レッドロケッツ応援記 ~11/26 対トヨタ車体 新星の活躍もフルセットで惜敗~

  info_category1.gif2017/11/27

 
 試合開始前の公式練習。選手、監督、スタッフ、レッドロケッツのコートで大きな円陣をつくる。
 気持ちのつながり、強さを表すかのようにぎゅっと1つにまとまった輪の中から、ルーキーの小島の声が響いた。
「スタートから気持ちを出して、絶対、絶対!今日は勝つぞ!」
 第1セットの立ち上がりは、まさにその言葉通り、「絶対に勝つ」とこの1戦、この1勝にかける思いの強さが発揮される展開となった。開始早々にトヨタ車体に先行されながらも、上野のサービスエースを皮切りに、セッター塚田のサーブ時には山内、古賀が続けてスパイクを決めて7連続得点。14-8と逆転する。
 山田監督も「試合の入りは理想的なスタートだった」と言うように、サーブで崩し、相手の攻撃を切り返してから多彩な攻撃を展開し、的を絞らせない。パスが乱れても上に上げさえすれば得点するような大砲を擁するわけではないレッドロケッツにとって、まさに生命線とも言える、どこからでも誰もが一斉に攻撃を仕掛ける展開に持ち込み、試合の主導権を握る。終盤にも塚田のサーブから古賀がスパイクを続けて決め、中盤の逆転以後、一度も相手に流れを渡すことなく25-18で第1セットを先取した。



 絶対に負けたくない。
 ここから上昇していくためには、一戦一戦が大切な試合とはいえ、負けたまま愛知を後にするわけにはいかない。第1セットを取り、幸先いいスタートを切ったレッドロケッツだったが、この試合を同様に「絶対に負けたくない試合」と位置づけ臨んでいるのは対戦相手のトヨタ車体も同じ。ここまで連敗が続き、何としても勝ちたい、そんな思いを体現するようなベテラン選手たちの体を張ったプレーや、要所でチームをまとめる声。数字に残らず、決して派手ではないプレーや声かけではあるが、まさにそれこそが山田監督が重視する「オフザボール」、ボールを触っていない人がスパイクを打つ選手やトスを上げる選手をいかに楽な状況でプレーさせることができるか。そんな献身的なプレーが少しずつ流れを変えていった、と山田監督は振り返る。
「お互いに絶対負けたくない試合で、ここぞというところで相手の経験を持った選手、チームの核となるべき存在の選手たちに押し切られた。そこで耐えられればよかったのですが、劣勢になって、一気に相手のペースになってしまいました」
 第1セットとは対象的に、第2セットはトヨタ車体が中盤の連続得点で広げたリードを保ち、後半まで優位に試合を運ぶ。11-22と一時は11点を追う厳しい展開の中、何とか流れを変えようとベンチからは「フォローに入っているから攻めていいんだよ!」とコートで戦う選手の背を押す声が飛ぶ。そのエールに奮起され、前日のJT戦からスタメンで起用された廣瀬は相手ブロックが揃う中でも、パワーを生かして当てて飛ばすスパイクや、跳躍力を生かしてブロックの上から叩き込むような強烈なスパイクで得点を返す。2年目のウィングスパイカーの活躍は、山田監督も「今日の試合の中で見えた一番の収穫」と称したように、点差が離れても攻める廣瀬のプレーはチームに勢いを与えた。残念ながら第2、第3セットはトヨタ車体に連取されてしまったが、それでもひるまず攻め続けた勢いや勇気が再びチームに流れを引き寄せる。



 試合が動いたのは、後がない状態で迎えた第4セットだった。
古賀の攻撃を封じようと相手のサーブが古賀に集中し、攻撃を絞らせたところで柳田、大野に対しても常に2枚のブロックが揃う苦しい状況で、ひるまず攻めたのが廣瀬だ。途中出場となった西尾大会のトヨタ車体戦では「自分ができることをして、チームに力を与えられるような存在になりたい」と話していたように、ラリー中もトスを呼び、果敢に攻め込む。対角に入った古賀も「頑張って点を取ってくれたので何とか自分も助けたいと思ってプレーした」と言うように、20歳のウィングスパイカーがチームを盛り立てる。
22-23とトヨタ車体が1点をリードした場面で、その廣瀬に代わってピンチサーバーとして送り出されたのがミドルブロッカーの家高だ。迷わず打ったサーブは続けてトヨタ車体の守備を崩し、23-23と同点にした後、続いて家高のサーブが効果を発し、相手のミスを誘い、24-23とレッドロケッツが逆転。最後は相手のミドルが放ったスパイクを家高がレシーブし、レフトから古賀のスパイクで25点目をもぎ取り25-23、フルセットへ突入した。



 だが、ここであと一歩が届かない。
 第4セットを取った勢いでそのまま走りたい最終セットだったが、先行したのはトヨタ車体。走りたい場面でなかなか走れない理由は何か。古賀はこう言う。
「相手にやりたいことをやられた、というよりも、自分たちの問題。つなぎのプレーや、レシーブの連携など全体のチームミスで流れを渡してしまった。そういう小さい1点、1点がすごく大きな差になったと思います」
 廣瀬、古賀のスパイクや大野のブロックで得点を返すも、セット序盤の失点をはね返すことができず、第5セットは8-15。悔しい敗戦に肩を落とし、山田監督が言った。
「勝負を分けるポイントで取り切れず、結果的に競り負けてしまう。ここから上がっていくためには、徐々に良くなればいい、ではなく、覚悟を持って、とにかく勝つ、結果を出すこと。何が何でも結果を出さなければダメだと思うので、とにかく必死で戦います」
 敗戦から得た糧を生かし、ここから這い上がる。1つずつ、がむしゃらに。レッドロケッツは戦い続ける。


 

人見知りで、引っ込み思案。入団直後は意見を発することも苦手で、誰かの陰に隠れ、黙々と自分のやるべきことだけに力を注げばいい。そんなふうに思っていた。
 でも、今は違う。
「チーム内でも私より若い選手も増えたし、試合経験が少ない選手も多くなってきました。今までいろいろ経験させてもらった分、自分が引っ張るような存在にならなきゃダメだと思うし、今季は特に数字に出ないプレーでチームを助けられるような選手になりたい、と思ってやってきました」
 試合前の練習時も、試合中のタイムアウト、コートの中、そしてラリー中。MVPに輝いた昨シーズンよりも、今シーズンは特に古賀の声が響く場面が増えた。当然ながら相手にとっては万全な状態で攻撃をさせたくない選手であるため、サーブで狙われる本数も多く、ベストな状況でスパイクを打てることのほうが少ないが、それでも「エース」として、そして揺らがぬ「柱」になるために、負けるわけにはいかない。
「自分が決めて勝ちました、というのではなく、周りを生かせる選手になりたい。今、このメンバーでチームを勝たせるような存在になりたいです」
 苦しい時こそ、声を出す。今まで共にプレーしてきた先輩たちが自分を支えてくれたように、これからは自分がチームを支える。これまでとは違う決意が、古賀をもっともっと強くする。
 

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