レッドロケッツ応援記  ~7/7~9 2017V・サマーリーグ女子大会(東部大会)レポート~

  info_category1.gif2017/07/10

頂点には届かずも限られた戦力で価値ある準優勝!



 レッドロケッツにとっては連覇がかかる秋からの2017/18V・プレミアリーグシーズン。その開幕に向けた第一歩となるのが、この時期恒例のV・サマーリーグだ。2年前と同様、東西に分かれて優勝が争われた今大会、レッドロケッツは7日から3日間に亘って、ひたちなか市総合運動公園総合体育館で行われた東部大会で計5試合をこなした。
 島村と古賀が全日本メンバーとして欧州遠征に参加している他、新人の山内、塚田、小島はユニバーシアードでベトナムに、荒谷が世界ジュニア選手権でメキシコへと、それぞれ日本代表として世界各地で奮闘しており、サマーリーグ出場組は10人という少数だったが、選手は前向きな姿勢で大会に臨んだ。今季からキャプテンを務める柳田が言う。
「昨季は日本一になって世界クラブも経験して、そうした経験をベースにまた新しいNECを作ろうということで、今回はチームとして、また1人1人が目的を持っていました」
 山田監督は、掲げていた具体的なテーマを次のように話す。
「オフェンス面ではサイドのテンポのスピードアップ。具体的には速い平行トスを打つ精度を定着させることと、状況が悪ければ、ゆっくり目のトスをしっかり身体を使って打つという2種類です。ブロックは従来よりも助走を取って、しっかりスイングして跳ぶというブロックに挑戦しています。ミドルブロッカーはパスが乱れたときにも存在感を出して、相手に印象づけるようにする。そして、サーブレシーブは、とくに両レフトの重点課題として考えていました」



 今大会は5試合を通して、レフトに柳田と廣瀬、センターに家高と上野、リベロに岩﨑が入り、山口と奥山との2セッター制を敷いた。これまでほとんど採用してこなかった布陣であり、奥山は「ローテーションがいつもと全然違うので、ラリー中に混乱したりして最初は戸惑いました」と笑うが、「その分、コートでの会話が増えたり、各選手がいつもはやらないことをやらなければいけなかったりなど、仕事もあって、逆にそのことで自分たちのプレーの幅が広がったという思いがあります」とプラスに捉えていた。
 7日のグループリーグ戦では、ブレス浜松と柏エンゼルクロスのV・チャレンジリーグⅡ勢をともにストレートで下し、2連勝と好発進。8日の順位決定リーグ戦では、PFUブルーキャッツの粘りの前にストレート負けを喫したが、続くデンソーエアリービーズ戦では第1セットを落とす劣勢を強いられながら、最終第3セットの大接戦をものにして逆転勝利を収めた。



 迎えた9日の大会最終戦となる日立リヴァーレ戦。この日の第1試合でPFUが勝利したことでレッドロケッツの優勝の可能性はなくなっていたが、選手たちは各自の課題を頭に入れながら目の前の一戦に勝つことだけに集中した。
 第1セット序盤に存在感を示したのが、ミドルブロッカーの2人だ。上野が先制点の後に速攻を決めれば、家高も速攻と鋭いブロード攻撃を突き刺した。セット中盤まではリードされては追いつき、追いついては再び離されるという展開だったが、14-14からの3連続失点で山田監督が2度目のタイムアウトを取った直後から、流れが徐々にレッドロケッツに傾いてきた。「(荒谷が不在だったことで)年齢的には私が一番下。自分が起爆剤になってチームを盛り上げられるように頑張りたいと思っていた」という廣瀬が、狭いストレートを力強く打ち抜いて同点とすると、続く自らのサーブでエースを奪って逆転に成功。奥山と家高の鮮やかなコンビと上野のブロックも決まって一歩抜け出し、25-23でセットを先取した。
 第2セットもリベロ岩﨑の安定した守備と山口の落ち着いたトスワークが光った。課題にしていたブロックも廣瀬、家高、柳田が相手の攻撃をシャットアウトするなど機能し、着実に得点を重ねていく。中盤に一時リードを奪われたものの、15-17から上野のスパイクと山口のサービスエース、さらに廣瀬の豪快なバックアタックなどで再逆転。山口に代わって入った篠原は直後に丁寧なトスで廣瀬の得点をお膳立てした。22-22から廣瀬の連続得点で突き放すと、最後はチャンスボールを家高が確実に叩き、25-22。レッドロケッツが勝利を手にし、この大会を準優勝で終えた。



 選手はこの3日間でそれぞれに収穫と課題をつかんだようだ。
奥山が「昨日(大会2日目)などは思い切って速いトスを上げられる場面もありましたが、高さもバラバラだったりしてまだ安定しません。そこはリーグに向けてもっと一定にしていきたい」と語れば、柳田も「手応えがあった部分もあったし、逆にまだ足りないというか、気持ちの面で弱さも出てしまった部分もありました。とくに今回はレフトに入り、サーブレシーブでは自分はまだ技術が足りなかった。生半可にやったら絶対に務まらないポジションなので、これからは気持ちを強く持ってやりたいと思います」と固く誓っていた。
 昨季までの主力だった近江や鳥越らが抜けた穴は小さくない。そして、それを不安視する周囲の声もある。しかし、山田監督はそうした状況をむしろ成長の糧にしたいと語っている。
「数人が変わることになりますが、昨季より高い目標を持って今、みんなで頑張っています。近江たちが抜けたことが逆に活性化になって、チームがより強くなるというところを目指しています」
 これから始まる夏の鍛錬期は、選手たちにとって体力的にも精神的にももっとも過酷な時期かもしれない。ただ、それを乗り越えたときにどんなバージョンアップが成し遂げられているのか。秋のV・プレミアリーグ開幕を楽しみに待ちたい。







~爆発的な攻撃力と持ち前の明るさを武器に勝負の2年目へ~

 ルーキーとして出場した昨年のV・サマーリーグでは、チームの最終順位は7位ながら将来性の高い選手に贈られる「フレッシュスター賞」を受賞した。あれから1年が経過し、廣瀬はさらに成長した姿をこの大会で披露した。
「新しいチームがスタートして、今季は自分が引っ張っていくんだという気持ちを持っています」
口にする言葉からして頼もしさを感じるが、そのプレーぶりも実に堂々としたものだった。ダイナミックなフォームから繰り出されるジャンプサーブやパワフルなスパイクは、すでにチーム内でも上位の力を備えていると言っていいだろう。今大会3日目の日立戦でも、第1セットの勝負所で相手に傾きかけていた流れをぐっと引き寄せ、第2セット終盤に見せた攻撃力は誰よりも際立っていた。22-22から思い切りのいいスパイクを決めると、続くサーブでサービスエース。マッチポイントも強烈なサーブで相手守備を崩し、家高のポイントを演出した。
山田監督も、今大会でとくに評価できる選手として廣瀬の名を挙げている。
「大会を通じて、おそらくアタック本数もサーブレシーブの受数もチームで一番多いのではないでしょうか。そういう意味では実戦の中でとても良い経験ができたと思います」
 廣瀬自身、今大会で成長を実感できた部分があるという。
「以前までは自分のサーブでブレイクできたとき、次のサーブをミスして終わってしまうことが多かったのですが、今大会の2日目の2試合と最終戦では、自分のサーブがブレイクしてもその直後に自分のサーブミスで終わることがなかった。そこは成長できた部分だと思うので、自分をちょっと褒めてあげたいです」
 とはいえ、今大会のプレーが目指す到達点とは思っていない。攻撃はまだまだ粗削りな面を残しており、レギュラーポジション獲得には守備面でのさらなる努力が不可欠だ。廣瀬もそのことをよく理解している。
「課題はサーブキャッチ。1本目が入らないと誰も攻撃できませんし、今、チームとしても世界に通用するようなバレーを目指しています。速いコンビやバックアタックで攻めるには、最初のパスが大事になると思うので、サーブキャッチをもっともっと頑張りたいです」
 持ち前の明るさでチームのムードメーカーでもある廣瀬。これまで以上の存在感で新生レッドロケッツを盛り上げてくれそうだ。
(取材・文:小野哲史)


 

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