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レッドロケッツ応援記  ~12/24 天皇杯・皇后杯全日本選手権準決勝 対久光製薬スプリングス戦 真っ向勝負を挑むも女王の前に屈し、決勝進出ならず~

  info_category1.gif2016/12/26


 

 2007年に新設された天皇杯・皇后杯全日本選手権において、レッドロケッツはまだ優勝の美酒を味わったことがない。ファイナルラウンド2回戦からの出場となった今大会は、17日にKUROBEアクアフェアリーズをストレートで撃破。18日の準々決勝では、トヨタ車体クインシーズをセットカウント3-1で下し、順調に準決勝へと駒を進めていた。

 V・プレミアリーグでは11月27日から5連勝を飾って中断期間に入り、KUROBEとトヨタ車体戦を合わせて公式戦は実に7連勝。約1ヶ月間、負け知らずのレッドロケッツには確かな勢いがあったが、選手たちに過信やおごりの気持ちは少しもなかった。家高が言う。
「勝ち続けている時にこそ、何かしらボロが出てしまうもの。普段の言動や私生活もそうですし、プレーの面でもパスの1本目の質が荒くなってしまったりしますから、基本的なことから気をつけていこうという話はミーティングでも出ていました」


 それに何より、24日の準決勝で対峙した久光製薬スプリングスは、この皇后杯で前回までに4連覇を果たしている絶対女王。レッドロケッツはその間、2013年と2014年は準決勝で、前回は決勝でいずれもストレートで敗れた因縁の相手であり、悲願の初優勝を目前に幾度となく立ちはだかってきた高く、分厚い壁だ。島村が「昨年、久光さんに決勝で敗れて準優勝に終わってしまったので、今年は『絶対にリベンジするんだ』という気持ちを前面に出して試合に入りました」と語ったように、選手の気合いは並々ならぬものがあった。
 この準決勝からの会場は、レッドロケッツがV・プレミアリーグのホームゲームでも使用している大田区総合体育館。この日もスタンドを赤く染めた多数のサポーターの力強い後押しを受けながら、レッドロケッツは最強の敵に挑んでいった。

 序盤から激しい点の取り合いが展開された。レッドロケッツが柳田の切れ味鋭いスパイク、島村の速攻やブロックで得点を重ねれば、久光製薬も全日本でも活躍する長岡を中心に、迫力ある攻撃で襲いかかってくる。拮抗状態が続く中、14-14から島村と大野が速攻を決めて、18-14とレッドロケッツが一歩抜け出したかに思われた。しかし、直前のスパイクアウトの判定に対し、久光製薬サイドが要求したチャレンジが成功。17-15からゲームが再開されると、一気に流れを引き寄せられ、19-25で第1セットを失った。

 それでも第2セットは、山田監督が「1セット目(の中盤以降)は相手のオフェンスに楽に点数を取られてしまうような形になってしまいましたが、2セット目は各アタッカーに対しての対応を詰めて挑んだので、そこはうまく行ったと思います」と語ったように、レッドロケッツが25-21できっちりと奪い返す。立ち上がりこそいきなり3点を先取されたが、粘り強い守備から、近江や柳田を中心とした多彩な攻撃で隙を見せなかった。16-12から2点差に追い上げられた直後には、鳥越の2度のファインプレーから柳田が冷静にフェイントを落とす。守備に関して近江は、絶対の自信を持っていた。

「今週はずっと久光戦に向けてやってきました。相手の攻撃は頭に入っていたので、(自分がバックポジションの場面では)ブロックコースは任せますし、ディグコースは自分が絶対拾う。前後の関係を信じるというか、そこを徹底している時は、相手がここに打ってくるだろうなというのが読めて、守りやすかったです」

 勝負の分かれ目は、セットカウント1-1で迎えた第3セットにあったかもしれない。このセットも一進一退だったが、ハイレベルな攻防が徐々に増えたことで、白熱の度合いは高まっていた。レッドロケッツは、古賀のズシリと重さを感じさせるバックアタックや大野の速攻、山口のブロックなどで相手に食らいつく。

「久光さんの強さはすごく力があったけれど、自分たちもコンビがうまくいって決められた攻撃があったり、強みであるブロックディフェンスは機能していたと思います」

 そう語り、たしかな手応えを感じながらプレーしていた島村が得意のブロードを突き刺して、21-21。そこから抜け出され、先に2度のセットポイントを握られたが、柳田の連続得点でしのぎ、デュースに持ち込んだ。さらに、直前に投入されていたニコロバがスパイクを決めて、今度はレッドロケッツがセットポイント。しかし、あと1点が遠かった。長岡に3連続得点を許し、25-27でセットを落としてしまう。

 もちろん、これで選手たちが気落ちしたわけではないだろうが、第4セットに入ると、勢いづいた久光製薬に押し込まれていく。4-7の場面で送り込まれた家高も「悪い流れを断ち切るのが自分の役目でしたが、今日はそれがうまくできなかった」と、なかなか見せ場を作れなかった。13-19から柳田の3連続得点で2点差に迫る粘りはあったものの、最後まで相手を捉えることができず、22-25でゲームセット。今月3日のV・プレミアリーグでは、久光製薬をフルセットの末に下していたレッドロケッツ。しかし、そのときとは同じ結果にはならず、今年も悲願の皇后杯を獲得することはできなかった。

「(3日の)2レグで勝ったときに決まっていたボールが今日は決まりませんでした。相手が対応してきたことに対しての、さらに上を行く対応ができていなかったと思います」(古賀)

「1対1になったときに、決めなければいけない所で決められなかった。逆に久光さんは、自分たちが1枚になった場面でアタッカー陣がしっかり点数を取っていました。そういう差がこの結果になったのかなと」(近江)

 試合後、選手たちは悔しさをにじませた。ただ、山田監督が「良い宿題もらいましたので、年明けに再開するリーグでは修正して挑みたい」と語ったように、この敗戦を今後にどう生かすかが重要なのは、これまでと変わらない。

 2016年の戦いは終わったが、シーズンはまだまだ続く。2017年がレッドロケッツにとって、実り多き1年になることを願うばかりだ。







~チームのためにすべてを捧げる頭脳派セッター~
 この日はスタートから最後まで、一度もベンチに下がることなく、コートに立ち続けた。多彩なトスワークでアタッカー陣の攻撃を操っただけではない。「いつもチャンスがあれば狙っている」というツーアタックこそ見られなかったが、第2セットにはサービスエース、第3セットにはブロックで得点をマークし、身体いっぱいで喜びを爆発させた。

 またしても久光製薬に敗れて頂点への道が閉ざされたことについて、「すごく悔しい」と話した。しかし、試合直後にきちんと反省点を整理して口にできるあたりは、冷静沈着なセッターならではかもしれない。

「何回もチャンスはあったし、勝てない試合ではなかったけれど、勝負所での決定力とか、レシーブでの食らいつきとかが自分たちの課題かなと。自分の反省としては、いろんなバリエーションのコンビをもっとトライしていけたらよかったというのもあるし、だんだんトスがきつくなって、アタッカーが打ち切れないようなトスの質になっていたと思うので、そこは気持ち良く打ってもらえるように修正していかないといけないと感じました」

 2016年という1年を、山口は「1人1人がしっかり自分の課題を受け止め、克服するために取り組んできた1年でした。なかなかうまく行かないときもありましたが、それでも努力し、コツコツ頑張り続けて、だんだん良くなってきた2016年だったと思います」と振り返る。

 9月に優勝したアジアクラブ選手権については、「初めての経験だったのですが、すべてのことが新鮮で、いろいろなことにチャレンジできたし、優勝できたことは自信につながりました」と胸を張るが、その約1ヶ月半後のV・プレミアリーグ開幕戦で、岡山シーガルズに完敗したことも印象深いと言う。「あれで反省する所がたくさん見つかったし、そこから学んで、その後のリーグにつなげられたと思っています」

 良かったことも悪かったことも、すべてを肥やしにできるメンタリティが山口にはある。来るべき2017年はどんな1年にしたいのか。

「自分の良い部分を全部チームのために使って、課題もたくさんあるので、そこは努力して取り組んで、まずはリーグで優勝できるように、自分がしっかりチームを引っ張って、安定したプレーでチームの軸になれるように頑張りたいです。あとは、世界クラブ選手権もありますから、そこにつなげるためにも、いろいろなことにチャレンジして、自分の幅を広げてそれがチームの幅になればいいなと。自分の成長がチームの成長に大きく関わると思っています」

 強い覚悟を胸に2017年を迎える頭脳派セッターは、その歩みを止めることなく、〝フォア・ザ・チーム〟に徹し続ける。

(取材・文:小野哲史)

このレポートの試合

2016-12-24 久光製薬スプリングス ● 1-3 ○

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