日本代表凱旋インタビュー ~島村春世&古賀紗理那~

  info_category3.gif2017/10/02

2020年の東京オリンピックを目指して始動した、中田久美監督率いる新生・全日本。レッドロケッツからは島村春世と古賀紗理那が今年度のメンバーとして招集され、世界の強豪と戦ってきた。全日本の活動を通してどんな収穫を得て、それを来月から始まるV・プレミアリーグにどうつなげていきたいのか。島村、古賀両選手に聞いた。


――昨季はV・プレミアリーグで優勝し、5月には世界クラブ選手権にも出場しました。
その後、個人的にはどんなテーマや目標を持って全日本チームの活動をスタートしたのでしょうか?
島村 今回の代表では、監督も含めて新しいチームになったので、どれだけ自分をアピールできるかと、それと世界を相手にどれだけ自分が通用できるかという2つのテーマを持っていました。
古賀 NECでもそうですが、代表でもコンスタントに点数を取るということと、守備の面でも大崩れしないように、というのはNECでもやってきたことなので、そこは常に意識して今年はやってきました。



――全日本の中田久美監督は、久光製薬スプリングスに数々のタイトルをもたらした監督です。実際に指導を受けて、〝中田バレー〟はいかがでしたか?
島村 久美さんのバレーは、低くて速いバレーと思われがちですが、とにかく低くて速くすればいいわけではなく、時と場合によっては高い展開も作っていかないといけない面もあって、「臨機応変に自分で対応してもいいよ」という話も個人的にはしてくださったので、プレーしていてやりやすかったという点が挙げられます。
古賀 テーマに挙げられていることを徹底してやろうというのがあったと思います。1本目のテンポを良くするとか、ブロックとディフェンスの関係など、みんなで共通に認識し、それを徹底するというのは試合を通してやろうとしたことでした。



――バレーに対する姿勢や取り組み方など、メンタリティの部分で新たに学んだことはありましたか?
島村 久美さんは選手一人ひとりを見てくれていて、その時々によって良きアドバイスをしてくれます。すごく考えながらチーム作りをしている印象を強く受けました。そして、その都度かけられる言葉にはとても力がありましたし、勝負師だなと感じました。
古賀 フルセットで勝った試合が多かったのですが、そういう試合はだいたい1セット目や3セット目を取られてから逆転勝ちというパターンでした。それは久美さんだけに限らず、アナリストから伝えられた情報をスタッフから教えてもらい、選手が後半に対応できたからで、スタッフと選手の連携がしっかりしていました。久美さんが監督をされていた久光製薬が強かったのも、そういうところにあったと思います。

――スタッフという点では、トルコ人のフェルハト・アクバシュコーチは日本女子バレー史上初の外国人コーチです。外国の方が全日本や日本バレーをどんなふうに見ていたかというような話はされましたか?
古賀 そういう話はしていないので、わかりません。
島村 同じく、そうのような話はしていませんが、フェロー(コーチの呼び名)の場合、感覚が日本人に近いのかなと。「最後まで諦めるな」とか、トライしないことに対して厳しく指摘するのも日本人のような指導法でした。

――7月のFIVBワールドグランプリ2017で、全日本は予選ラウンド6位(6勝3敗)に終わり、惜しくも決勝ラウンド進出を逃しました。とくに印象に残っている試合は?
古賀 やはりブラジル戦(3-2で日本の勝利)ですね。ブラジルは世代交代している年と言っても強いイメージがありますから、そのチームにフルセットでしたが勝てたことは自信になりましたし、競り合って勝った試合はすごく印象に残るので、そういう意味で一番よく覚えています。
島村 個人的に印象に残ったのは中国戦(1-3で日本は敗戦。島村はスパイクで17点、ブロックで3点、サーブで1点の計21点をマーク)です。中国は主力が2人ほどいませんでしたが、昨年までとメンバーがほとんど変わらず、高いブロックの相手に対して、自分の持ち味であるブロード攻撃が決まり自信にもなり、またもっと通用していける選手になりたいと思いました。あとはオランダ戦(3-2で日本の勝利)も印象に残っています。というのも、前日のドミニカ共和国戦で負けた(1-3)後、久美さんが「勝負なんだから勝ち負けがあるのはしょうがないこと。一生懸命やって負けたならいいんだよ」と言ってくれて、普通なら負けて気持ちが落ちてしまうところで、オランダ戦は粘って勝ち切ることができた。それが自分の中では大きな収穫でした。

――負けてズルズル行かずに、しっかり切り替えられたわけですね。
島村 ワールドグランプリは連敗をしませんでした。試合に負けた際、久美さんが色々と声をかけてくださり、、チームとしても切り替えがうまくできたと思います。

――8月のアジア女子選手権大会で、全日本は2007年以来10年ぶりの優勝を果たしました。この大会はいかがでしたか?
古賀 私自身は出ていませんが、決勝戦のタイ戦(3-2で日本の勝利)が印象深いです。この大会で2回目、シーズンで4度目の対戦でしたが、しっかり勝てたのは良かったです。
島村 私も決勝のタイ戦ですね。同じチームに4回も当たるというのはなかなかありません。相手は日本チームの対策をしていますし、それまで勝負では勝っているとは言え、タイとの相性はそれほど良くないですから油断はできません。そんな状況の中、2セット落としてからの逆転勝ちでした。優勝決定戦という大事な試合で最後まで粘って勝てたのは、自分たちの力がついている証拠だと実感することができました。

――アジアで勝つということには、どんな意味がありますか?
島村 中国がフルメンバーではなかったので何とも言えませんが、アジアで勝っていかないと世界一にはなれません。その意味では一歩を踏み出せたのかなと思います。
古賀 今季の目標がアジア選手権での優勝だったので、しっかり達成できて良かったと思います。
――古賀さんは怪我をされて、9月のワールドグランドチャンピオンズカップ2017のメンバーから外れましたが、怪我の状況は?
古賀 どこで怪我をしたのかは自分でもわかりません。しかし、それほど深刻な怪我ではないので、ほとんど問題ありません。

――ワールドグランドチャンピオンズカップ2017は2勝3敗の5位で大会を終えました。島村さんの出番はありませんでしたが、ワールドグランプリに続いてブラジルを破るなど、見せ場もありました。全体的な感想はいかがですか?
島村 ブラジルに勝てたことはチームとしても大きかったです。ただ、良い試合は多かったけれど、勝ち切れなかった試合もありました。〝たら・れば〟になってしまいますが、ロシアに勝っていれば最終結果はまた変わっていただろうし、アメリカ戦もフルセットで負けてしまいました。悔しいですし、あの場に立っていたからこそ、もっとできたという思いが残りました。

――本当に惜しい試合が多かったように思います。一歩届かなかった要因は?
島村 勝負所で決め切れていないし、そこまで持っていけなかったプレーもありました。最後打ち切るまでどう持っていくかを見直さないといけないですし、そのためにもっとできたことがあったはずです。大会後に解散する時も、他のチームもレベルアップしてくるから、自分たちもそれぞれのチームに戻ってもっとレベルアップしないといけないね、という話をしていました。



――今年の結果を来年の全日本の活動にどうつなげていきたいですか?来年は日本で世界選手権が開催されます。
島村 圧倒的に体力がないのと、フィジカル面でまだまだ足りません。また、技術的にも海外チームが相手だと、もっと質の高いバレーをしていかないといけないと感じています。NECに戻ってからも国内だけではなく、世界でも通用するようなプレーができるようにしていきたいです。
古賀 先のことはあまり考えたくないので、まずはNECで次のリーグに向けて、チーム全員で勝てるようにして、その先につなげていけるように頑張りたいです。



――古賀さんは今季は副キャプテンです。その点でとくに意識することは?
古賀 バレーボールはチームスポーツなので、チームがひとつになるように頑張りたいなと思います。

――レッドロケッツに戻ってからは今、どんな練習に取り組んでいますか?
島村 チームとしてはサーブレシーブやディグなど個人的な練習が多いですが、徐々にチームの連携を作っていく練習にも時間を割いています。
古賀 私はリーグ戦へ向けてトレーナーさんとも相談しながらメニューをこなしています。


――目指すバレーは昨季から変わる部分はあるのでしょうか?
島村 チームとしては変わっていないと思います。コートに入るメンバーは多少変わりますが、1本目にセッターがジャンプトスできるところに持っていって、そこから全員で攻撃するというスタンスはこれまでと同じです。さらに精度を高めていくという感じですね。
古賀 昨季まではアカリ(近江)さんやミク(鳥越)さんの数字では表れない貢献度が大きかったので、そこは今いるメンバーで補っていかないといけません。誰かに任せるのではなく、全員がそれをできるようになったら崩れないチームになるはずなので、シーズンを通してそんなチームを作り上げていけたらいいなと思います。

――お二人が全日本に行かれている間にも、他の若手選手がアンダーカテゴリーの世界大会に出場し、活躍していました。
島村 みんなの結果は気になっていましたし、頑張っているのを知っていたので、それが私たちにとっても刺激になっていました。チームに合流して感じたことは色々なカテゴリーで経験を積んだことにより選手間のコミュニケーションも増えている気がしました。し、

――最後に、開幕が来月に迫ったV・プレミアリーグへの抱負とレッドロケッツのファンへ向けたメッセージをお願いします。
古賀 今季は昨季とはガラッと変わったチームで挑むことになりますが、新しいチームでも絶対優勝したいという気持ちがあります。個人の目標としては、シーズン通して崩れないようにやっていきたいですし、チームとして勝ちにつなげられるように貢献したいです。たくさんのファンのみなさんが応援してくださるので、その期待に応えられるように頑張っていきたいと思います。
島村 昨季優勝できたからこそ、2連覇という目標を掲げることができます。メンバーも多少入れ替わりましたが、今季は今季の良さがあります。その良さを出しながら、とにかく一戦一戦に懸けて目標を達成したいです。ファンの方たちの声援はチームの力になっていて、昨季はホームゲームで負けがなかったのも本当にその力だと思っています。今季もみなさんの力を借りながら一緒に戦っていきましょう。応援よろしくお願いいたします。
 

(構成:小野哲史)

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