督が言うように、わずかな差が失点につながり、第1セットは20-25で久光製薬に先取されてしまった。



 やられたらやり返す。反撃に転じた第2セット、レッドロケッツはまずサーブで攻めた。前日のトヨタ車体戦でも「サーブ練習の成果が出た」と笑顔を見せた古賀のサーブで崩し、島村、山口のサーブからブレイクを重ねる。
1点、また1点と得点を重ね、リズムに乗るレッドロケッツをさらに盛り立てたのがディフェンスだ。
 先週の日立リヴァーレとの試合では「足が動かず、対応できるはずのボールも上げられなかった」と反省の弁を述べたリベロの鳥越が、久光製薬の多彩な攻撃を次々レシーブで上げ、スパイカーへつなげる。鳥越だけでなく、近江も数多くのポイントで抜群のディフェンス力を発揮。ラリーにつなげ、古賀、島村、ニコロバが得点する理想的な展開へ持ち込んだレッドロケッツが、25-21で第2セットを連取した。



 1-1とタイに戻し、勢いに乗るレッドロケッツは第3セットもサーブで攻めるが、久光製薬も高さを生かしたブロックやサイドからの多彩な攻撃で得点。ラリーに持ち込む場面は何度もありながら、なかなか最後の得点が取り切れず、レッドロケッツは苦しい展開を強いられる。ピンチサーバーでこの試合何本も好サーブを打ったルーキーの廣瀬や、近江、柳田のサーブで崩しチャンスをつくるも、山田監督が「ディフェンスはよかったが、オフェンスが試合を追うごとに右肩下がりになってしまった」と言うように、それまで高い決定力を見せた古賀や島村を久光製薬も徹底してマークし、なかなか攻撃が決まらない。鳥越が「相手に(サーブの)ノータッチエースだけはとられないように、と思っていたのに最後で出てしまったのが大きな課題」と悔やんだように、最後は久光製薬にサーブポイントを奪われ、第3セットは21-25で失った。
 劣勢でも諦めず、もう一度流れを引き寄せようと第4セットに臨んだが、セット序盤の連続失点が響き、第4セットは終始久光製薬にリードを奪われ、17-25。惜しくも1-3で敗れ2勝3敗。勝ち星を先行させることはできなかった。
 


 攻撃面や小さなミス、挙げられた課題は決して少なくないが、収穫もある。長い時間をかけて磨いて来た今季のレッドロケッツが取り組むべきバレーボールが、少しずつ形になり始めていることだ。
 久光製薬戦でも攻守の要として活躍した近江はこう言う。
「こだわってきた質の部分も少しずつよくなってきたし、先週の試合と比べても、ミドルの攻撃やサリナのスパイクが決まるようになってきたのはすごくいいことだし、自分たちの形、というのは確実にできてきている実感があります」
 そして、司令塔として攻撃を展開する山口はこう言った。
「攻撃に入る姿勢は間違いなく高まっているし、いいトスを上げればみんなしっかり打ち切ってくれる。相手のブロックが高いから、と相手に合わせるのではなくて、思い切って(攻撃に)入って高いところから打つ。ずっと練習してきた成果は出せていると思います」
 やってきたことの手応えも、発揮できている感触もあり、内容は決して悪くない。事実、山田監督も「今季の5試合の中で今日が一番いい出来だった」と言うように、練習してきたことは発揮され、手応えも感じている。
 だからこそ、勝ちたい。
 チームの思いを代弁するように、鳥越が言った。
「反省は生かさなければならないし、1人1人が危機感を持って戦わないと。『いい試合だった』で終わらず、結果にこだわってやっていきたいです」
 次節で1レグが終わる。中盤、終盤へ向けて一気に加速していくために。取り組んできたことは決して間違っていないと信じて、盤石のレッドロケッツスタイルで、これからは勝ち星を重ねていくだけだ。





 試合が始まる30分前。コートにできた、大きな円陣。
 肩を組み合い、互いの目を見て、間もなく始まる試合に向けて気持ちを高める。その輪の中で、掛け声をかけるのが、ルーキーの廣瀬七海に与えられた役割だ。
「NECの粘りとつなぎのバレーで2連勝しましょう!」
 力のこもった目と、健闘を誓い合う笑顔。試合に臨む準備は万全だった。
 第1セットから、廣瀬にも最初の出番が巡って来た。13-15と2点を追う場面で、ピンチサーバーとしてコートに立つ。高いトスから、ダイナミックなフォームで放つジャンプサーブ。前日のトヨタ車体戦でもその威力と効果は何本も発揮されており、チームメイトからも「あのサーブでチームに勢いをつけてくれるのが心強い」と称賛された。
 昨年のV・プレミアリーグの覇者である久光製薬に対しても、臆さず、自分のベストサーブを打つ。
「すごく緊張していました。でも、コートに入る時に先輩方の顔を見たら、みんなが笑顔で迎えてくれたので『私は思い切りやるだけだ』と吹っ切れて、気持ちよくサーブが打てました」
 第2セットにはノータッチエースも記録。山田監督も「試合で勝負度胸を磨いてくれれば、と思っていたが、期待以上の力を見せてくれた」と称えたが、廣瀬自身は「まだまだ自信がついた、とは言えません」とはにかむ。
「サーブを打った後にはレシーブもしないといけないので、レシーブがちゃんと上げられるようになったら、『自信がついた』と言えるようになるのかもしれません」
 旭川実業高校では押しも押されぬ大エースとしてどんなボールも打ちまくり、北海道に留まらず、全国に名を馳せた。
 エースとしてのポテンシャルも、これから無限に広がる可能性も、花開くのはきっとこれから。見る者の心を揺さぶるダイナミックなサーブのように、ワクワクするようなプレーを、もっともっと見せてくれるに違いない。


 

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