新旧監督対談

  info_category3.gif2018/06/05

コーチ、監督として延べ20年という長きに渡りレッドロケッツを率いた山田晃豊監督が2017/18シーズンをもって勇退する。20年という長い年月を振り返り、レッドロケッツと共に過ごした日々の中で今思うこと。そして、山田監督の意思を引き継ぎ3シーズンコーチを務めた金子隆行新監督が就任。かつてブルーロケッツの選手としても活躍した金子新監督が描くこれからのレッドロケッツとは――。監督、という立場を受け継ぐ2人に、 レッドロケッツ愛、そして、これまでとこれからを大いに語っていただいた。


――山田監督は監督、コーチとしてレッドロケッツで約20年という長い時間を過ごされました。改めて、長い年月を振り返って印象に残ることはどんなことでしょうか?

山田 僕も監督になったのは今の金子とちょうど同じタイミングです。NECという歴史の長いチームで重圧もありましたが、そこに何か新しいものを乗せてチームを発展させていきたい、というところからスタートしました。僕の場合はあまり「リーダー」というタイプではないと自覚していましたので、選手、スタッフ、チームをサポートしてくれる仲間と協力してみんなのいいところ、強いところをどれだけ引き出せるかというところが1つのテーマであり続けました。毎年毎年、このメンバーでベストをどう表現できるか、その繰り返しでしたね。うまくいったこともあり、うまくいかなかったこともあり、どん底も経験して、入れ替え戦の年もありました。そしてそこからまた上がって、二度、日本一にならせてもらいました。NECの選手たちは本当にみんなが真面目にバレーボールに打ち込む選手たちで、スタッフも情熱溢れる優秀な人間ばかりでした。振り返ればいろんなことを思い出しますが、何より、人に恵まれ、愛すべき人たちに囲まれて仕事ができたこと。僕は本当に幸運な監督だったと思いますし、幸せな時間でした。



――金子さんは山田監督と3シーズンコーチとして共に戦いました。山田監督はどんな監督でしたか?

金子 僕は監督というのはどっしり構えている方が多いというイメージが強かったのですが、山田さんはいつも自分から積極的に動く方で、喝を入れる時にはしっかり喝を入れ、怒る時は怒る。とても情熱のある監督だったと思います。僕は選手時代、外国人監督の指導も経験してきましたが、どちらかというと山田さんは彼らに近い感覚ですね。細かいところはコーチに任せて自由にやらせてくれながらも監督としてチームをどんな方向へ持って行きたいかというのがとてもしっかりしていて、みんなが働きやすい空気をつくり、責任はしっかり取ってくれる。だから僕らスタッフ陣も生き生きと自分の持ち味を出せる環境でした。僕自身「監督」という表現があまり好きではなくて、コーチを束ねる「ヘッドコーチ」という表現のほうが好きなのですが、山田さんはまさにそんな存在でした。



――山田監督から金子新監督へバトンタッチを決めた理由を教えて下さい

山田 金子のことはよく知っていました。彼はすごく目立つんですよ(笑)。プレーヤーとしてもいろいろな場面で目にしていましたし、一流だったと思います。何より、プレー以外の面でもチームを表現するガッツのある選手なので、みんなを鼓舞して、ボールを持たない局面でも声を出して雰囲気をつくることができる。チームにいろいろな影響力をもたらす選手でしたし、かわいい後輩としてすごく応援していました。もともとブルーロケッツでプレーしていましたし、僕自身、ブルーロケッツの選手からはいつもエネルギーをもらっていました。一度つらい経験をして、しかも当時は若い選手が多かった。それぞれ新しい場所で活躍していたので僕もファン目線で彼らを応援していましたし、金子が引退して指導者としてチャレンジしたい気持ちがあると聞き、ぜひうちでやってほしいと思っていました。僕自身、監督としては昨年度の世界クラブ選手権が1つのピークだったと思います。さまざまな時を経て、最後はいかにいい形で次にバトンタッチできるか、ということを考えながらやってきたので、チームが発展しながら続いて行くことを考えれば、このタイミングで金子につなげられることはベストだったと思っています。
金子 40年強の人生で20年もコーチ、監督としてこのチームに関わっている方の後任となりますのでとても重さを感じます。
山田 今までのNECの歴史もそうだったと思うんだよね。多少の浮き沈みはあっても、強く愛されるチームであり続けようというものが軸としてあるので、実際リーグの中で一番長く続いていて、打ち上げ花火をボーンとあげるようなチームじゃないと思うんです。2017/18シーズンは日本人だけで日本一を獲ろうとチャレンジしましたが、そう甘い世界ではなく、乗り越えなければならないことは個々が感じています。みんな頑張って成長し続けている中で金子がどんなふうに活性化させていくのか、僕は最高のゴールまで来られたな、と思いますし、ただただ楽しみです。
金子 僕も楽しみです。不安はもちろんありますが、ワクワクしないとしょうがないし、自分がワクワクしないとみんなもワクワクしないと思うので、どうなるか楽しみです。
山田 いろいろな経験をしている選手ですから。ブルーロケッツでNECの看板をつけてプレーした経験があり、どん底も経験した。新天地でまた活躍して、外国人監督を含めたいい指導者たちとの接点もあったことは大きな財産だと思うんですよね。そういうことを体感、経験しているというのは他のどの監督にもない部分であり、金子の強みなのかなと思いますね。



――山田監督がコーチから監督へ就任した際、大変だったことは?

山田 僕が監督になった時は同期の選手もいましたから。正直怖かったですよ(笑)。でもワクワク感も半分ありました。僕も新しいことにチャレンジするワクワク感というのが出発点でしたし、それは毎年そうですよね。監督というのは責任者ですから、失敗するかもしれない、成功するかもわからないけれど博打を打たないといけない時もあり、なおかつチームを守っていかなければいけない側面もあります。金子もそういうところで自問自答していくでしょうから、悩んだらいつでも相談してね(笑)。
金子 ありがとうございます(笑)。今は情報社会で僕らがいろいろな世界の動画をヒントに練習を取り入れても、選手も同じように情報が得られます。そこで「あの映像でしょ、知っているよ」と思われてしまうようではダメだと思うので、アレンジを加えて、どれだけ選手を飽きさせない練習ができるか。それは僕も含めコーチ陣が学んでいかなければいけないことだと思っています。山田さんも仰っていたように、コーチ陣やトレーナー、マネージャー、みんなにフォローしてもらいながらチームをつくっていけるように。スタッフ間の信頼関係もしっかりつくっていきたいですね。
山田 それが一番大事だよね。それぞれの持ち味が機能すればいいし、選手たちは勝った時は自分たちの力で勝った、スタッフ陣も自分たちのサポートが生きた、と思ってもらって、負けた時は監督のせい、でいい。それぞれが当事者意識をどれだけ持って仕事ができるかという部分が重要だし、そのためにはどれだけ信頼関係を築けるか。NECというチーム、会社はそういういい文化があると思うので頑張ってほしいですね。僕も苦しい時に相談できる仲間がいるというのはとても大きかった。悩んでいる時は自分のことばかりを考えがちだけれど、周りを見れば同じような苦しみを共有して、壁を打ち破ろうと頑張っている仲間がいる。選手もスタッフもみんな頑張っているから自分も頑張らなきゃいけない、と力をもらっていた気がしますね。だからこれから金子も思い切って自分の目指すところに突き進んでくれればいいと思うし、方向が違うぞ、と思ったらきっと、金子さんこっちこっち、と周りが助けてくれる。大事なのは情熱ですよ。金子はとにかく情熱溢れる男ですから。



金子 それしかないんです(笑)。今季は新リーグになるので、活気あふれる現場にしたいし、各チームがエネルギーを押し上げていかないといけない、とは思っています。NECのためにというのはもちろんですが、それだけではなくて日本のため、国のために、という責任や思いを全チームが背負って行かないといけないですよね。まずは見てくれる人が楽しんでくれるようなバレーをしていかないといけないし、そのためにもまずは自分たちのチーム、NECから発信していきたいと思います。これからどんどん新しいことにチャレンジすべきだと思いますし、たまたま僕もこの立場につかせてもらいましたが、僕らのような若い指導者がキャリアのある方々に対しても「負けていられない」とチャレンジして、活躍できる場も必要だと思うんです。僕にとって山田さんはいつもそういう存在で、最後は責任を取ってくれるし、僕らを守ってくれる人でした。僕もそういう存在になりたいと思います。
山田 なんだかむず痒いね(笑)。
金子 山田さんはこれだけ女子バレー界に影響を与えた人ですから、本音としてはバレー界から離れてほしくないですよ。今までは365日毎日バレーだった部分を、半分以下になってもいいし、どんな形でもいいので、携わっていてほしいというのが本音です(笑)。



山田 今まではバレーボールをずっと中から見ていたので、今度は外からバレーボールを見て、いろいろ感じてみたいね。僕自身もバレーボールから離れて新しいチャレンジをするわけだから、金子と同じ気持ちで怖さもあり、ワクワクもあり(笑)。でも新しいことをどんどんすればいいし、たとえ抵抗があったとしてもやったもの勝ちだと思うよ。
金子 そうですね。山田さんは本当にNEC愛、チーム愛が強い人でしたから。僕も頑張らなきゃ、と思います。
山田 そんなに褒められたらコメントに困るよ(笑)。
金子 少し休んでまた力を蓄えて、今までチームに対して注いだ愛情を、今度は日本バレー界に山田さんの愛情を注いでもらう時が絶対に来るので、その時はお願いします。僕自身はまたいつか一緒に山田さんとできたらと思うし、やりたいというのが本音なので、またいつか一緒にできることを目標に、僕もここで頑張ります。
山田 楽しみしかないね。大好きな仲間たちだから、完全に応援団みたいな気分(笑)。いい時も悪い時もあると思うけれど、苦しい時にどれだけ頑張りがきくか、仲間と協力できるかが強くて愛されるチームだと思うし、金子をはじめ、これからのNECのメンバーたちはそれが体現できると思うので本当に心から応援しています。NECのバレーボールだけじゃなく、日本のバレーボールがよくなるためにもNECから日本、世界へ影響力を発信できるような、そういうチームをつくってもらいたいね。任せたぞ、金子!
金子 はい!

――では最後に、応援して下さる方々へメッセージをお願いします

山田 これまで20年、会社の支援、ファンのみなさんのご支援、ご声援のおかげでいい時間を過ごせたことを、この場を借りて改めてみなさんに感謝を伝えたいです。今後もチームの成長を引き続き見守って下さい。レッドロケッツをよろしくお願いします。
金子 山田さんから引き継ぐ形になりましたが、まずは自分らしさをしっかり出して行くことを大事に、これまでレッドロケッツをつくりあげてきた歴代の方々の思い、そして僕は男子のブルーロケッツでプレーしてきましたので、歴代の男子の方々の思い、そういうすべての思いを背負いながら1日1日過ごしていきたいです。会社に恩返しできるように、NECスポーツによって活気溢れる会社になれるような後押しをしたいと思いますし、日本バレー界にもNECが率先して発信して行けるように、他には負けないぐらいのチーム作りを目指していきたいと思います。それはみなさんの応援、サポートがなければできないものですので、これからも手助けしてもらえたらと思いますし、ホームゲームを真っ赤に染められるように。これからもよろしくお願いします。


 

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