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レッドロケッツ応援記 ~1/29 対久光製薬スプリングス レギュラーラウンド最終戦は勝利ならずもファイナルステージへつかんだ手応え~

  info_category1.gif2017/01/30



 10月に開幕したレギュラーラウンドも、はやいもので最終戦。思い通りにできた試合もあれば、歯車が狂ったまま立て直せずに終わった試合もある。
 それでも、ここまでチームで20試合を戦い抜き、いよいよ迎えたレギュラーラウンド最終戦。レッドロケッツは久光製薬スプリングスと対戦した。
 
 1レグで敗れ、2レグはフルセットの死闘の末にレッドロケッツが粘り勝ち。しかし昨年末の天皇杯皇后杯全日本選手権の準決勝でも敗れている。しかも相手は2011/12シーズンからの6シーズンで5回決勝の舞台に立ち、3度頂点に立ったチームでもある。
 前日の東レアローズ戦で快勝を収め、ポイント数を43に伸ばし、15勝を挙げたレッドロケッツは、最終戦を前にレギュラーラウンドの1位通過を決めていた。
 だが、だからこそ、この最終戦。久光製薬との試合は絶対に負けたくない。なぜなら山田監督が「優勝するために、久光製薬は絶対に勝たなければいけない相手だと思っている」と言うように、王座奪還を目指すレッドロケッツにとっては大きなライバルでもある。何としても勝って、ファイナルラウンドへ弾みをつけたい。順位や勝敗以上に大きな意味を持った一戦となった。
 皇后杯を含めれば今季四度目となる両者の対戦。第1セットから長いラリーが繰り広げられ、攻守が目まぐるしく入れ替わる。2年目ながら、今季はエースと呼ぶにふさわしい活躍を見せ続け、チームにとって欠かせぬ存在へと成長を遂げた古賀が「1点目から3セットを取り切るまでとにかく必死に戦いたい」と話していたように、レッドロケッツが打てば久光製薬も拾い、久光製薬の強打をレッドロケッツがつなぐ。手に汗握る攻防が展開された。



 17-16とレッドロケッツが1点をリードして終盤を迎えるが、柳田、古賀のスパイクに対して久光製薬もブロック、レシーブで拾い、攻撃を強打で切り返す。近江が「中盤から終盤にかけて、相手が一気に攻めてきて苦しい時間が多かった」と言うように、終盤に得点を重ねた久光製薬を追い切れず、第1セットは20-25で久光製薬が先取した。
 リードを得たことで余裕が生まれた久光製薬のサーブが第2セットからは強さを増し、加えて、ブロックや強打と見せかけたフェイントなど、セッターの山口が「もったいないポイントも多かった」と振り返ったように、決して一方的に攻め込まれているわけではないのだが、わずかな隙が差となり、第2セットも久光製薬が15-25と連取。レッドロケッツは、セットカウント0-2と苦しい展開を強いられた。
 
 我慢が続く状況で、ようやく本来の輝きを取り戻したのが第3セットだ。
 立ち上がり間もない、1-1の場面。相手の強打をレシーブでつなぎ、レフトの近江がアンダーでトスを上げる。
「紗理那!」
 満員の観衆が詰めかけた愛媛県武道館にも響き渡る近江の大きな声に背を押され、渾身の力を込めて古賀が放ったスパイクが久光製薬のブロックを弾き飛ばし、2-1。続けて古賀が自らのサーブから始まったラリーでバックアタックを決め、3-1とスタートからリードを奪う。
試合の序盤、1、2セットは相手の厳しいマークを前に、思い通りの攻撃ができず苦しんでいた古賀の復活は、山田監督も「思うように行かない中でもよく耐えて頑張った」と称したように、逆転勝利を狙うチームに活力を与える。高くジャンプし、高い打点から放つ柳田のサーブも冴え渡り、久光製薬の守備を崩し、チャンスボールからの攻撃で山口がミドルブロッカーの島村、大野をうまく使う。
 特に光ったのは島村だ。ここまでの試合では「気持ちと動きがバラバラで、思うようなプレーができずにもがいていた」と言うように、プレーにも迷いが目立つ試合も少なくなかった。だが、そのまま終わるわけにはいかない。さまざまな位置から攻撃に入り、積極的にトスを呼ぶ島村に山口もボールを託し、多彩なコースへ島村が決める。山田監督が「今季一番と言ってもいい出来だった」と称したように、島村自身も大きな手応えを感じただけでなく、チームもミドルが生きたことでサイドも生き、また攻撃の幅が広がる。波に乗ったレッドロケッツが久光製薬を一気に突き放し、25-15で第3セットを奪取した。



 決めるべき人が決め、つなぐべき人がつなぐ。まさにレッドロケッツらしさが光る展開で第3セットを制したが、それでも容易く倒すことができない強さを持つのが久光製薬でもある。1、2セットと同様に、中盤、終盤に連続得点を挙げた久光製薬を最後まで捕らえることができず、第4セットは17-25。惜しくも1-3で敗れ、レギュラーラウンドの最終戦を勝利で飾ることはできなかった。

 負けたことは悔しい。しかも、一方的にやられたとか、自分たちが自滅したわけではなく、「もっとできることがあった」と思うからこそ、悔しさも募る。
 だが、2セットを取られてから第3セットを理想通りの展開で取り返したこと。ここまでなかなか調子が上がらずにいた島村が好調を維持し、苦しみながらも古賀が奮闘したこと。落ちた、と思うボールを上げる近江や鳥越が見せた数々の数字には残らないファインプレーも、チームにとって大きな収穫であり、何より、ファイナルステージで再び対戦する久光製薬にとっては脅威になったのは間違いない。
 いいバレーができた。だからこそ、勝てなくて悔しい。ならば、その悔しさはファイナルステージで、そしてファイナルの舞台で晴らそう。
 山口が言った。
「やられる時も、苦しい時もあるけれど、そこをみんなでどうしのいで勝つことができるか。たとえ誰か1人の調子が悪くても、コートの中には他の5人がいて、ベンチにも、そしてベンチの外にも多くの仲間がいる。ここからの戦いは、いかにみんなでカバーし合えるか。たとえ苦しくても、相手が引いてしまうぐらいのガッツを前面に出して戦いたいし、このチームはもっとできる。そう信じているので1戦1戦、大事な試合をみんなで勝っていきたいです」
 ファイナルステージへ向けて、得られた課題をまた力に変えて。いよいよ、最終決戦が始まる。







 落ちた、と思うボールの先にはいつもこの人がいる。
「上がった!」
 リベロ顔負けのファインレシーブでつなぎ、後ろから、チームメートを声で後押しする。
「ブロック1枚! 行け!」
 決して恵まれた体躯を備えた選手ではない。だが、誰よりも輝くテクニックと負けん気。それだけは、絶対に負けない。誰よりも勝利に対して貪欲で、負けず嫌いで、大事な一本が決まるたび、喜びを爆発させる。
「私には、それぐらいしかできないんです」
 そう言って、照れ笑いを浮かべる。だが絶対無二の存在感を放ち、まさに攻守の要と言うべき近江の代わりは誰にでも簡単に務まるものではない。
 ファイナル6で1ポイント差に泣き、ファイナル3への道を絶たれた昨シーズン。中盤から終盤にかけ、ケガで戦列を離れ、コートに立つ選手たちをサポートすることはできても、自らのプレーでチームを勝利に導くことはできなかった。その悔しさは、今でも色濃く残り、誰よりも自分自身がその苦い経験を抱き続けながら戦い続けて来た。トップレベルでプレーする以上、時にはケガも避けられない。だが、だからこそ少しでもそのリスクを減らすべく、試合前や試合後のストレッチに時間をかけ、体を休める時間もこれまで以上に意識して長いリーグを、ここまで常にコートに立ち続けて戦ってきた。
 相手からすれば「なぜそのボールを拾う?」と思わせるような守備力も武器だが、今季は特に攻撃力にも磨きをかけ、バックアタックにも積極的に入る。
「今まではミドルや紗理那に負担をかけすぎてきたので、少しでもみんなを生かせるように。ずっとやってきたことは、少しずついい形になってきている実感があります」
 仲間を信じて。自分を信じて。リベンジを誓った今シーズン、間もなく、ファイナルラウンドの幕が開く。
「レギュラーラウンド1位だからといってファイナル6は関係ないし、5ポイントもあってないようなもの。ここまで頑張って来た成果ではあるけれど、それもいい意味で消し去って、ここからの一発勝負を勝ちに行きたいです」
 笑顔の奥で勝負師の目が光る。
 負けられない戦いでこそ、近江あかりは誰よりも光輝く――。

 

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