鍛錬の夏に向け、つかんだ課題と手ごたえ~サマーリーグ1次予選リポート~

  info_category1.gif2010/07/21




 今この時期に、どれだけのことができるか。得られた手ごたえの数が多ければ多いほど、それがリーグに向けた財産になる。
 その成果を試すべく、最初のステージ、サマーリーグ一次予選を迎えた。

 どのチームも若手主体で臨む大会とはいえ、試合経験の少ない選手にとっては絶好のアピールの場であり、リーグで経験を積んだ選手にとってはそれを披露し、より安定したポジションをつかむための場でもある。
 それぞれの目的や課題を掲げる中、山田監督が「この3日間の試合で最も成長した」と称えたのが、今春入団したルーキーの島村だ。
 春から夏にかけ、練習と練習試合を重ねる中でチームのテーマとしてまず取り組んできたのが「サーブレシーブからのセンター線、ライトからの攻撃でしっかり得点し、サイドへの負担を軽減させること」と山田監督は言う。その基点となるセンターに入る島村は、持ち前のパワーを生かしたA、Bクイックを次々に決めるなど、本格的なデビュー戦となるサマーリーグでも存在感を十分に示した。



 しかし、最終日に対戦した東レアローズは昨年、一昨年のリーグ覇者でもあり、主力を欠くとはいえ、選手層も厚く、意識も高い。1、2日目に対戦したチャレンジリーグのチーム相手には簡単に決まった攻撃も、東レには通用しない。誰より島村自身がその壁と、今後取り組むべき課題を痛感した。
「体の使い方もまだまだだと感じたし、自分の力の無さが出ました。これから戦っていかなければならない相手なので、もっと気持ちを高めてメンタル面を鍛えたいです」
 本人の言葉からは課題ばかりが出てくるが、山田監督が「最も成長した」と評価する面は、実はメンタル面の成長にあるのだと言う。
「ラリー中も遠慮せず、自分が得点を取るという気持ちが試合をするたび前面に出てきました。よくやってくれました」
 リードを許した東レ戦の2セット目でも、サーブレシーブからの攻撃時でも、ラリーが続いた場面でも積極的にクイックを仕掛けた。その姿勢こそが、次のステップへさらに成長していくための布石になることだろう。




 試合と実戦は異なる。練習でできたことが、試合ではなかなかできず、そのうえ修正を図ることが練習よりも何倍も難しい。最終日の東レ戦でも、相手のサーブで崩されてからの連続失点など、昨リーグ中も見られた課題が浮き彫りになったのも確かだ。
では、ムードが沈んだときにどう打破するか。流れを変えようとすることはたやすいことではないが、流れを変えようと意識することが、プレーにもつながることを実践した選手もいた。3年目のセンター、丸山だ。
 プレミアリーグ期間中は試合出場の機会をなかなか得られず、記録を整理するなど裏方に回ってチームを支えている。チームのためにできることをする。その気持ちに変わりはない。だが、スタンドから試合を見るたび、「いつか自分も」と悔しさを募らせていたのも事実だ。
「絶対にここで自分が何とかしてみせる。リーグ中の悔しさがあるからこそ、余計にそう思う気持ちが強かったし、自分で撮ったデータを何回も見直して、『相手のやることはわかっているのだから、自分が流れを変えてやろう』と思ってコートに入りました」



 第1セットは8-13の場面で投入された。秋山のトスを鮮やかに決めると、続けてブロック得点。右手を下から突き上げるガッツポーズもどこか不慣れだが、その姿にチームメイトが盛り上がり、コートの内外がこの試合で初めて沸いた。
「チームを勢いづかせる切り込み隊長になりたいんです。流れが悪いときは、何かきっかけがあればきっと盛り上がれる。みんなが笑顔になって、笑顔でプレーするために、私の動きがきっかけになればいい。そう思って、必死でプレーしました」
 1、2セットとも限られた出番ではあったが、丸山の投入で流れは変わり、チームを勢いづかせた。惜しくも勝敗にはつながらなかったが、チームにとって明るい材料であったのも事実であり、丸山自身も試合に出たからこそ、課題と次への欲を得た。
「次は絶対にスタメンで出ます」
 
梅雨が明け、本格的な夏の到来を告げるように、空は青々と広がる。サマーリーグ1次予選は突破ならず、決勝リーグ進出は断たれたが、鍛錬の夏は、まだ始まったばかり。
手応えの数を1つずつ積み重ねていく日々も、これから本番を迎える。

取材・文:田中 夕子

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