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レッドロケッツ応援記 ~3/17、18 対久光製薬スプリングス戦 2試合連続の死闘を制し、2年ぶり6度目のVリーグ制覇!~

  info_category1.gif2017/03/21



 長いシーズンを経て、ようやくたどり着いた、レッドロケッツにとっては2年ぶりとなるファイナルの舞台だった。今季よりこれまでの一発勝負から2戦方式に変更されたが、「初戦を落としても、もう1試合ある」などと考えている者は1人としていなかった。目の前の試合に全力を注ぎ、勝つ――。〝一戦必勝〟こそが、シーズンを通して貫いてきたレッドロケッツのスタンスである。
 相手は前回王者の久光製薬スプリングスだ。山田監督は前日の会見で、「我々が優勝を狙うことを考えたとき、いつも決勝で勝たなければいけない相手としてイメージしてきた」と話した。最高の舞台で、最強の相手に挑んだファイナルは、17日の第1戦から2時間を超える大熱戦となった。



 セット半ばから徐々にリードを広げられた第1セットは20-25で落としたが、レッドロケッツは第2セットを25-22で奪い返す。大きく点差を開くことはできなかったものの、鳥越の堅守とニコロバの攻撃を軸に終始、先行しながらゲームを進め、22-21から島村の速攻と近江のスパイクで相手を振り切った。しかし、第3セットは18-25で失い、再びセットカウントでリードを許す。レッドロケッツは正や柳田、小山ら、途中交代で入ったメンバーがそれぞれに持ち味を発揮し、得点に絡んだものの、相手に傾いた流れを引き戻すには至らなかった。
 ただ、追い込まれた苦しい状況ではあったが、選手たちから絶望感や悲壮感が少しも感じられなかったのは、ファイナルを戦う者としての誇りがあったからだろう。サーブレシーブや攻撃面で奮闘した古賀も、「試合の入りは緊張したけれど、こういう舞台は誰もが経験できるものではない」と語っている。数の上では相手を圧倒したレッドロケッツサポーターの存在も大きかったに違いない。



 25-23で奪った第4セットと、デュースにもつれ込んだ第5セットは、それまで以上に激しい点の取り合いが展開された。第4セットは21-20まではほぼ互角だったが、ニコロバの豪快なバックアタックの後、このセットはスタートから起用された上野のサーブで相手守備を崩したところを大野が速攻で仕留め、最後は古賀のスパイクが炸裂した。
 勝負のファイナルセットも両チームが攻守においてハイレベルなプレーをぶつけ合い、互いが一歩も引かない。13-14から17-18までレッドロケッツは相手の5度のマッチポイントをしのいだが、とくに17-18の場面で大野が決めた鮮やかな速攻は、山口が「こちらのミドルが機能することで相手も嫌だと思う」と振り返ったように、相手に的を絞らせない大きな効果があった。そして18-18に追いつくと、直後にニコロバが2本の強打を突き刺し、白熱したゲームに終止符を打った。
「難しい試合でしたが、チームワークで勝てました。でも、明日が重要です。みんなで1つになって頑張りたい」
 35得点をマークし、勝利の立役者となったニコロバは、試合後のヒーローインタビューでそう語った。それはレッドロケッツの誰もが感じていたことだった。優勝まであと1勝。しかし、近づいたように見える栄冠は、まだはるか遠くにあった。



ファイナル、第2戦目

 翌日の試合に向け、選手はまず何よりコンディションの調整に意識を傾けた。山口が言う。
「明日、自分が最高のパフォーマンスを出すために、それまでの時間、何をしたらいいかというのを1人ひとりが考えて行動できていました」
 準備に抜かりはなかった上、古賀が話したように「第1戦を勝ったことで疲労度が違った」という面があったかもしれない。迎えた18日の第2戦は、立ち上がりからレッドロケッツの動きは軽快だった。ただ、追い込まれた状況にあった久光製薬の気迫は凄まじく、第1セットを23-25の僅差で落とすと、第2セットも序盤で2-6と主導権を握られてしまう。
 どこか嫌なムードになりかけたが、動揺せずに1点ずつ差を縮めていくしかない。「対策をされて、苦しい時間が続いた」と感じていた大野や上野が速攻を突き刺し、ニコロバの強打で追い上げて、16-17。そして、次のプレーが大きかった。近江のラインぎりぎりをついたスパイクはアウトの判定だったものの、山田監督はすかさずチャレンジを要求。それが「イン」の判定に覆り、ついに同点に追いつく。22-22からは古賀がスパイクとブロックを決め、25-22でセットを奪い返した。



 仮にこのセットを落としていたら、一気に第3セットも押し切られ、場合によってはゴールデンセットも勢いに乗って取られた可能性があった。だが、最大のピンチを乗り切ったことで、再びレッドロケッツに勢いがつき、逆に第3セットを25-19で奪う。第1戦後に「明日もチャレンジャーという気持ちを忘れずに、1点1点こだわってプレーしたい」と言っていた鳥越や近江だけではなく、ニコロバや大野らを含めた全員の粘り強い守備が攻撃の良いリズムを作り出していった。
 ところが、第4セットは中盤からリードを広げられ、18-25。百戦錬磨の前回王者はまだまだ諦めてはいなかった。
 第1戦に続き、もつれ込んだファイナルセット。ニコロバのスパイクとブロックで2点を先制し、大野と近江が続く。  山口が難しい体勢から懸命に上げたアンダートスは古賀がしっかりと打ち切った。8-5と流れをつかんだレッドロケッツはチェンジコート後、怒涛の攻撃で相手に襲いかかった。ブロックで確実にワンタッチを取り、鳥越や古賀らが身体を張って拾うと、ニコロバと大野の得点で11-5とさらにリードを広げる。14-6で迎えたチャンピオンシップポイントは山口が丁寧に上げたボールを近江が渾身の力で振り抜き、2日に及ぶ大激戦を締めくくった。



V・プレミアリーグ、2年ぶり6度目の優勝

 選手やスタッフ、サポーター…レッドロケッツに携わるすべての者が待ちわびた瞬間だった。
 誰もがあふれ出る涙を拭おうともせず、顔をくしゃくしゃにしながら抱擁を交わし合う。何度も流してきた負の感情による涙ではない。正真正銘の嬉し涙だ。
 連覇を果たすことができずに終わった昨シーズン終了から1年間、選手は様々な感情とともに日々を過ごしてきたが、喜びや嬉しさ、楽しさを味わえる時間は全体のほんの一部だったに違いない。多くは苦しみや辛さ、悔しさだったはずである。来る日も来る日も厳しい練習に耐え、週末はプレッシャーのかかる試合に臨み、負ければ言いようのない悔しさに襲われる。たとえ試合に勝てたとしても、安堵できるのはひと時に過ぎず、また翌日からは次の試合に向けた猛練習に入っていく。
 そうした世界に生きているからこそ、選手たちが流す嬉し涙は掛け値なしに美しく、輝いていた。



 それぞれの喜びのコメントも、激戦の直後だけに私たちの心にストレートに伝わってくる。
「昨年の5月から自分たちが取り組んできたことが出し切れて、本当に嬉しいです。(勝ち切れたのは)どんな状況でも絶対に1人ひとりが折れなかったから。ファイナルでは、チーム力が大事だと改めて思いました」(大野)
「今季を最高の形で締めくくることができて嬉しく思いますし、応援してくださったたくさんの方に感謝しています。2日間ともフルセットとなり、久光製薬さんとお互いに意地を出し合って戦ったので、すごく思い出に残る試合になりました」(山口)
「この優勝を目標に1年間やってきました。開幕戦から勝ちが続かなかった時期や、所どころで苦しいときがありましたが、選手とスタッフが一致団結して勝ち獲れた優勝だと思います。(表彰式で受け取った)ブランデージ・トロフィーはずっしりと重かったです」(岩﨑)
 山田監督は2014/15シーズンの優勝と比べて、選手が大きく成長したことを感じたという。
「2シーズン前は追いかける立場でしたし、目の前の一戦を無我夢中で戦いながら気づいたら優勝していたという感じが正直ありました。それが昨季からは狙って優勝を取りに行こうと取り組み、昨季は1ポイント届かずにファイナル3に行けませんでした。でも、今季はそれぞれが自覚と責任を持ち、選手1人ひとりが考えながらチームを作っていく成長があったと思います。それが結果に結びついたことが嬉しいですし、選手の成長を間近で見ることができて幸運でした」


 
 2016/17V・プレミアリーグシーズンは、前身の日本リーグから数えて50年目の記念のシーズンだった。そして、1994年に開幕したVリーグの歴史において、優勝回数がともに5回で並んでいた久光製薬を破り、レッドロケッツは最多となる6度目の優勝を果たした。2夜連続で繰り広げたファイナルの激闘は、これからも永く語り継がれることだろう。






~チームを2年ぶりの優勝に導いた進化をやめない大黒柱~

 優勝を決める最後のポイントは、やはり近江だった。
 2シーズン前に優勝したときと同じように、レフトから渾身の力を込めてその右腕を振り抜いた。
「(セッターの山口)かなめが絶対に(自分にトスを)上げてくれると思ったので、思い切って気持ちを込めて打ちました」
 改めて言うまでもなく、粘り強く拾って、多彩な攻撃を繰り出すレッドロケッツの大黒柱だ。ファイナルの2連戦でも近江の存在がチームに安定感をもたらし、精神面でも若いチームメートを支えた。ただ、自身は重圧も抱えていたという。
「(ファイナル6の大会方式なった一昨シーズンから)今までレギュラーラウンドとファイナル6を1位通過したチームは優勝したことがありません。自分の中ではそういうプレッシャーもゼロではなかった」
 それでも前を向いてやるしかない。近江は仲間と自分自身、そして今まで取り組んできたことを信じて、コートを無尽に走り回った。「もともと得意としていたので、やって当たり前」と考えている守備には定評があったが、今リーグを振り返ると、オフェンス面での成長を実感できたと話す。
「今まではまだまだ劣る部分がありましたが、今季はブロックアウトなど、いろいろなプレーにトライし、それが強みになってきました」
 実際、スパイクでは強打や絶妙なフェイントに加え、今季はバックアタックを打つ機会も増えた。レギュラーラウンドだけの数字で比較すると、怪我による欠場はあったもののアタックの総本数は昨季の294本から563本と、ほぼ倍増。もちろん、チーム戦術や各試合の状況にもよるが、近江がそれだけ多く攻撃に参加したことがわかる。
 自分を進化させるための近江の貪欲な姿勢は、チームメートにも波及し、それがチームの底上げとなって今回の優勝に結びついた面はあるだろう。そして、この優勝が「今後のチームにとってもプラスになる」と近江はきっぱりと言い切った。
 最高の形で幕を閉じたV・プレミアリーグではあるが、今季の戦いはまだ残されている。GWに大阪で開催される黒鷲旗もそうだが、その後、神戸で行われる世界クラブ選手権に向けて、近江は目を輝かせながら抱負を語った。
「世界クラブ選手権は未知の世界ではありますが、出場するからにはチャレンジャーとして、どれだけ海外の選手相手に通用するかを試したい。持っている力を出し切って、新たな歴史を刻みたいと思います」
(取材・文:小野哲史)


 

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