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レッドロケッツ応援記  ~1/6 対デンソーエアリービーズ戦 持ち前の粘りでフルセットに持ち込むも、2018年初戦は僅差で惜敗~

  info_category1.gif2018/01/09



 2017年を天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会3位で締めくくり、約1ヶ月ぶりに再開されたV・プレミアリーグ。2018年最初の試合をきっちり勝利し、この1年を良い形でスタートさせたいという思いは、チームの誰もが持っていたはずだ。しかも相手は今リーグで2連敗中のデンソーエアリービーズ。同じ相手に何度も負け続けるわけにはいかない。
 皇后杯後の2週間は、主にディフェンス強化を重点的に取り組んできたと山田監督は言う。「これまでの戦いをもう一度分析し、ブロックやディグなど、アタックまでのプロセスを見直そうと。アタックの効果自体はそれほど悪くありませんから、その部分を生かすためにも守備力を上げていくことが必要と考えました」
 チームにとって明るい話題と言えば、度重なる故障で苦しんできたセッターの奥山が今季初出場をスタメンで飾ったことだろう。昨年7月のV・サマーリーグ以来となる実戦に「とても緊張しました」と笑顔で振り返ったが、落ち着いたトスさばきでアタッカー陣をうまく操っていく。ただ、同じくスタメン出場を果たした荒谷が「最初のセットは1人でテンパってしまった。気合が空回りしたのかもしれません」と言うように、9-9あたりから次第に相手に流れが傾いた。この日が23歳の誕生日だった上野が終盤に鮮やかな速攻を決めて意地を見せたが、18-25で第1セットを先取されてしまった。
 すると山田監督は第2セット、上野と荒谷に代えて島村と山内を送り込む。「チームが苦しくなったときに自分が入って決めるのが今の自分の仕事」と意気込んで入った島村は、得意のブロード攻撃に加え、身体を張ったレシーブでもチームに勢いをもたらした。リベロ岩﨑や大野、山内や柳田らもそれぞれに見せ場を作っていく。19-19までは激しい点の取り合いとなったが、そこから古賀が鮮烈な輝きを放った。スパイクとブロックを決めて一歩抜け出し、島村のサービスエースを挟んで、再び強烈なスパイクで3連続得点。25-19でこのセットをものにする。



 第3セットは一時12-18と苦しい戦いを強いられたものの、古賀のブロックや島村のサービスエースで追いつき、柳田のスパイクで逆転。24-22と先にセットポイントを握ったのはレッドロケッツだったが、あと1点が取れずに24-26とセットを落とす。
 その精神的なダメージがあったのか、山田監督から「さぁ、取り返そう!」という檄とともに送り出された選手たちは、第4セットも3-9とされ、今ひとつ乗り切れない。しかし、セッター塚田に変わって投入された山口が徐々にリズムが生み出した。古賀の強打、島村と山口のサービスエースで追い上げ、山内のブロックで11-11とついに同点。「1回ベンチに下がって落ち着き、次に呼ばれたときに『よし、やるぞ』となれました」と話した荒谷も、途中交替から持ち前の思い切りのいいスパイクを次々と突き刺した。ここまですでに4本のサービスエースを決めていた島村のサーブで相手のレシーブを崩し、古賀のダイレクトスパイクでリードを広げたレッドロケッツが、最後は山内のサービスエースで25-21。またしても粘り強くセットを奪い返し、フルセットへと持ち込む。
「いいぞ、レッドロケッツー!このまま行こう!」
 大分県立総合体育館に詰めかけたレッドロケッツサポーターが選手の背中を力強く後押しする。勝利がどちらに転ぶかわからないギリギリの戦いに余裕などなかったはずだが、第5セットを前にベンチ前に集まった選手たちの表情は、どこか楽しげに見えた。実際、笑みを浮かべている者もいる。勝敗とは別に、こうした極限状況に身を置けることこそ、アスリート冥利に尽きるといったところだろうか。
 運命の第5セットは大野のブロックの後、荒谷がスパイクを、島村が強烈なブロードを決める。岩﨑の超ファインプレーは得点には結びつかなかったものの、別の場面では山内らが懸命につないだ難しいボールを古賀がしっかりと決め切った。10-10と両チームが一歩も譲らない緊迫した展開の中、抜け出したのはデンソーだった。終盤、荒谷と山口に代わって入った柳田と奥山が一矢報いたが、惜しくも12-15で試合終了を迎えることとなる。



 山田監督は試合後、「悔しいです」と言いながらもこの日の収穫を口にした。
「今日のゲームで狙っていた部分は出せましたが、あと一歩が届きませんでした。でも、チームが成長していることは間違いないですし、自分たちの持ち味や課題をしっかり認識してスタートできたという点では、2018年の滑り出しとしては悪くなかったと思います」
 久しぶりに長い時間コートに立ち、たしかな存在感を発揮した島村は「良いプレーも出せたけれど、勝負所で自分の仕事を果たせませんでした。チームも勝てなかったので満足はできません」と自身に対して厳しかったが、試合に出られることの喜びを改めて感じたようだった。
 山田監督が「あくまでも優勝を狙って、諦めず、泥臭くやっていきたいです」と言ったように、チームは優勝への意欲を微塵も失ってはいない。そのためにもレギュラーラウンドの残り4試合は1つも無駄にできない試合が続く。
 次週は試合のないレッドロケッツの次なる戦いは、20日の東レアローズ戦。翌21日の上尾メディックス戦とともに、大田区総合体育館でのホームゲームである。サポーターの力を借りながら、もう一度、チーム一丸となってレギュラーラウンドを乗り切ってほしい。






~度重なる怪我から復活し、2シーズンぶりとなるリーグ戦出場~
 年末年始のインターバル期間に、山田監督は選手たちに「これまでのメンバーを一度フラットにする」と伝えたという。そこには選手間競争を促すことで、チーム力を高めたいという狙いがあったに違いない。そして2018年初戦となるこの日のデンソー戦で、スタメンセッターのポジションを勝ち取ったのが、入社4年目の奥山だった。
「自主練習でトスはもちろん、苦手なディグなどにも積極的に取り組んだので、セッターがたくさんいる中で自分も狙っていこうという思いは強かったです。結果的に今回使っていただいたので、とにかく思い切りやろうと。それしかなかったです」
 試合開始直後の最初のポイントから、白熱したラリーとなったが、奥山は素早い反応から横っ跳びでレシーブし、味方のアタッカーには丁寧なトスを供給。チームとしての粘りが奏功し、幸先よく先制点を挙げた。しかし、奥山自身は緊張のため、そのシーンを「まったく覚えていません」と笑う。それほど必死だったのだ。ただ、「アタッカーの人たちが『いいよ、持ってきて!』と言ってくれたり、ヒナさんも声をかけてくれたりしたおかげで、自分のプレーがまずまずできました」と手応えも感じていた。
 奥山はこれまで幾度となく怪我に泣かされてきた。今季もリーグ開幕1ヶ月前に捻挫し、出遅れている。もちろん、故障はしないに越したことはないが、山田監督はその経験が奥山を精神的に強くしたと見ている。
「今まで試合に絡めそうなタイミングで大きな怪我をして、そのたびに悔しい思いをしてきました。それでも彼女は何度怪我をしてもリハビリを頑張って、またゲームに出られるところまで戻ってきてくれました。今日は新しいケミストリー(化学反応)を起こしてくれた部分もたくさんあったと思います」
 レギュラーもサブも分け隔てなく、全員で勝利を目指すというのがレッドロケッツのモットーである。奥山も多くの時間をウォームアップエリアから仲間に声を送ったり、ベンチ入りを外れたときは雑務をこなすことで、チームを懸命に支えてきた。しかし、選手である以上、コートで自分を表現したいと考えるのは当然だ。デンソーにフルセットの末に敗れ、「今日の出来は、100点満点で45点」と悔しさを残した一方で、コートに立ってプレーできたことは「やっぱり楽しかった」と、その表情いっぱいに充実感を浮かべた。
「セッターとしてはアタッカーに気持ちを込めてトスを持っていくこと。また、私が入ったらチームがパッと明るくなるような、雰囲気を変えられる選手になっていきたいです」
 チームは苦しい戦いが続いているが、レギュラーラウンド終盤を迎え、奥山が救世主のような存在になるかもしれない。
(取材・文:小野哲史)

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