レッドロケッツ応援記  ~2/18 対JTマーヴェラス戦 勝負所で競り負け、ファイナル6は苦しい3連敗~

  info_category1.gif2018/02/19



「今日は大一番。絶対に勝ちたいです」
 JTマーヴェラス戦を前に、山田監督は力強く、しかしシンプルな言葉で胸に秘めた思いを吐露した。17日の久光製薬スプリングス戦では、第2セットまで互角の戦いを演じながら勝利をつかめなかったレッドロケッツ。ただ、ファイナル6全体を見渡すと、3位以下が混戦の様相を呈しており、残り3試合を全勝すれば、3位に食い込むことは十分に可能だった。JTはファイナル6に入って3連勝と好調だが、レギュラーラウンドの直接対決ではレッドロケッツの2勝1敗。山田監督も「相性は悪くない」と感じていた。
 実際、選手たちは気迫あふれるプレーで第1セットを25-23で奪取する。山内や山口の伸びのあるサーブで相手を揺さぶり、柳田を軸とした攻撃で8-6、16-12と、2度のテクニカルタイムアウトをいずれもリードして迎えた。粘るJTの前に一度は逆転を許すが、古賀のバックアタックと柳田の絶妙なフェイントなどで22-21と再逆転。その直後に山内のサーブで作ったチャンスは山口がダイレクトで豪快に叩き込み、最後は島村がきっちり締めくくった。



 ところが、そこで一気に主導権を握るまでには至らない。岩﨑が言う。
「レギュラーラウンドの最初の頃に課題だった〝試合の入り〟は、だいぶ良くなって、1セット目を取れるケースも増えました。でも、今度は逆にセットを取った後に少しほっとしてしまうところがあることも感じていました」
 この日も「ほっとしてしまった」わけではなかったかもしれないが、第2セットの立ち上がりにいきなり1-6と劣勢を強いられる。大野は「先週はミドルの印象を相手に与えられなかった課題が出たので、この1週間はその練習をしてきました」と語り、久光製薬戦で10得点をマーク。その大野に刺激を受けたかのように、島村がこの窮地で存在感を示した。速攻や得意のブロードを決めて反撃ののろしを上げ、大野のブロックで13-12とついに逆転。だが、つかみかけた流れを再び手放すという場面はセット終盤にも訪れる。17-21から古賀の2本のスパイクと大野の速攻で一挙に追いつくも、追いつくまでが精一杯で22-25。「リードしているときや良いリズムのときに連続失点をしてしまって流れをつかめませんでした」と大野は振り返ったが、そうしたもったいない形で落としたセットや試合は、今季これまでに何度もあった。
 ある意味、それは第3セットも同じことが言えるかもしれない。立ち上がり、岩﨑がすばやい反応でつないだボールを島村と柳田がきっちり決め、山内がサービスエースで続いて6-2。追いつかれてからは柳田のバックアタックと大野のブロックで引き離し、13-13とされてからは島村がネット際のボールをうまく処理して逆転は許さなかった。だが、終盤の勝負所でリードを守れず、24-26でまたしてもセットを失ってしまう。21-24から山内のパワフルなスパイクと島村の連続ブロードで3度のセットポイントをしのいだまでは良かったが、大野の言葉を借りれば、「そこから乗り越えていく強さが足りなかった」。



 山田監督が「全体的に足が止まってしまった。相手がタフでした」と話すように、第4セットは序盤からJTに走られ、一度もリードすることなく、17-25で試合終了を迎えることになる。岩﨑は試合後、「勝つチャンスはあったので…」と、とくに第2、第3セットを取り切れなかったことを悔やんだ。まったくかなわない相手に完敗したのなら諦めもつくが、そうではないだけにより一層の悔しさが募る。
 第1セットを奪った勢いで第2セット以降もゲームを進められたなら、それに越したことはない。しかし、相手もゲーム中に対策を施し、勝つためにはその上を行く対策をしなければならない。古賀はそれを「バレーボールは流れのスポーツ」という言葉で説明した。「わずかなことで流れが向こうに行ってしまうことはあります。今日は自チームのミスで流れを切ったり、ちょっとしたリズムの悪さから最後は流れをつかみ切れずに終わってしまった感じです」
 山田監督は「とにかく1つ1つのプレーの精度を上げていくしかない」と話す。「サーブレシーブにしても、こちらが崩れている時間帯は相手にリズムがありますから。とはいえ、崩れることもあって、そのときにどう修正するか。今日は2本目をうまくつなげず、選択肢がない中で3本目を返さなくてはいけないというような、どこかバタバタしてしまうところが見受けられました」
 この敗戦でファイナル6は最下位に転落したレッドロケッツ。だが、これでファイナル3進出の芽が完全に潰えたわけではない。他のチームの結果次第という条件つきではあるが、次週の残り2試合を勝利し、6ポイントを上積みすることで3位に浮上する可能性を残している。この日、66.7%という驚異的なアタック決定率をマークした島村が、笑顔で「次は絶対に勝ちます!」と言い切ったのも、そのことを理解しているからに他ならない。しかも幸いなことにファイナル6の最後の舞台は、川崎市とどろきアリーナなのだ。ホームゲーム扱いではないが、選手たちはホームゲームのような雰囲気の中でプレーできるだろう。チーム全員の思いを大野が代弁する。
「最後の2戦が終わったときに、ああしておけば良かったということがないように全部出し切りたいです」
 レッドロケッツの戦いはまだまだ終わらない。終わらせるわけにはいかない。






~〝エースの宿命〟背負い、勝利だけを目指して~
 副キャプテンとして臨んでいる今季、古賀は試合が終わると、声がかすれていることが少なくない。試合中にチームメイトが得点すれば、まるで自分が決めたかのように喜び、苦しい場面が訪れれば、自ら声を出して仲間を鼓舞し続けているからだ。
 山田監督は「私が要求していることではなく、自発的にやってくれています。自分のプレー以外にも、周りを動かしたり判断を伝えてあげたり、必要だと思うことをコートで表現してくれています」と話すが、古賀の意図は単純で明快だ。
「勝つためにやっています」
 思えば、先週のファイナル6初戦直後にも、「昨季のチームからは軸になる選手が抜けて若返った分、私たちが軸になってやっていかないとタイトルは獲れない」と、自らがチームを引っ張っていくという主旨の発言をしていた。
 レギュラーラウンド全21試合に先発出場を果たし、チームの誰よりも多くのアタックを放ち、総得点はリーグ全体で第6位。各部門の個人成績は昨季よりやや下回っているものの、前回優勝チームのMVP獲得選手ともなれば、相手チームからのマークは当然きつくなる。その中でほぼ昨季並みの数字を残しているのだから、確実にレベルアップを遂げていると言っていいだろう。
 山田監督も「攻守の要として成長しています」と話す。ただ、一方で古賀にはさらなる飛躍をも期待する。
「良い状況で決定できるとか自分のプレーを出せるのは当たり前というレベルに来ていると思います。これから日本のエースになっていくためには、チームが悪い状況のときにそれを打開して、どれだけ得点を増やしていけるか。たとえば自分1人に対して、相手が2枚ブロックでも、個の力があれば点は取れますから。古賀だけではないですが、それが今、チームが苦しんでやっていることの価値だと思っています」
 この日のJTマーヴェラス戦でも、苦しい局面で古賀にトスが上がってくることが多かった。第2セットも結果的には落とすことになったが、17-21のビハインドから幾度となく託されたトスをしっかり決め同点に追いつく活躍もみせた。おそらく次週の戦いでも、そうした場面が訪れるに違いない。
「私たちは何も失うものはないと思うので、(2連勝して)6ポイントしっかり獲りに行く気持ちで頑張ります」
〝エースの宿命〟を十分に自覚し、古賀は勝利だけを目指して突き進む。
 
(取材・文:小野哲史)

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