レッドロケッツ応援記~3/14 パイオニア戦 好守で相手を圧倒し、ストレートで今季10勝目~

  info_category1.gif2010/03/15

 他会場の結果により、わずかに残されていたレッドロケッツの4強入りの可能性は、この試合前に消滅していた。しかし、その情報がチーム全員に行き渡っていたかは定かではない。山田監督は言う。
「選手は知っていたかもしれませんが、改めて伝えるようなことはしませんでした。可能性が残っていれば、それを目指して頑張るだけですし、もし可能性がなくなってしまったとしても、次の黒鷲旗や今後につなげていく。とにかく勝ちにこだわっていこうということだけでした」
 この日の相手パイオニアレッドウィングスは今季苦戦が続き、最下位に低迷してはいたが、対レッドロケッツに関して言えばこれまで2勝1敗。しかも会場がホーム山形県総合運動公園総合体育館ということもあって、決して侮ることのできない相手だった。それでも松浦が「勝ち越されてシーズンが終わるのは悔しいので、今回の試合は絶対に勝ちたいと思っていました」と話したように、開幕戦や第3レグで敗れた悔しさを晴らそうという強い決意が、選手たちにはみなぎっていた。

 内藤の速い攻撃から始まったゲーム。山田監督が試合後に「今まで立ち上がりで相手のペースになってしまうことが多かったけれど、今日は自分たちのリズムで試合に入れた」と振り返っていたが、たしかに序盤のチームには落ち着いた、いい意味での緊張感があった。すぐに主導権を握ったわけではなかったものの、フォフィーニャを中心に着実に得点を重ねていく。そして10-11から相手のミスに乗じ、フォフィーニャと杉山らの活躍で5連続得点を挙げて一歩抜け出すと、終盤には澁澤が相手ブロックを利用した巧みなスパイクや思い切りの良い強打で追加点。危なげのない試合運びを見せたレッドロケッツが、25-19で第1セットを先取した。


 第2セットもフォフィーニャのサービスエースで先制した後、澁澤のブロックや松浦の鋭いスパイクとフェイントなど、若い力がコートの中で躍動する。「みんなが必死につないでくれたボールだったので、気持ちを込めて打ちました」と澁澤。するとベテラン勢も黙ってはいない。杉山が得意のブロードを決め、内藤も見事なブロックで相手の攻撃を阻止した。何度かの連続得点を続けているうちに、気づけばスコアは20-10。セット終盤に投入された安藤も、すぐにスパイクを決めてコート上に満面の笑みを咲かせた。25-15で第2セットも奪ったレッドロケッツの勢いは、とどまる気配を見せなかった。


 第3セットは松浦のスパイクと内藤のサービスエースでいきなり3点をリードすると、7-6からはフォフィーニャの豪快なバックアタックなどで8連続得点。リベロ井野の安定感抜群の守備から、セッター秋山の多彩なトスワークを経て、アタッカー陣が次々とスパイクを突き刺していった。地元の大歓声を背にして戦うパイオニアもこの日ばかりはレッドロケッツの気迫に圧倒され、2回目のテクニカルタイムアウトを過ぎたあたりからは、もはや成すすべもないといった様子だった。レッドロケッツは澁澤の強烈なスパイクやフォフィーニャのバックアタックで集中力と攻撃の手を緩めず、最後は松浦がサービスエースで締めくくって25-11。ストレートでパイオニアを下し、今季の10勝目を手にした。

 試合のデータを見ると、杉山11点、内藤10点、フォフィーニャ16点、澁澤12点、松浦12点と、スタメンで起用されたアタッカー全員が2ケタ得点と、実にバランス良く得点をマークしていたことが伺える。チームメイトの活躍が刺激となって、選手一人ひとりの存在感が輝き出す。そんな戦いぶりはまさに、レッドロケッツが追い求めている理想形と言えるのかもしれない。なかでも光ったのが澁澤である。山田監督は「チームのいい流れを作る働きをしてくれました。アタックはもちろん、レシーブでも頑張っていましたし、何よりどんな状況でも声を出して、チームの士気を盛り立ててくれました。これまで1試合通してコートに立ったことはほとんどなかったと思いますが、彼女自身にとっても今日は大きな自信になったはずです」と、その活躍を高く評価した。
 4強入りへの道は閉ざされてしまったが、今シーズンのレギュラーラウンド残り2試合。澁澤は「私たちはみんなに支えられてバレーボールができている。最後まで精一杯、一つ一つ諦めずに頑張りたい」と、一つの勝利に満足したり謙虚さを忘れることなく、次なる戦いへ向けて気持ちを引き締めていた。

(取材・文:小野哲史)

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