NEC Red Rockets

NEC orchestrating a brighter world

NEC SPORTS.NET

 
 

NEWSNECレッドロケッツ ニュース

2020/03/13

トピックス

レッドロケッツを支える人たち①高橋悠コーチ「コーチはチームのパイプ役。監督の意図を反映し、選手にわかりやすく伝えるのが仕事」

 全員の力を結集させて勝利する。その目標達成に欠かせないのが、選手の力を最大限に発揮するスタッフの存在。コーチ、トレーナー、アナリスト、とひとことで言ってもその仕事の幅は広く、細かくそれぞれがどんな役割を担っているのか、ということは意外と知られていない。
 天皇杯皇后杯が中止になってしまい、バレーボール“ロス”な人にもぜひ知ってほしい。選手を支える陰の立役者。第1回は、女子チームのコーチとして豊富なキャリアを誇る高橋悠コーチに聞いた。



 
名前 高橋悠(たかはしひろ)
役職 コーチ(オフェンスコーチ)
在籍 2012~NECレッドロケッツ(現職)
主な経歴 2016年 U17(ユース)代表チームコーチ
2018年 U19(ジュニア)代表チームコーチ
     アジアカップ(U23)代表チームコーチ
2019年 U20(ジュニア)代表チームコーチ
     アジア選手権大会(B代表)コーチ


――まず、コーチになったきっかけから教えて下さい

僕は高校からバレーボールを始めて、選手としてバレーボールを続け、卒業後は教員になりたいと思って国際武道大学に進学しました。大学2年だった01年に監督さんから「女子日本代表が手伝ってくれる大学生を探しているから行って来い」と言われ、元NEC監督の吉川さんが監督、そして、前NEC監督の山田さんがコーチを務めていた日本代表のお手伝いをさせてもらったのがスタートです。それまでは“女子のコーチになりたい”と思うことはなかったのですが、日本代表チームに参加させていただきとても興味が湧いたので、大学に戻って監督さんへ「指導の道を目指してみたいです」と伝えたら、大学3年から女子バレーボール部の学生コーチとなり、そこから本格的に指導者として道がスタートしました。

――もともとVリーグでも選手だった方が女子チームの監督、指導者になるケースも増えて来た中、女子の世界で指導を続けてきたからこその強み、女子を指導するうえで心がけているのはどんなことですか?

そもそも僕はプレーヤーとしての経験が浅い中で学生コーチを務めてきたので、自分のプレー経験談をもとに指導することはほとんどありません。むしろ指導をしてきた中でうまくいった成功例を活かす。20代前半は無我夢中でしたが、少しずつ、選手個々に接して何を悩んでいるか、何を上達したいのかを聞いて、積み上げていく過程で信頼関係を結ぶことがコーチとしての自信にもつながってきたと思っています。女子の世界でずっと指導者として重ねて来た経験、女子選手の育成力のノウハウは持っているつもりなので、そこは誰にも負けたくないという気持ちがあります。


選手としての経歴が少なく、指導者としては異色のキャリア


――バレーボールチームにおけるコーチのお仕事とは?

チームによって形態が異なり、コーチが1人しかいなかった時もありますし、現在のスタッフ体制では多数のコーチで役割を分担することが主となっています。今は個々の経験やキャリアも違う中でそれぞれの立ち位置があるので、自分に任されたところをフォーカスして、スキル面に特化して見ること。全体を見ながらうまくチームが回るようにサポートしなければならないこと。いろいろな役割、立ち位置があると思います。

――今シーズンに関して高橋コーチはどんな役割を担っていたのでしょうか?

西原コーチがブロックとディフェンスを担当し、中西コーチは主にセッターを見る。僕はオフェンスメインだったので、セッター担当の中西コーチと一緒にオフェンス面を統括するのが僕の役割でした。土日が試合なので、月曜にチームの修正点を明確にすること。特に今シーズンはオフェンスの面で数字が上がらなかったので、その修正を第一に心がけていました。もちろん試合期なので練習時間も限られますし、いきなりスキルが格段に上がるわけではないですが、1つの気づきをきっかけにして、ここでもうちょっと違うチョイスができれば違ったんじゃないか、というヒントを選手と共有する。2人のコーチやアナリストと連携しながら、どうすれば選手に新しい意識づけができるか、それぞれのパートで確認したことをコーチ陣ですり合わせながら、ああしたほうがいい、このほうがいいじゃないか、と話し合いながらそれを形にして、ミーティングで選手に伝えてきました。


限られた時間での修正には「新しい意識づけ」を選手と共有することが重要になるという

――今リーグで「オフェンスが上がってこなかった」と仰っていましたが、どんなところが課題でしたか?

オフェンスはその場ですぐ形にならない部分も多いのですが、練習から積み重ねて来たことを発揮しきれませんでした。もともと個々が持っている能力だけで勝負してしまっている場面が多かったので、もう少し組織的に攻撃を仕掛けたかった。リーグ中盤から後半にかけて、少しずつその形ができてきたのですが、完成までは間に合いませんでした。僕自身の後悔、反省として、その構築をする夏場にU20日本代表のコーチとして参加しチームを離れていたので、練習で落とし込めなかったのが選手に申し訳なかったと思います。その分も今は黒鷲旗に向け、個々のストロングポイントを磨くことはもちろんですが、チームとしていろんな武器を持つために、今はオフェンス面でも引き出しをつくる練習を強化しています。

――コーチと選手、コーチと監督、さまざまなコミュニケーションについて、高橋コーチはどんな風に接することを心がけていますか?

コーチは選手と監督のパイプ役なので、まずはチームのつくりたい形を一番考えている監督の考えを理解して、ピックアップすること。監督が「こういうメニューを組みたい」と言ってきたことに対して、コーチ陣でどんな練習を組むのが効果的かを考え、体力面で必要な要素があればトレーニングコーチに伝える。監督の意志をわかりやすく伝達するということは一番心がけています。


監督の意図を汲み取り、担当コーチ陣で話し合い、練習へ落とし込む

――試合時もベンチで指示を出す場面もあれば、あえて声をかけない場面など、さまざまな局面があるように見えます

試合で声をかけられる時間は少ないので、まずは監督の動きを一番気にして、どうしてもこの選手にこれは伝えたい、というポイントはタイムアウト時など、タイミングを逃さず選手に直接伝えます。今シーズンは自チームのフロアディフェンスに関しては、それほど問題はありませんでした。むしろ結果を見ていただくとわかると思うのですが、レッドロケッツは非常にロースコアなゲームが多かった。それは相手を抑えることはできていたという証明でもあって、ではなぜ勝てなかったかといえば、やはり決めるべきところで決められなかったから。オフェンス面で自分たちの能力を出し切れなかったのが課題でした。試合中に細かすぎる指示を出してもなかなか選手の耳には入っていきませんので、アナリストに伝えてもらった数字をうまく取り入れ、打つコースの傾向や特徴を簡潔に伝える。どうしても試合になると無意識に打ってしまうこともあるので、自分がどこに打っているかを把握して、「ちょっとこのコースに偏っているから、もうちょっとこっちにトライしてごらん」というように、わかりやすく伝える。たとえ決まらなかったとしても、異なるコースへ打つことで、相手も的が絞りにくくなるので、最終的に勝負できるように。得点経過も見ながら、このシーンはこうしよう、ああしよう、と選手が考えられるような言葉をかけるように意識していました。


アナリストと連携して、試合中は「簡潔に分かりやすく」説明することを意識している

――選手に声をかける時、言葉のかけ方など、気を付けていることはありますか?

「こういうふうにしろ」と断定するのではなく、「こういうふうにしてごらん」とできるだけソフトに声をかけ、なるべく自分でトライさせて、自分で形にした、と思わせるようにしています。そのほうが経験になると思うので、試合を重ねる中でどんどん成長してほしいと思っています。

――コーチとしてキャリアが豊富な高橋コーチはレッドロケッツでも山田監督、金子監督、トヨタ車体では葛和監督など、さまざまな監督と一緒にチームづくりをされてきました。それぞれ特徴や個性も異なると思いますが、監督が代わるたびにコーチも接し方や立ち位置をあえて変えるなど、変化はあるのでしょうか?

自分で経験したことは人によって変わるものではないので、僕は自分が持っているものを人によってどうプラスにするかということを大事にしているつもりです。監督に合わせてコミュニケーションの取り方を変えたりはしますが、練習方法をアレンジして、監督の方向性を考えて、自分はやるべきことをやる。基本的に大きく変える部分はありません。


選手自身に自らトライさせる、自発性を促すことが大事だという

――コーチとして経験を重ねた今だからこそ、できること、やりたいことはありますか?

自分の経験してきたことも大事にしていますが、バレーボールもどんどん新しくなるので、いろいろなことを上乗せして、コーチとして、指導者としてもスキルを上げて成長していきたいと思っています。女子だけでなく男子の映像も見て、「これは活かせるんじゃないか」と思うことを取り入れたり、常に勉強、トライし続けたいと思っています。

――最後に。試合を見る方々はコートの中ばかりに注目しがちですが、あえてベンチワークやこんなところを見ると面白い、というポイントは何でしょうか?

これはあくまで僕の目線ですが、優勢のチームよりも劣勢のチーム、勝っているチームよりも負けているチームを見るほうが面白いですね。勝っているチームは放っておいてもそのままうまく回っているケースが多いが、負けているチームは何かを変えないといけない。雰囲気なのか、戦術なのか、戦略なのか。そのためにどんなコミュニケーションを取っているのか。もともと試合に臨む時は「この方法でやろう」と思っているのに、負けて、うまくいかなければ「これで勝てる」と言ってきたことを覆して、違う戦術を取り入れることもあります。何かを変えるというのはすごく勇気がいることですし、うまくいかなければ信頼関係が崩れてしまうかもしれない。非常に難しいところではありますが、何かを変えたことによって雰囲気が変わることもある。セットプレーのバレーボールはリズムや流れを変えやすいスポーツでもあるので、劣勢の状況を打破するためにどんなことをしているか。そこに注目してもらうと面白いのではないでしょうか。
 


 

アーカイブ

NEWS一覧