レッドロケッツ応援記  ~11/11 対東レアローズ戦 相手の攻撃的なサーブを攻略できず悔しい敗戦~

  info_category1.gif2017/11/13

 2勝3敗で迎えた山梨県甲府市・小瀬スポーツ公園体育館での東レアローズ戦。シーズンはまだ始まったばかりとは言え、できることなら黒星は先行させたくはない。まずは星を五分に戻すことを目指したこの日、勝敗を分けた要素の1つにサーブがあった。
 「相手がサーブが良いというのは戦う前からわかっていました」と岩﨑は言う。山内は「みんなでサーブで攻めていこうと話していました」と振り返った。レッドロケッツ陣営は、カギとなるサーブで主導権を握るという青写真を描いていた。



 しかし、結論から言えば、レッドロケッツは狙い通りに試合を進めることができなかった。第1セットを21-25で失うと、第2セットは13-25、第3セットも18-25。各セットともに1回目のテクニカルタイムアウトあたりまでは互角の展開を演じたものの、そこから突き放され、終始苦しい戦いを強いられた。山田監督は試合後、「相手に傾いた流れを断ち切れませんでした。きっかけをつかめないまま終わってしまった」と悔しさをにじませた。
 改めて公式結果をひも解くと、47.8%対30.9%というアタック決定率の違いにまず目が行く。だが、それも元をたどれば、サーブとサーブレシーブの出来が関連している。サーブ効果率は、東レの14.2%に対し、レッドロケッツは4.2%。サーブレシーブ成功率は、東レの59.3%に対して、レッドロケッツは40.6%。このデータからレッドロケッツは、サーブで相手をほとんど崩すことができなかったこと。そして、逆にサーブで攻められ、サーブレシーブから多彩な攻撃を繰り出すことが難しかったという状況が見て取れる。悔しいが、完敗を認めざるを得ない。
 コートに立つ選手たちも思うように局面を打破できないことに、もどかしい思いを抱えていたようだ。
 「向こうのサーブが走っていて、こちらはキャッチで崩され、攻撃がサイドに集まってしまいました。しかもその攻撃に対しても、相手のブロックとレシーブの関係が堅かった。逆に私たちのサーブのときは1本で簡単に切られるケースが多かった」(岩﨑)
 「たとえば同じ相手のサーブミスに関しても、東レさんは私たちのミスに『ラッキー』くらいの反応でしたが、私たちは東レさんがミスをすると『助かった』というような雰囲気がありました。それだけ相手がサーブで押していたのだと思います」(島村)
 


 厳しい試合の中にも、光明がないわけではなかった。
 第1セットは大野が起死回生のブロックや鮮やかな速攻で、チームの窮地を何度か救った。また、14-17の場面でクイックと見せかけてうまく落としたフェイントは絶妙だった。同じくセンターの上野もセット半ばに速攻を突き刺し、チャンスボールを豪快なダイレクトスパイク。17-22と追い込まれてからは、山内のサービスエースや途中から投入された廣瀬のスパイクで1点差に迫る粘りも見せている。
 いきなり3点を先取された第2セットは、島村が2本のブロックを決めて逆転に成功。第3セット序盤には壮絶なラリーを古賀のスパイクで制し、セット半ばからはキャプテンの柳田が思い切りのいいバックアタックなどで得点源として躍動した。
 それでも結果として勝利を手にできなかったことは真摯に受け止めなければいけないだろう。山田監督は選手たちに「もっとできる」という期待があるからこそ、口にするコメントは厳しかった。
 「良い流れのときは良いプレーができるけれど、それは当たり前。ここのところ負ける試合では、出だしで連続失点をして走られてしまうと、ずっと追う展開のままで追いつけない形が続いています。大事なのは力のある相手や、劣勢になったときにどれだけ我慢できるか。そういう意味でまだまだ逆境に弱いと言わざるを得ません」
 開幕からここまで山内を筆頭に、ルーキーを積極的に起用している点についても、「チームの核と言える選手が他に出てこないからです。それは、たとえば昨季まで主力として頑張ってくれた山口や島村も同じ。今は劣勢を引っくり返せるような核になる選手が出てくるのを待っている状況です」と説明する。もちろん、コートに立つ以上、年齢やキャリアは関係ない。「若い子たちが思い切ってプレーできるように声かけなどは意識しています」と話す岩﨑や大野といった中堅選手もチームの脇をしっかりと固めており、決してイチかバチかの選手起用でないことは理解できる。
 


山内は東レ戦に関しては、「1人1人が自分のことにいっぱいいっぱいで少し余裕がなくなっていたかもしれません」と反省した。しかし、決して下を向いてはいなかった。「1人でできることには限界があるので、みんなでカバーし合って、声かけや事前の準備などをいつも以上に意識したい。あとはNECの武器であるサーブで攻めていくことが突破口になると思うので、どんどん攻めていきたいです」
 今日はうまく行かなかったかもしれない。でも、だからと言ってすぐに諦めるのではなく、自分たちを信じて何度でもチャレンジする。そんな気概が感じられた。
 東レ戦のような悔しさはもう味わいたくないという思いから高いモチベーションで臨んだ翌12日のデンソーエアリービーズ戦。実際、気迫みなぎるプレーを展開し、セットカウントでリードを許しながら、フルセットに持ち込む意地は見せた。ただ、またしても勝利には届かず、通算ポイント1を獲得したにとどまった。
 次週は今季初の川崎市とどろきアリーナでのホームゲーム。第1レグの悪い流れを払拭し、選手もサポーターも笑顔になれるような第2レグのスタートを切りたいところだ。そのために求められるのは、やはり「勝利」という結果に他ならない。






~チームの軸になるべく、5年目に懸けた思い~
 完敗に終わった東レ戦後、自身のプレーとチームの結果について感想を求めたが、すぐには言葉が出てこなかった。よほど悔しかったのか、それとも別の思いがあったのか。しばらく考えてから、上野は「プレー以前の問題だったかなという気がしています」と絞り出すように言った。プレー以前の問題、つまり気迫や闘志といったメンタルが足りなかった、あるいは整っていなかったということだ。
 「もっと相手に対して向かっていく気持ちが必要だったし、技術的にはみんな良いものを持っているにもかかわらず、それを生かしきれなかったのがもったいなかった」
 今季で社会人5年目。年齢的には大卒ルーキーの山内や塚田、小島と同学年だが、「年齢は関係なく、得点源としてはもちろん、それ以外の面でもチームの軸になってやっていきたい」と強い覚悟で今季を迎えていた。背番号も昨年度限りで勇退した近江がつけていた「6」に変わり、ポジションやプレースタイルこそ異なるが、チームの絶対的な大黒柱だった近江と重ねて見てしまうファンも少なくないだろう。
 開幕から2試合は出番がなかったものの、今季初登場となった3試合目は第4セットだけの出場で3本のブロックを決めて存在をアピール。以降、JTマーヴェラス戦、トヨタ車体クインシーズ戦、東レ戦と3試合連続でスタメン出場を果たした。東レ戦では全体数は少ないながらスパイクで4点を挙げ、山田監督も「今日はチームとしてサーブレシーブで苦しみましたが、そんな悪い状況でも攻撃に絡めるという強みは見せてくれました」と上野の奮闘を評価した。
 上野はパワフルなジャンプサーブも武器にしている。この日は6本打って3失点とやや不発だったが、自身としては「攻めた結果」とある意味で割り切っていた。ただ、同時に「ミスにつながったのはたしか。そこは自分でしっかり考えて、これからも続く試合に生かしていきたいです」と次の戦いに視線を向けている。
 いつまでも若手ではない。いつまでもベンチに甘んじるつもりもない。ポジション争いは常に厳しいが、誰からも頼られるチームの軸になるために、上野は静かな闘志を燃やしながらコートに立つ。
(取材・文:小野哲史)

 

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