レッドロケッツ応援記 ~ 第58回 黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会レポート ~

  2009/05/07

 

 リーグで3位に終わった悔しさを晴らすべく、迎えた今シーズン最後の大会。対するは、セミファイナルで敗戦を喫した久光製薬。絶対に負けたくない。選手たちはリベンジを誓い、センターコートに立った。
 序盤は久光製薬の勢いが勝る。「大会を通して、序盤の連続失点の多さ、立ちあがりの悪さが課題だった」と杉山が言うように、悪いクセがここでも生じ、い きなり5連続失点を喫する。ライトから有田が、センターから松﨑が次々に攻撃を決め、ジワジワと追い上げるも、なかなか点差は縮まらない。


 ようやく流れを引き寄せたのは、セッター秋山のブロックからだった。身体能力を生かした高いジャンプで相手の攻撃を封じると、またも有田がスパイクを決 め、遂に点差は1点。フォフィーニャのサーブがネットインで相手コートに入り、守備が崩れたところを松﨑がダイレクトで決め、今度はフォフィーニャのサー ビスエースで18-17、ようやくレッドロケッツがリードを得た。
 ここで一気に走りたいところなのだが、逆に久光・山本のサーブに崩され、またも連続失点を喫する。渡邊を投入して守備を固め、秋山が前衛に回ったところ で新人の松浦を投入し、再び流れを引き寄せようと試みたが及ばず。第1セットは久光製薬が先取した。



  続く第2セットは、サーブローテーションを間違えるというアクシデントが響き、序盤から久光に大差をつけられてしまう。変則ローテを克服するために、内 田、竹内を投入。期待に応え、竹内は交代早々にライトからのブロード攻撃を決め、内田もレフトからの速さを生かしたスパイクで得点を挙げる。最大で8点 あった差を4点差まで追い上げたが、第1セット同様に逆転までは至らず、第2セットも失ってしまう。



 「いいときはいいけれど、悪いときは悪い。その差も大きいし、悪くなると立て直せないのが今シーズンの課題だった」
 杉山がそう言うように、一度悪い状況になるとそこからなかなか切り替えることができない。黒鷲旗でも象徴的な場面が幾度かあった。たとえば準々決勝の対 トヨタ車体戦。全くリズムをつくることができず、第1セットではわずか10点しか挙げることができずに終わった。第2セット以後、メンバー交代などできっ かけをつかみ、劣勢から大逆転劇を演じたが、好不調の波の激しさはここでも露呈されていた。
 1、2セットを奪われた悪いパターンに陥り、第3セットも本来のレッドロケッツスタイルには程遠い。セット序盤、山田監督は有田に代えて内田を投入。 リーグ開幕当初はスタメン起用されながら、プレミアリーグの壁に苦しみ、「途中で心が折れるかと思った」と振り返るように、内田のルーキーイヤーは厳しさ を伴った。しかしそんな状況を常に温かい言葉で救い、励ましてくれたのがフォフィーニャだった。


 「フォフィとできるのは今シーズンこれが最後。絶対に勝ちたかった」
 ライトからの時間差攻撃や、レフトからのブロックアウトを取るスパイク、バックセンターからのパイプなど内田がさまざまな攻撃を仕掛ける。だが、手堅い バレーを展開する久光をとらえることができない。久光・石井がレフトから放ったスパイクが決まり、20-25、セットカウント0-3で敗れ、決勝進出を果 たすことはできなかった。


 リーグに続いての3位。ここ数年、苦しんできたことを思えば確かな成果を残したと言えるだろう。しかし、チームの主軸として、キャプテンとして、杉山はあえて辛口な言葉を発する。
 「まだまだムラがある。大事なところで勝つためには、もっと改善していかないと」
 あと一歩まで迫ったからこそわかる、厳しさ。課題を受け止め、克服することがチーム力の向上につながることは間違いない。


  明るい話題もある。黒鷲旗では高卒ルーキーの松浦が堂々デビューを果たした。「めちゃくちゃ緊張した。チームのためにならなきゃ、とプレッシャーもあっ た」という18歳だが、杉山が「これからにつながる大きな収穫」と言うように、高い位置でボールをさばけるセッターとして大きな魅力と無限の可能性を秘め ている。
 「先輩方から『思い切りやればいい』と言われて安心した。アタッカーが打ちやすいトスをあげられるセッターになりたい」
 長いシーズンの終わりは、来るシーズンへの幕開けでもある。悲願達成のために。わずかな休息を経て、またすぐに新たな戦いが始まる。

(取材:田中 夕子/写真:大谷 欣也)



5月1日(金)
NECレッドロケッツ
3-0
東九州龍谷高校


5月2日(土)
NECレッドロケッツ
3-0
JTマーヴェラス


5月3日(日)
NECレッドロケッツ
3-0
パイオニアレッドウィングス


5月4日(月)
NECレッドロケッツ
3-1
トヨタ車体クインシーズ

  
 

アーカイブ