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レッドロケッツ応援記~1/15 対日立リヴァーレ戦 ホームの大声援を背に、難敵とのフルセットの死闘を制す!~

  info_category1.gif2017/01/16



 選手たちは燃えていた。この一戦に賭けていた、と言い換えてもいい。
 第1レグの対戦では1-3、第2レグはストレートでの完敗。今季のリーグ戦でレッドロケッツが唯一、まだ勝てていないのが、この日の相手、日立リヴァーレだったからだ。鳥越の「1レグでも2レグでも負けていたので、今回は絶対に勝つという気持ちで臨みました」という言葉は、チーム全員の共通する思いでもあった。
 万が一、レギュラーラウンド3連敗ということになれば、来月から始まるファイナルラウンドの対戦で苦手意識が芽生えてしまいかねない。それは避けたかったし、何より、先月の川崎市とどろきアリーナ以来となる、今季最後のホームゲームである。大田区総合体育館のスタンドを真っ赤に染めたサポーターの後押しを受け、14日にはトヨタ車体クインシーズにストレートで快勝。「8」に伸ばした連勝記録をここで途切れさせるわけにはいかなかった。気合いが入るのも当然だった。


 
 しかし、セットカウント3-0か3-1で勝てば、レッドロケッツを抜いて首位に再浮上する日立の気迫も凄まじく、第1セットの立ち上がりからアクセル全開で襲いかかってきた。いきなり2-8と走られ、そこから6-15とさらに点差を開かれる。終盤、ピンチサーバーで入った上野の強烈なサーブから反撃を開始し、3点差まで追い上げたものの、結局、21-25で最初のセットを落としてしまった。
 ただ、第1セット終盤の粘りは、第2セットにしっかりとつながっていく。
「1レグと2レグは相手に先に仕掛けられて、自分たちが後から追いかける展開が多かったと思います。後手になって、相手のやりたいように自分たちが誘導されてしまった部分があって、今日も獲られたセットはそうでした。でも、獲れたセットは自分たちから仕掛けたり、厳しいボールでも何本も食らいついて、アタッカーが最後に思い切り打てるようにつなげましたし、サーブで攻めるという姿勢も前々回、前回の対戦より良かった気がします」
 山口が試合後にそう振り返ったように、第2セットのレッドロケッツは今季の過去2回の日立戦やこの日の第1セットとは違い、主導権をがっちりと握って試合を進めていった。近江がスパイクとブロックで存在感を示すと、柳田は強打とサービスエースを突き刺す。大野、島村のセンターラインもそれぞれが持ち味を発揮した。12-4と大量リードを奪ってからも、攻撃の手を緩めることなく、近江や柳田が着実に得点を重ねた。23-16で迎えた場面では両チームの意地がぶつかり合う壮絶なラリーとなり、最後は相手のポイントとなったものの、鳥越らの身体を張った献身的なプレーに観客からは惜しみない拍手が巻き起こるほどだった。



 25-18でセットを奪い返し、「さぁ、ここから」という矢先の第3セットは19-25で失い、再び日立に先行を許す。
 そして、後がなくなった第4セットはスタートからニコロバが入り、局面の打開を図った。母国ブルガリアから両親が応援に駆けつけていたニコロバだが、頭の中は至ってクールだった。
「いつも『危機的状況のときにこそ活躍しないといけない』という心構えでいるので、今日もまったく問題ありませんでした。今までも、どこの国にいたときもそれが普通のことでした」
 満を持して登場したニコロバが先制点を挙げると、近江はネット際に落とす巧みなサーブで島村のダイレクトスパイクをアシスト。6-6から古賀の連続得点の直後、岩﨑の好レシーブからニコロバがうまく押し込んだ。一歩抜け出したレッドロケッツは、その後もセッターの山口がニコロバや島村を効果的に使い、19-11と日立をさらに引き離す。だが、日立がそこから驚異的な粘りを見せ、21-21の同点とされてしまう。ここで山田監督は古賀に代えて、柳田を投入。これまではオポジットで併用されていたニコロバと柳田を今季初めて同時に起用するという〝超攻撃的布陣〟を敷き、それが結果的に吉と出る。入ったばかりの柳田がサイドアウトを1本で切り、最後はニコロバが連続スパイクを決めて、25-22で再びセットタイに持ち込んだ。
「弱気になるなー!強気で攻めろー!」
 観客席からレッドロケッツへの檄が飛ぶ。ここまで来ると、重要なのはもはや戦術や技術ではない。「必ず勝つ」という気持ちを強く持っている者が勝つ。
 最終セットは5-5まで互いが一歩も譲らなかった。日立の3連続得点でレッドロケッツ陣営には嫌な雰囲気が漂い始めたが、8-11から島村の速攻とニコロバのサービスエースが決まった直後が勝負の分かれ目だった。今度はエンドラインぎりぎりを狙ったニコロバのサーブが「アウト」の判定。すかさず山田監督がチャレンジを要求すると、それが成功し、「イン」の判定に覆った。息を吹き返したレッドロケッツは島村と柳田の得点で逆にリードを奪い、最後は島村が速攻を決めて15-13。2時間を超える大接戦に終止符を打った。


 
「どちらが勝ってもおかしくないゲームで、今日はとくにニコロバに助けられました。柳田も一度はニコロバに代わってベンチに下がりましたが、4セット目からは古賀に代わって大事なポイントを決めてくれた。みんなで助け合ってなんとか勝ちを拾うことができましたし、誰かが苦しいときにカバーし合う部分を出せたことが収穫でした」
 山田監督はこの激戦をそのように総括し、選手たちは視線を早くも次に向けていた。
「これからの試合もそうですが、私たちは誰かに頼りっぱなしで戦うチームではありません。1人1人がしっかり軸になって全員で攻めるというのがNECのカラーなので、そこはブレることなく継続してやっていきたいと思います」(大野)
「勝つことはできましたが、まだ満足はできません。レギュラーラウンドはあと4試合、その先にはファイナルラウンドがありますし、もっともっとみんなでやらなければいけないことがあります」(ニコロバ)
 長いシーズンでは、こうした厳しい試合が必ずあり、それを乗り越えない限り、頂点に立つことはできない。全員の力で勝利をもぎ取ったレッドロケッツはこの日、貴重な勝利ポイントとともに、大きな、本当に大きな自信を手にした。
 



~チームを後方から支える最後の砦~
 14日のトヨタ車体クインシーズ戦から、自チームがサーブの場面ではキャプテンの岩﨑がリベロに入り、鳥越はサーブレシーブのポイントを任された。
「チームの勝利へ向けサイドアウトを切る意味でも、レセプションという与えられた役割をしっかり果たすだけでした」
 その役割の重要性がとくに増したのが、日立リヴァーレ戦の第4、第5セットの勝負所だった。古賀に代わって柳田が投入されたことで、それまで3枚でこなしていたサーブレシーブを近江と鳥越による、いわゆる「2枚キャッチ」に変更したのだ。「今季は練習でもほとんどやっていなかった」というシステムだったが、無難にこなし、チームのセット奪取と逆転勝利に貢献した。
「最初はちょっと緊張しましたが、もうやるしかないし、そこが私の求められているポジション。アタッカーを生かすためにも『やってやろう』という気持ちの方が強かったです」
 リベロという、サーブレシーブ以外はなかなか数値で結果を表わしづらいポジションではある。しかし、ラリー中の鳥越を見ていれば、コートにいる他の5人よりもはるかに動き回り、その役割も実に多いことがわかる。ディグやブロックフォロー、声出しで、まさにレッドロケッツの守護神として最後の砦となっている。そんな中、山田監督が高く評価するのが、鳥越の「ファーストボールの間をコントロールできる」能力だ。
「ラリーが速くなって間がなくなれば、1本目で少し浮かせて、セッターがジャンプトスできるような間を作ったり、準備できているのであれば、リズム良く速く出したりと、セッターやアタッカーがより楽にプレーするためにコントロールできる選手です」
 鳥越自身は、セッターがレシーブをした場面で生まれる、第2セッターとしての役割にもこだわりを持つ。
「リベロがトスを上げるとコンビができないと思われるのは嫌。高校時代までアタッカーでしたからアタッカーの気持ちもわかっているし、そこでは自分がセッターになったつもりで、2段トスは誰よりもプライドを持ってやっている部分はあります」
 試合後の会見で、ある記者から「サーブレシーブのフォームが綺麗で、ポジション取りがうまい。全日本チームに入れるぐらいの力があるように感じるが…」と鳥越のことに話題が上ると、山田監督はこう応じた。
「基礎練習を怠らない真面目な選手ですから、練習でやっている成果がそう映ったのであれば、本人にとっても自信になることだと思います」
 レッドロケッツが今季取り組んでいる多彩なオフェンスは、鳥越の強固で安定したディフェンスなくしては始まらない。
(取材・文:小野哲史)
 
(取材・文:小野哲史)

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