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レッドロケッツ応援記  ~2/25 対東レアローズ戦 会心の試合運びで有終の美。17/18シーズンを5位で終える~

  info_category1.gif2018/02/26



 まるでそれまで背負っていた重りを外したかのようなプレーぶりだった。
 ブロックとレシーブをうまく連携させながらの粘り強い守備と、センター線を軸にした多彩な攻撃、そして何より楽しく伸び伸び戦うというメンタリティを発揮し、レッドロケッツは25日のファイナル6最終戦で東レアローズに快勝した。
「サーブで攻めることができて、相手の的が絞りやすかった。ブロックで仕留めたり、ブロックの脇を抜けてもディフェンスに入ってもらい、そこから切り返して攻撃で決めることができました。今リーグ一番良かったんじゃないかというぐらいでした」
 この日、アタックで10点、ブロックで4点と攻守で存在感を示した島村は、そう振り返って胸を張った。
 24日のトヨタ車体クインシーズ戦に敗れたことで、わずかに残されていたファイナル3進出の可能性は完全に消滅していた。リーグ連覇という今季最大の目標が潰え、モチベーションが低下してもおかしくない。しかし、そんな状況だからこそ、選手たちはもう一度、気持ちを奮い立たせた。
 トヨタ車体戦後、山口は「まだ明日も試合がある。自分たちの良い部分を出して、支えてくださっている方々への感謝の思いをボールにつないで、明日は絶対に勝ちにいきたい」と語り、山田監督も「ファイナル6でまだ1勝もできていません。今季戦ってきたこのメンバーで、ファイナルステージの最後を勝ち切って終わりたい。どんな形でも勝つという試合にしたいと思います」と、勝利を強く渇望していた。そこには、ディフェンディングチャンピオンとしての意地があったはずだ。



 レギュラーラウンドでは2勝1敗としていた東レに対し、レッドロケッツは立ち上がりから果敢に挑んでいった。山内の先制点の後、岩﨑が2本のスーパーレシーブでつないだボールを大野が鮮やかな速攻で切り返す。8-8から13-9とリードを広げた中盤にも大野が2得点。相手の意識がセンターに集まると、山口はすかさずサイドにトスを散らし、山内や柳田がきっちり決めた。20-15の場面では柳田が豪快なバックアタックを突き刺し、古賀のサービスエースで引き離して、25-19。申し分のない内容でレッドロケッツが第1セットを先取した。
「試合前の円陣でも、楽しんでやろうという話をしていました」と語った古賀が先制点を挙げた第2セットも、大野のサービスエースや島村の速攻などで7-2と好発進。山内が力強いバックアタックを決めると、古賀は絶妙なフェイントを落とし、攻撃の手を緩めない。13-6から山口が絶好調のサーブで2本連続のエースを奪い、島村のブロックで19-9と大きくリードを広げた。
 今季、よく見られたのは、大量リードをした途端に受けに回り、少しずつ差を詰められて焦りを生んでしまうというパターンだったが、この日はそうした隙を一切見せなかった。山内は言う。
「東レさんはサーブも良く、自分たちが崩される場面もありましたが、そこをみんなで乗り切れました。今日は自分たちの強みであるオフェンス力を発揮できたのも良かったと思います」
 第2セットも25-16でものにし、第3セットは5-5からの古賀の3連続得点で一気に抜け出した。10-6の場面で見せた攻撃は、レッドロケッツの理想形と言えるプレーだったかもしれない。完璧なサーブレシーブが入り、得点者はセンターから速攻を決めた大野だったが、同時にレフトからは古賀、ライトからは山内がスパイクに入る動きを見せ、後方からは柳田もバックアタックの準備をしていた。セッターの山口はどこにでもトスを上げられる状態だったため、相手のブロックはどこを封じたらいいか、完全に混乱している様子だった。
 2回目のテクニカルタイムアウトを過ぎ、6点差を4点差とされたところで、島村が3連続得点で再びリードを広げ、粘る東レに追い上げられると、岩﨑が「切り替えて!切り替えて!」とタイミングの良い声かけでチームを落ち着かせた。終盤も大野の高速クイックと柳田のスパイクが決まり、マッチポイントでは山内の強打で25-21。レッドロケッツは川崎市とどろきアリーナで戦ったリーグ最終戦で有終の美を飾った。



「Over the top ~新たなる挑戦~」というスローガンのもと、リーグ連覇に挑んだV・プレミアリーグの2017-18シーズン。掲げた目標は果たせず、5位で終えたことに悔しさは残る。しかし、選手たちは得たものも少なくなかったと感じている。
「応援してくれる方たちは、最後まで私たちの2連覇を信じてくださっていたので申し訳ない気持ちと、自分たちの力がまだ足りなかった悔しさがあります。でも、今季やってきたことは無駄ではなかったというのを今日の試合で実感できました」(柳田)
「開幕戦で久光製薬さんにボロボロに負けて、なかなか結果につながらない苦しいシーズンでしたが、内容的にはできることや伸びている部分が増えて、はい上がって行けました。ファイナル6ではあと一歩というところで落とした試合が多かったので、今後はそこをしっかり取り切れるチーム作りをしていきたいです」(島村)
 山田監督は長いシーズンを戦い抜いた選手たちを称えつつ、次のように今季を総括した。
「選手たちにとっては厳しい戦いを強いられたシーズンでした。勝負を決める1点を取るための厳しさが足りなかったのかもしれません。そして、今回のリーグで感じたことや経験は、この先に生かされて初めて意味があると思っています。今季はまだ黒鷲旗もありますし、来季はまた頂点を目指せるように力を蓄えていきたいです」
 優勝はもちろん、1つ勝つこと、1点を取ることの難しさを知ったV・プレミアリーグの26試合だった。ライバルチームも同じように努力と研鑽を重ねており、簡単に成し遂げられないチャレンジだ。だからこそ、そこにやり甲斐や価値がある。5位という結果に下を向く必要はない。堂々と胸を張って、次の一歩を踏み出せばいい。






~チーム思いのキャプテンが最終戦でVOMを受賞~
 各試合でもっとも活躍した選手に贈られる「VOM(V.Leaguer Of The MATCH)」。この日選出されたのが、レッドロケッツをファイナル6初勝利に導いた柳田だった。ヒーローインタビューでは、実に堂々としていた。
「今日が今リーグ最後の試合だったので、持っているものをすべてコートに置いていこうという気持ちで、みんなで戦いました。昨日の敗戦で連覇の可能性はなくなってしまいましたが、それでも自分たちの積み重ねてきたことを出し切ろうと思っていました」
 その姿を穏やかな表情で見つめていた山田監督は、「今季はキャプテンに指名されて本人は驚いたでしょうが、チーム思いのキャプテンで、チームのために頑張ってくれました。本当に成長したなと感じます」と若きキャプテンを称えた。
 シーズンを通して奮闘したが、とくにチームが1勝4敗と苦しんだファイナル6での活躍は目を見張るものがある。全5試合の得点ランキングでは外国人アタッカーが上位を占める中、日本人トップとなる5位に名を連ねた。総得点は75点、1試合平均15点という高いアベレージをマークした。ただ、柳田は「自分はポイントを取っていくポジション」と言いながらも、1点1点を自らの力でもぎ取っているとは考えていない。
「(この日の12得点も)自分だけの得点ではなく、周りから空いているコートを教えてもらったり、みんなの1点を取りに行くという気持ちが伝わってプレーできました」
 まだまだ勝負所でのスパイクやサーブのミスもあり、完成された選手ではない。しかし、決して大きくはない身体で常に全力で思い切ったプレーをする姿に、観る者は魅了され、好感を覚える。未完成の部分は、さらに大きく成長するための伸びしろと言っていいだろう。
 ユニフォームのキャプテンマークや試合前にチームの先頭に立っての選手入場、記者会見などでの受け答えなど、キャプテンとしてのたち振る舞いは、昨秋にリーグ戦が開幕した頃よりもだいぶ板についてきた。自身は「まだ足りない部分が多い中で、周りの支えや応援の力を借りた1年でした」と振り返ったが、チームが成長を遂げながら1つにまとまるというプロセスを考えるならば、今季は柳田以上に適任のキャプテンはいなかったのかもしれない。
 柳田がチームメイトを牽引し、チームメイトが柳田を支えながら、レッドロケッツのチャレンジはこれからも続く。

(取材・文:小野哲史)

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