レッドロケッツ応援記~第59回黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会レポート~

  info_category1.gif2010/05/06



 今シーズンを締めくくる黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会。新たなチームとして進み出すにあたり、今年度、山田監督がチームに掲げたのは「受け身ではなく、自分たちで考え、動き、自分たちのバレーをすること」。それぞれが葛藤を抱えながら戦いぬいたリーグでは、思うような結果を残すことができずに終わったが、その分も黒鷲旗はいい形で終われるように。限られた時間の中で、技術課題を掲げ、取り組み、レッドロケッツは今シーズン最後の大会に挑んだ。

 まず重視したのは、スパイクレシーブからの攻撃。山田監督は言う。
「レシーブは上がっているんです。そこをうまく攻撃できなかったり、1対1のブロックにつかってしまう。リーグが終わってからは攻撃面を重視して取り組んできました」
 サーブレシーブからの攻撃時には、いくつもの攻撃パターンを組み、その中からセッターが攻撃を選択する。しかし、相手のスパイクをレシーブしてからの攻撃時は、体勢も万全ではなく、どうしてもレフトのエースに頼りがちになる。必然的に相手ブロックのマークもきつくなり、得点チャンスは減ってしまう。そこで、少しでも攻撃枚数を増やすために、レフトだけでなくライトやセンター、バックアタックも含め、崩れても攻撃ができる準備。リーグ中から試みてきた展開だが、黒鷲旗でも随所でその成果が表れ、準々決勝では久光製薬を3-0で圧倒した。



 迎えた準決勝。対するは、前人未到のリーグ三連覇を成し遂げた東レ。リーグ中は対戦成績も悪くなく、苦手意識はなかったが、三連覇を達成した自信を得た東レは黒鷲旗でもその強さを随所で発揮。第1セットは東レペースで試合が進み、25-19で第1セットを失う。
 第2セットも流れは変わらず、先行したのは東レ。ここで山田監督はセンターに安藤を投入。「夏場からライト、センターの練習を並行してきた。試合ではそれほど慣れていないにも関わらず、いい働きをしてくれた」と山田監督も評価するように、安藤の活躍が起爆剤となり、ようやくレッドロケッツが反撃を開始する。
 秋山のサービスエースや杉山のブロックでジワジワと点差を詰め、13-14と1点差まで迫ったところで、山田監督はピンチサーバーに滝口を投入。大きなフォームから放たれるジャンプサーブが東レの守備を崩し、相手のミスを誘い14-14の同点とすると、2本目は見事なサービスエース。6点差を撥ね退け、レッドロケッツが遂に逆転に成功する。その後も松浦のブロックなどで得点を重ね、得点は20点を越えた。



 このまま一気に突っ走りたいレッドロケッツだが、東レも女王の底力を発揮し、なかなか点差を広げることができない。杉山のサーブで守備を崩すも、フォフィーニャがブロックに捕まり、ここから流れは再び東レへ移行。終盤で連続して攻撃がブロックに仕留められ、あと一歩及ばず。第2セットも東レに与えてしまう。
 後がなくなった第3セットは、レッドロケッツが先行する。杉山のサービスエースやフォフィーニャのスパイクで連続得点を挙げ、6-1とリードする。その後も内田のスパイクや安藤のクイックで得点したが、20点を越えたところで、第2セット同様、東レに連続失点を喫する。何とか粘り、安藤のスパイク、クイックでジュースへ突入。ライトから松浦がコート奥を狙ったスパイクで得点したが、東レは勝負所で木村が次々にスパイクを決め、最後は内田が東レブロックに阻まれ、26-28。あと一歩が及ばず、3-0のストレート負けを喫した。
 試合後、内田は「競っている場面で自分たちが弱かったのに対し、東レは勝負所で強かった。だから三連覇しているのだと改めて思い知らされたし、そこに勝つためにはもっともっと精神的にも肉体的にも成長しなければダメだと実感しました」と唇を噛み締めた。




 若いメンバーが主体になって臨んだ今シーズン。リーグの前半はなかなか全体が機能せず、負けが先行する苦しいスタートを強いられた。それでも、勝って心から喜べるチームになるために。心から応援してもらえるチームになるように。取り組んできたことは、決して間違いではない。秋山が、チームの思いを代弁した。
「勢いがあるときはよかったけれど、ダメなときにはズルズル行ってしまう。若いチームゆえの展開はあったけれど、若いからこそ伸びる部分も、可能性もある。『こういうチームにしたい』と全員で意思統一をして、いいチームをつくっていきたいです」

 短い休息期間を終えれば、また新たなシーズンが始まる。さらに進化したチームになるために。レッドロケッツの戦いは終わらない。

(取材・文:田中 夕子)





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