■レッドロケッツ応援記  ~2/2 対JTマーヴェラス戦 前回ホームで敗れた相手にアウェーで雪辱!~

  2019/02/04

 前節でファイナル8進出を確定させたレッドロケッツ。V・レギュラーラウンドの残る試合は、イーストカンファレンスで1つでも上の順位を目指しつつ、チーム力をより高めていくことがテーマになる。ただ、選手たちはこの日、グリーンアリーナ神戸でのJTマーヴェラス戦に別の思いも持っていた。柳田は言う。
 「前回のJTさんとの試合(昨年12月1日)は、ホームゲームだった私たちがフルセットで負けて悔しい思いをしました。今日は相手のホームゲームでしたが、絶対に勝つという気持ちで臨んだ一戦だった」



 気迫がやや空回りした部分もあったのか、立ち上がりからサーブで苦しめられ、第1セットは19-25で失った。
 徐々にレッドロケッツらしさが出てきたのは、第2セットに入ってからだ。柳田が得点を積み上げ、最初のテクニカルタイムアウト直後に古賀が見事に1枚ブロック。ラーマットも2本のブロックで続いた。3点あった序盤のリードを10-10と追いつかれたものの、そこから山内のスパイクなどで再び引き離す。セットポイントは山口のサービスエースで25-17。兵庫県出身の山口は、「関西での試合は私にとって第2のホーム。家族や恩師、友人など小さい頃から応援してくれている人たちが来てくれたので、喜んでもらいたかった」と、いつもにも増して気合十分だった。



 第2セットを良い形で終えた勢いは第3セットも変わらない。むしろ、さらに加速したようにさえ見えた。古賀、ラーマットがそれぞれエースを奪うなど、序盤からサーブが走り、古賀の硬軟織り交ぜた攻撃で12-5として主導権を握る。だが、金子監督が「大量リードできたことで緩さが出たのかもしれない。心の部分で甘さがあった」と振り返ったように、一気に突き放すことができず、逆にJTにじわじわと追い上げられてしまう。島村がブロード攻撃、リリーフサーバーの篠原が崩したところを山内がバックアタックを決めて19-15と必死に逃げたものの、「自チームのミスで崩れた」(岩﨑)ことからセット終盤に逆転を許し、22-25。まさかの展開と悔やまれる結果に、レッドロケッツサポーターからは溜息が漏れた。
 とはいえ、取られてしまったセットを悔やんでも仕方がない。気持ちを切り替えて臨んだ第4セットは、互いが譲らず、激しい点の取り合いとなる。リベロの岩﨑は、アタック決定本数で堂々のトップをひた走るJT・ミハイロヴィッチの破壊力抜群のスパイクを素早い反応で拾って古賀の得点につなぐ。島村は得意のブロードを突き刺し、柳田は相手ブロックをよく見てチャンスを確実にものにした。ただ、15-16から山内のバックアタック、古賀とラーマットのブロックで3連続得点と一歩リードしながら、相手も必死に食らいついてきたため、思うようにリードを広げられない。
 それでも結果的に21-21からの4連続得点で第4セットを奪い、第5セットも13-13から抜け出して15-13と勝利をものにしたレッドロケッツ。どちらに転ぶかわからない大接戦で最後の勝敗を分けたのは、ここ一番での決定力だったと山口は振り返る。
 「終盤の競った場面やお互いに粘っているときに、しっかり決めた回数がウチの方が多かった。みんなで粘って、みんなで攻めることができたのは今後にもつながると思います」



 第4セット終盤にラーマットの速攻と山内の2本のスパイク、島村のブロックと、一気呵成の攻めを見せ、ファイナルセット12-12の場面では、壮絶なラリーを柳田のスパイクで制した。その柳田は「途中交代で入ってくれた選手に助けられた」と語り、なかでも最終セットの1点を追う終盤、「(リリーフサーバーで投入された)篠原のサービスエースが大きかった」と1学年後輩の活躍に感謝する。篠原は「競っている場面だったので、ミハイロヴィッチ選手のところを狙って、少しでも崩れてくれればチャンスがあると思った」と、土壇場での鮮やかなノータッチエースを素直に喜んだ。



 金子監督は試合後、まさに「サーブがポイントだった」と語っている。
「選手にはサーブが1つのカギになるだろうと話していました。案の定、サーブで主導権を握った方が優位に試合を進める展開になったと思うので、サーブはある程度、機能したと感じています。これからの試合でもサーブを重点的にして戦ってきたい」
 その言葉通り、翌3日の東レアローズ戦でも山内の3本を含め、チーム全体で7本のサービスエース。相手をどれだけ崩せたかの指標となる効果率でも東レを大きく上回った。2セットを先取した後に2セットを奪われたあたりは苦しかったはずだが、良い意味で開き直ったレッドロケッツは、JTと同じく前回のホームゲームでフルセット負けを喫した相手にきっちり雪辱を果たした。



 ファイナル8を考えたとき、ウエストカンファレンスから勝ち上がってくる可能性が高いJTと東レを下した意味は大きい。選手も「自分たちはできる」という自信を深めたからだ。東レ戦も最終セットまでもつれ込み、これで5戦連続となったフルセットマッチ。肉体的にも精神的にも厳しい試合が続いているが、手にした勝利は激闘の後の疲労感を少なからず軽減してくれるに違いない。
 そして9日の次節は、川崎市とどろきアリーナでの日立リヴァーレ戦。柳田はミーティングの際、野田部長から言われた「苦しいときにこそ笑顔で、苦しいときにこそ挑戦する」という言葉が心に残っているという。今季最後となるホームゲームでは、サポーターの声援を力に変え、選手がチャレンジャー精神を発揮できたとき、試合後にみんなが笑顔にあふれた最高の瞬間が訪れる。


 





■Hot Topic 岩﨑紗也加 ~守備だけでなく、「声」でも仲間を支える職人~
 バレーボールを観戦していると、ボールにばかり目が行くため、最後にスパイクやブロックを決めた選手の印象がどうしても強く残る。サイドアタッカーやミドルブロッカーが注目されやすいのもそうした競技特性、ポジション特性があるからだろう。
 レッドロケッツの守護神、リベロの岩﨑に注目すると、守備範囲が広い、レシーブやサーブレシーブが正確といったプレーとは別に、これまであまりクローズアップされてこなかった事実に気づかされる。試合開始から決着がつく最後のプレーまで、とにかく絶え間なく声を出し続けているのだ。チームメイトを鼓舞する声や仲間に送る細かな指示、そして、アタッカーがスパイクを放つ際、「サリナー(古賀)、行けー!」「ライ(柳田)、頑張れ!」といった願いを込めた檄は、まるで自分がスパイクを打っているかのようにも聞こえる。
 「私は点は取れない。どれだけ拾っても最後はみんなに点を取ってもらわないといけません。だからまずは自分がボールを落とさないで上げるというのはもちろん、それにプラスして、得点を取ってもらうためにできることをやる、というのは意識しています」
 キャプテンの柳田は、岩﨑の存在感がとても大きいという。
 「後ろにヒナ(岩﨑)さんがいてくれたら絶対に上げてくれるという信頼がありますし、一緒にパス(サーブレシーブ)に入るときも広い守備範囲をカバーしてくれる。それにディフェンスのところだけではなく、オフェンスのときにも相手のコートを見て、アタッカーを助けるコールを積極的に出してくれるので、アタッカーにとってはとても大切な存在です」
 この日のJTマーヴェラス戦でも、最終セットに入るとき、「5セット目は15点までと短いので、気持ちの面で引いたり、少しでも隙があったらやられてしまう」と、スタートからいつも以上に声を掛け合ったという。
「私自身も絶対に引かずに、データも頭に入れますが、それよりも自分の感覚や仲間のブロックを信じてプレーすることを心がけました。試合全体を見ても、1セット目以外は迷いもなく、みんなが良い表情だったので、全員で戦えたと思います」
 鉄壁の守備で常に後方からチームを支える職人。次の試合では、ぜひリベロ岩﨑の「声」にも注目してほしい。
 
(取材・文:小野哲史)

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