レッドロケッツ応援記 ~3/7 シーガルズ戦 大一番での悔しい敗戦、頑張れ、レッドロケッツ!~

  info_category1.gif2010/03/08



 大事な一戦であることは重々わかっていた。
 相手に負けないよう、気持ちを高めるように試合前の練習中からいつも以上に声を出した。1本1本のレシーブ、スパイク、それぞれがすべきことを意識して、この一戦に臨む。リーグ戦の28試合すべてが大切で、優劣をつけることなどできないのはわかっている。そして、これからの5試合が、すべて、負けられない試合であることも。

 セミファイナルへ向け、残る椅子は1つ。
 3月6日、土曜日の試合ではその座を争う現在4位のデンソーエアリービーズを、とどろきホームゲームに続いてフルセットで下した。勢いもあった。そして、同じ9勝で並ぶ岡山シーガルズとの対戦。リベロの井野は言う。
「相手のペースが独特なので、合わせないように注意していました。でも、それが前半からできていなかった。だから、ああいう展開になってしまったんだと思います」
 センター陣の移動攻撃や、ブロックの僅かな隙間やコートのスペースに軟打を落とすタッチバレーを得意とするシーガルズ。相手に好き勝手にコンビを組ませると実に厄介な相手だ。まず、カギになるのはサーブとサーブレシーブ。
 第1セットの立ち上がり、3-6と劣勢の場面でまずこのポイントを実践して見せたのがフォフィーニャだった。1本目はコートの奥を狙い、2本目はやや前へ。連続サービスエースを奪い、さらにサーブでシーガルズを揺さぶる。フォフィーニャの攻めのサーブがチームに勢いを与え、センター、レフト、ライト、秋山がトスを巧みに振り分け、最後は松浦が決め、7-6と逆転に成功する。


 
 このまま一気に流れをつかみ、自分たちのペースでバレーが展開できれば、どこが相手だろうと怖いものなどない。だが、守備を固め、つなぎに徹したシーガルズに対し、レッドロケッツのサーブレシーブが僅かに乱れ、サイドアウトがなかなか取れない。中盤からの連続失点で、せっかく得たリードが1点、また1点と消えて行く。
「サーブレシーブが返っているうちはいいんです。それが崩れてしまうとセンター線が使えなくなり、サイドも通らない。なかなか決まらないことに焦りが生じ、全員が1本で決めようとしてしまうので、相手に拾われ、切り返されるだけで浮き足だってしまい、全体的に悪い流れにはまってしまいました」
 山田監督は、それをまさに「自滅」と評した。相手のペースに持って行かれる前に、自分たちが崩れたことで、相手にペースを与えてしまった――。徐々に盛り返し、有田、杉山のブロックなどで反撃の契機を見出すも、勝利するときには見られた粘りが、あと一歩、シーガルズに及ばない。両者に生じたわずかな差を、井野はこう評した。
「自分たちがうまくまとまりきれないうちに、相手の得意なプレーをやられてしまった。完全に、足が止まっていました」

 第2セットも先行され、苦しい展開は続く。しかし、ここで再び原点に立ち返り、中盤からは相手のペースではなく、自分たちのスタイルに持ち込むために、攻めのサーブを意識。これが奏功し、杉山、秋山のサーブで相手のミスを誘い、中盤に連続得点を挙げる。20点を超えても点差が開かず、手に汗握る展開の中、22-23の場面で再びフォフィーニャのサーブがシーガルズの守備を崩し、若浦のレフトからのスパイクを内藤がきれいにシャットアウト。続くサーブもレシーブを乱し、相手のミスで24点目を得た。1本切り返され、24-24とジュースにもつれたが、内田の好レシーブを得点につなげ、25-24と再びセットポイントを握り、最後は内田がライトからのスパイクを決め、第2セットを奪取した。


 

 セットカウント1-1で迎えた第3セット。まず主導権を握ったのは、レッドロケッツだった。ライトに入った有田がクロススパイクを立て続けに決め、序盤からリードする。しかし、第1セットと同様に、シーガルズの手堅い守備を前に、なかなか攻撃が通らず、逆に相手が得点を重ねていく。劣勢に回ったため、サーブも攻めきれず、悪循環は続く。第3セットを落とし、第4セットは8連続失点を喫するなど完全にペースを握られてしまい、3-13と10点差をつけられてしまう。
 ここで山田監督は、ライトに安藤を投入。
「たとえ劣勢でも1人1人が勇気を持ってコートに立てるかということは非常に大きい。安藤がコートで示した姿勢が、まさにそれを実践していました」
 体育館の2階スタンドまで、安藤の声が響く。
「ブロック2枚!」
「フォフィ、頑張れ!」
 特別なことではない。誰もがすべき、当たり前のこと。だが、点差が開いていくたびに、コートの空気は沈滞していた。



「点数がどうのこうのと言う前に、自分がやることをしたかったし、まずは盛り上げたかった。相手のポジショニングやブロックの枚数もそうですが、まずは打つ人に対するコールをすることが大事、それだけ考えてプレーしていました」
 空気を変えたのは声だけではない。12-22でサービスエースを奪い、続けて放った攻めのサーブが効果を発し、杉山のブロックで連続得点。ここから、レッドロケッツの反撃が始まった。
 内田、フォフィーニャがスパイクを決め、杉山のブロックと、相手のミスを誘うような粘りのディフェンス。ようやく本来のリズムを取り戻したレッドロケッツは怒涛の6連続得点で20-23と3点差まで迫る。あと一歩、絶対にあきらめるな――。最後まで必死にボールへ食らいついたが、大量リードを跳ね返すには至らず。21-25で第4セットを失い、セットカウント1-3、10勝目を得ることはできなかった。




 試合の流れを変えられるチャンス、ポイントがあっただけに、山田監督も悔しさを顕わにする。
「1戦でも落としたらもう望みはないという状況で、勝負への執着心という点で、シーガルズのほうが上回っていたのかもしれない。その差が、結果につながってしまいました」
 残りは、4戦を残すのみ。
 この1敗で、厳しさを増したことに代わりはない。だからこそ、それが次への糧になる。井野が、まっすぐに前を見て言った。
「リーグを通してつくりあげてきたものがある。だから、最後まで自分たちが悔いのないように、成長できるように、まとまって、1つ1つ大切に戦いたいです」
 今こそ、戦う心と勇気を持って。あきらめず、泥臭く。自分を、チームを信じて――。

(取材・文:田中 夕子)

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