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レッドロケッツ応援記 ~2/19 対トヨタ車体クインシーズ戦 相手の気迫に押され、ストレートでの手痛い敗戦~

  info_category1.gif2017/02/20



 レッドロケッツにとっては、7年ぶりとなる福岡でのV・プレミアリーグだった。福岡入りしてからチームは、「勝利の神」が祀られている筥崎宮を訪れ、必勝祈願を行ったという。勝利に対する貪欲さは、いつにも増して強かった。
 ファイナル6第2戦の相手は、トヨタ車体クインシーズである。今季は、若手主体で臨んだV・サマーリーグを除けば、レギュラーラウンド3戦と天皇杯・皇后杯全日本選手権の準々決勝と合わせ4度対戦し、いずれもレッドロケッツが3-0、あるいは3-1で快勝している。ただ、だからと言って、今回も楽に勝てるだろうとは、選手の誰一人として考えてはいなかった。山口が「相手が思いっきり来ることわかっていた」と言うように、むしろ「今度こそ勝つ」という気持ちでぶつかってくることが予想される相手を警戒していた。
 しかもトヨタ車体は、レギュラーラウンドこそ5位通過ながら、ファイナル6に入ってから調子を上げつつあった。初戦で久光製薬スプリングスとフルセットにもつれ込む接戦を演じ、前日の18日にはJTマーヴェラスをストレートで下している。勢いに乗っており、決して油断できる相手ではなかったのだ。実際、試合はレッドロケッツにとって難しいものになった。
 
 大野の速攻やニコロバのスパイクが決まり、守備でもリベロ鳥越が軽快な動きを見せ、立ち上がりはまずまずのスタートだった。しかし、4-5から相手に走られて5連続失点。古賀のスパイクや近江のバックアタックで必死に追いすがったが、逃げる相手をなかなか捉えられない。それでもラリーの中から鳥越が上げたトスをニコロバが打ち切って2点差に。粘って相手のミスを誘い、18-19まで迫った。だが、そこからのあと一歩が及ばず、22-25で最初のセットを落としてしまう。



 この日のポイントの一つになったのが、相手エース・ポリーナのポジション変更だった。レギュラーラウンドまで務めたレフトからオポジット(セッター対角)に移り、それがファイナル6でのトヨタ車体の好調につながっていた。鳥越は「ミーティングで確認していたので、対策はできていました」と語ったが、古賀が「少し対応が遅れた印象があります」と言うように破壊力ある攻撃に苦しめられたのも事実だった。山田監督もこう分析する。
「ポリーナ選手のレフトからの攻撃に対してはずっとやってきているので慣れもありましたが、今回は適応するのに少し時間がかかりました。レフトから多用してくるクロスアタックはリベロや強いレシーバーで対抗できるものの、今日はとくにライトから強いディガーがいないところに決定打をやられる場面が多かったと思います」
 第2セットに入ると、「1セット目よりも簡単にアタックポイントを取られる場面は減らすことができた」という山田監督の言葉通り、相手の攻撃に対応しつつ、徐々に自分たちのバレーを出せるようになっていった。ニコロバが強烈なサーブで相手を崩し、近江がダイレクトで押し込む。8-6から逆転を許したが、ニコロバに代わって入った柳田のスパイクと近江のサービスエースで流れを引き戻し、14-11と抜け出しにかかった。
 ただ、トヨタ車体のこの一戦にかける集中力は凄まじく、「押された場面で受け身になって引いてしまった」(山口)ことが相手を再び勢いづかせることになる。16-18とされ、近江の連続得点で一度は同点にしたものの、そこから勝ち越すことはできないまま、 このセットも21-25で失った。



 早くも追い込まれたレッドロケッツだが、もちろん、そこで諦めるはずもない。福岡市民体育館に駆けつけたサポーターからも選手を勇気づける声援が送られた。
 第3セットは山口のサービスエースで先制。近江の巧みなプレーや島村のブロックで3点をリードし、最初のテクニカルタイムアウトを迎える。大野は速攻、古賀はバックアタックで続き、リードを守りながら得点を重ねた。12-9から一瞬の隙を突かれて逆転されたものの、島村に代わって送り込まれた上野が存在感を発揮する。わずかの数分間の間に速攻やブロックで4得点。鳥越が手を軽く擦りむき、一旦治療に下がったときには、岩﨑がとっさにコートに入って緊急事態を乗り切った。22-23と切迫した場面ではニコロバがフェイントやバックアタックでしのぎ、デュースに入ってからも互いに譲らないまま、スコアだけが積み重ねられていく。
 しかし、レッドロケッツは4度、セットポイントを握りながらそれをものにできず、34-36。山田監督が「第3セットを取れていれば、また行けるというムードが出てきたと思うのですが…」と悔やんだように、ストレートでの悔しい敗戦となってしまった。
 
「ポリーナ選手にやられるのは、ある程度は仕方ないと割り切っていました。それよりも他の選手にかなり決められたことが良くなかった」
 試合後にそう振り返ったのは鳥越だ。たしかに今季のトヨタ車体との対戦でも、ポリーナには多くの得点を決められたが、他の選手はある程度、抑えることができていた。そうしたチームとしての反省もあれば、山口のように「相手のしつこいブロックに対して、だんだんサイドばかりを使うようになってしまった」と、選手個々の反省点を挙げる者もいた。
 ただ、言うまでもなく、この敗戦をなかったことにすることはできない。できることは、この教訓を次に生かしていくだけである。山田監督も「これから当たる相手も、NECに対しては高いモチベーションで戦ってくると思います。そこで受け身にならずに、自分たちのバレーを出していけるようにやっていきたい」と冷静に語っている。
 26日の次節は、レッドロケッツのホームでもある大田区総合体育館に舞台は移される。サポーターの力を借りながら勝利をもぎ取り、混戦になりつつあるファイナル6を抜け出したいところだ。





~チーム最多得点で攻撃陣をリードするも勝利には届かず~
 試合後の会見場に現れた古賀は、悔しさを押し殺すように静かに語った。
「自分たちの強みである粘りやつなぎの面で劣っていました。どこかで受け身に回ってしまった部分があったのか、いつも落ちないようなボールが落ちてしまって、リズムを作り切れませんでした」
 それでも攻撃面では最後まで奮闘し、チームを力強く牽引した。この日のチームのアタック総本数のうち、実に3割以上が古賀の右腕から放たれたものだった。とくに第3セット、デュースに入ってはレフトから打って打って打ちまくった。34-34にまでもつれ込んだ場面で渾身のスパイクがシャットアウトされ、次のポイントもものにできずにチームは敗れたが、「古賀が止められたのなら仕方ない」と思わせるほどの活躍ぶりだった。
 山田監督は、「チームとしての理想は、相手にこの選手だけ抑えればいい、と的を絞らせないように展開すること」と言っている。つまり、古賀だけに頼るのではなく、ミドルやバックアタックを含め、どこからでも攻撃できるバレーを追及しているわけだ。
 しかし、同時に「苦しい局面では、相手が古賀で来るとわかっていても、古賀で決めなければいけないときもあります」とも言うように、相手との兼ね合いで、どうしてもサイド攻撃に偏らざるを得ない場面も出てくる。この日の勝負所で、セッターの山口が古賀にトスを上げることが目立ったのもそうした事情があったからで、古賀もまたチームの期待に必死のプレーで応え続けた。
 チームが負けてしまった以上、古賀本人に満足感はないかもしれない。だが、古賀を支える周囲の者は、若きエースが大きなプレッシャーを抱えながらも、日々進化を遂げていることを知っている。
「1試合ごとに見ていくと、良い出来だったり、悪い出来だったりすることはあります。でも、たとえばサーブレシーブで狙われたり、ブロックで的を絞られたり、そういう高い負荷をかけられている中でプレーすることで、試合を重ねるごとに成長していると思います」(山田監督)
 出身地の佐賀県から近いこともあり、「家族が応援に来てくれたのが力になった」と振り返った古賀。ただ、勝利をプレゼントできなかったことは心残りだったに違いない。だからこそ、「来週の試合では、気持ちの面でもう一つギアを上げて挑みたい」という言葉が自然に口をついたのだろう。
「応援に来てくれた人は、私たちが勝つことで応援して良かったなと思ってもらえると思います。そのためにも、まずは自分たちのバレーをすること。それが勝ちにつながると思うので、その部分はぶらすことなく、全員で頑張りたいです」
 この敗戦の悔しさを糧にし、古賀はチームメートとともに次なる戦いに挑む。
(取材・文:小野哲史)

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