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レッドロケッツ応援記  ~10/21 対久光製薬スプリングス戦 開幕戦で黒星発進も新戦力がリーグ戦デビュー~

  info_category1.gif2017/10/23


 
 V・プレミアリーグの2017/18シーズンが、ゼビオアリーナ仙台を舞台についに幕を開けた。
 試合に先駆けて行われた開会式では、今季からレッドロケッツの主将を担う柳田がブランデージ・トロフィーを返還するとともに、全選手を代表して、「50年を超える日本バレーボール界の重みある歴史に新たな1ページを刻み、東京オリンピックを見据え、バレーボールの魅力を多くの方々へ伝えていく」と力強く宣誓した。そして、レッドロケッツとしての最大の目標は、チーム初のリーグ2連覇を果たし、栄光のブランデージ・トロフィーを再び手中に収めること。今季はスローガンを「Over the top ~新たなる挑戦~」と掲げたが、まさに〝新たなる挑戦〟である。
 オープニングマッチには、レッドロケッツと久光製薬スプリングスが登場。昨季のファイナルで死闘を演じた両雄が、いきなり初戦で激突した。レッドロケッツは、セッターに山口が入り、その対角にはルーキーの山内。レフトは古賀と柳田、センターには大野と、1年目でチーム最年少の荒谷が抜擢された。リベロの岩﨑を含めた経験と実績のあるメンバーに、フレッシュな新人2人がチームにどんな風をもたらすか、注目が集まった。



 しかし、前日の会見で柳田が「NECらしい泥臭いバレーと今年のチームの強みであるオフェンスを活かして、明日からのリーグに挑みたい」と語っていた意気込みは、この開幕戦に限って、コート上で数多く披露されることはなかった。
 序盤から相手に押し込まれ、最初のテクニカルタイムアウトで早くも5点のビハインド。その後、山内、柳田、荒谷が豪快なバックアタックを決めて10-13とした中盤あたりで落ち着きを取り戻したかに見えたが、そこから再び引き離されて14-25でセットを先取されてしまう。山内も試合後、序盤の戦い方を反省の1つに挙げた。
「開幕戦という緊張感のある中で、スタートダッシュが重要と考えていました。勢いをつけて行こうと取り組みましたが、先に久光さんに走られてからうまく修正できなかったと感じます」
 ただ、第2セットに入ってからの内容はそれほど悪いものではなかった。膝の故障からの回復具合が心配された古賀は、鋭いスパイクで復調ぶりを証明し、8-7からは山内がパワーと巧さを見せつけて11-8とする。そこから相手の新外国人アキンラデウォの伸びのあるサーブに手を焼き、逆転を許したものの、柳田に替わって起用された廣瀬がすぐに結果を出した。3連続を含む立て続けの4得点で15-15。廣瀬は「流れが向こうに行きかけていたので、自分はチームを盛り上げようと思ってコートに入りました。あの場面に関してはみんなが笑顔になってくれたので、自分の仕事はできました」と胸を張る。
 ところが、2回目のテクニカルタイムアウト以降、逃げる相手をつかまえ切れない。山田監督はセッターをルーキーの塚田に替え、家高をピンチサーバーとして送り込むなど、なんとか局面の打開を図った。実際、荒谷がチャンスボールをダイレクトで叩き込み、古賀は冷静にフェイントを決める場面もあったが、いずれも単発に終わり、このセットも19-25で失った。



「まだまだこれからだ!」「諦めるな!」
 会場の4分の1を真っ赤に染めたレッドロケッツサポーターは、前向きな言葉で選手を後押しした。もちろん、選手たちにも諦めの気持ちはない。だが、第3セットは久光製薬の勢いがさらに増し、レッドロケッツは何をやってもうまくいかない悪循環に陥っていた。この試合はベンチスタートだった島村が速攻で1点をもぎ取るも、古賀が「相手がどうこうというより、お見合いなど自分たちのミスが多かった」と話したように、狂った歯車を最後まで修正し切れなかった。
 大量リードを許しても、岩﨑は手を叩きながら「切り替えて、切り替えて」と仲間を鼓舞し、山口も笑顔を作って沈みがちな雰囲気を何とか変えようとした。それでも点差は開く一方で、終盤に大野や山内が一矢報いるのが精一杯。結局、このセットは9-25、セットカウントでも0-3の完敗だった。
「あらゆる技術面で後手に回って力負けした試合でした」と振り返ったのは山田監督。様々な課題が浮き彫りになったが、サーブで崩された点については、「ラインを上げてサーブレシーブの隊形を作ったが、肩越しからエンドライン際にサービスエースを決められることが多かった。そこでオーバーハンドでのサーブレシーブにトライしたかったけれど、今日はできませんでした」と語っている。
 重要な開幕戦で徹底的に打ちのめされた選手たちに悔しさがないはずはない。もちろん、勝って波に乗れれば最高だったかもしれないが、見方を変えればV・レギュラーラウンド21試合のうちのたった1試合と考えることもできるだろう。昨季も開幕戦でつまずいたことを糧とし、開幕2戦目で勝利を収め、第2レグからの快進撃につなげたのだ。
 言うまでもなく、過去は取り戻せない。レッドロケッツの選手たちも悔しい思いを胸にしまって、前を見据えた。
「来週から試合はどんどん続く。良いプレーは伸ばしつつ、今日出た課題を真摯に考えながら消化したい」(柳田)
「リーグを通して成長していきたいので、細かいところを徹底してやっていきたい」(古賀)
 各チームは今後も前回王者のレッドロケッツに対し、ライバル心をむき出しにして挑んでくるだろうことは想像に難くない。2連覇への道のりは相当に厳しいものになるはずだ。それでも、そのポジションにいられることを誇りに感じながら、まずは次節で1つ目の勝利を手にしてほしい。





 
 開幕戦でレッドロケッツに最初の得点をもたらしたのは、新人の山内だった。1本目のプッシュは相手に拾われたものの、ラリーの中で再び上がってきたトスをライトから力強く叩きこんだ。
 すでに昨季、内定選手としてプレミアリーグデビューを飾り、V・ファイナルラウンドでも7試合に途中交替で出場していた。ただ、いずれもピンチサーバーとしてのワンポイントばかり。昨季とこの日の感覚は「まったく違った」と振り返る。
「コートに立つこと自体は同じですが、開幕戦の、しかもスタメンということで、責任感やプレッシャーを感じました」
 それでも堂々としたプレーぶりからは、緊張や重圧が悪い方に作用しているようには見えなかった。高校時代から世代別の日本代表として、2013年世界ジュニア選手権で銀メダル、ユニバーシアードは15年銅メダル、17年銀メダルと、世界の舞台で活躍してきた経験が落ち着いたプレーを可能にしていたのかもしれない。
「自分はスパイカーなのでまずはオフェンス面。サーブも1つの武器にしています。攻守に渡って活躍できる選手を理想としていますが、今は最前線で攻め続けるオフェンス力で存在感を出していきたいです」
 その言葉通り、ライトから、あるいはバックポジションから重量感のあるスパイクを突き刺し、サーブでも攻撃的な姿勢を最後まで貫いた。ただ、山田監督は奮闘した山内を手放しで褒めなかった。おそらくそれは、山内にさらに大きく成長してほしいという期待を込めているからに違いない。
「アンダーカテゴリーの大会に行っていたので、チームで練習する時間が限られていたこともあって、彼女の持っている力のすべてを出し切るまでには至ってないと思います。サーブレシーブの連携やチーム内で補い合う関係が固まっていくには、試合を重ねていくしかない。そういう意味ではまだまだこれから。どれだけ右肩上がりにできるかです」
 山内自身も「他の選手との関係性をもっと詰めていかないといけない」と話し、具体的な課題としてレシーブを挙げている。
「今もしっかり向き合って取り組んでいます。1本目を良い状態で返せれば、自分も良い状態でスパイクを打てるので、チームにとっても必要なこと。レシーブ練習も苦痛ではありません」
 レッドロケッツの主力として誰からも信頼される選手になるために、山内は「1日1日成長していけるように頑張りたい」と、自らに言い聞かせるように誓った。

(取材・文:小野哲史)

 

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