レッドロケッツ応援記 12/12 対トヨタ車体~呪縛を解いた今季初のフルセット勝利~

  info_category1.gif2010/12/13



 今シーズンを迎えるにあたり、チーム全員の中で強烈に根づいていたことがある。
「去年悔しい思いをした分も、今年は絶対にフルセットで勝てるチームになろう」
 そのためにどれほどの準備をしてきたか。どれほど強い気持ちで臨めているか。その真価を問われる戦いが、ともに3勝2敗同士で迎えたトヨタ車体との一戦だった。
 
 まず主導権を握ったのはレッドロケッツだった。
 トヨタ車体のアキンラデウォはアメリカ代表のミドルブロッカーであり、打点の高さは世界屈指の331㎝。サーブレシーブを返して、好き勝手にコンビを組まれると相手の思うツボにはまる。そこで試合序盤から徹底したのは、まずサーブで相手を崩すこと。
 前衛の選手にレシーブをとらせて守備を崩し、ミドルを封じてサイドをブロックで仕留める。その作戦が当たり、第1セットはレッドロケッツが先行。20点を越えた大事な場面でも、松浦(麻)のサーブからアキンラデウォの攻撃をブロック&レシーブで完全に封じ、一挙5連続得点を挙げ、最後もガライのサーブとバックアタックが決まり25-20で先取した。



 そのままの勢いで連取を狙った2、3セットだったが、第1セットとは一転し、今度はトヨタ車体のサーブに攻められる。後ろに伸びるサーブ、前に落ちるサーブで揺さぶられ、手痛い連続失点を喫し第2セットを大差で失う。巻き返しを図った第3セットも、トヨタ車体に先行される苦しい展開が続く。
 何とか流れを変えようと、17-19の場面で山田監督はピンチサーバーに秋山を投入。「途中から入るのは(スタメンとは違う)緊張感がある」という秋山だが、狙い通りの位置に打った絶妙なサーブでトヨタ車体の守備を崩し、19-19と同点にする。「難しい状況の中で、途中から入った選手がいい活躍をしてくれた」と山田監督が言ったように、この場面での秋山だけでなく、第2セットから入った八幡、秋山と同様にピンチサーバーで投入された島村など、全員がそれぞれの仕事を果たしたことで、再びチームに光明が差し始めた。
ジュースの末に第3セットは失ったが、全員バレーでリズムを取り戻し、第4セットからは再びレッドロケッツが主導権を握る。サーブで攻めてブロックで抑え、抜けたコースはレシーブで拾いチャンスをつくって得点する。まさに理想的な展開で第4セットを制し、セットカウント2-2、試合はフルセットへと突入した。
 


 キャプテンの内藤はこう言う。
「フルセットになったとき、ベンチもそうですが会場全体の空気が『フルセットになったぞ、NEC大丈夫か』という空気になったのを感じました。当然選手も意識をしたけれど、ここで勝つしかないし、絶対勝ちたい。絶対取るぞという気持ちが高まりました」
 昨年はフルセットでの勝率が悪く、あと一歩で逃した試合がいくつもあった。苦手意識があるわけではないが、劣勢になると「また負けるのか」と嫌な空気も漂い出す。7-10とトヨタ車体が3点をリードした場面で、前衛にアキンラデウォが上がってくる。圧倒的に不利な状況であったことは間違いない。
 だが、ここからが今季のレッドロケッツは違った。
「相手の前衛も強いけれど、ウチの前衛も強い。ここに打てば止めてくれると信じてサーブを打ちました」
 八幡のサーブからブロックでワンタッチを取り、攻撃を切り返す。「決めパターン」で得点できずに焦り出す相手を尻目に、「絶対に落とさない」とボールをつなぎ、チャンスを広げる。3点あった差は徐々に縮まり、相手のスパイクミスで遂に12-11とレッドロケッツが逆転した。



 しかし、まだ試合は終わらない。レッドロケッツと同様に脅威の粘りでトヨタ車体がボールをつなげ、13-13。ラリーの応酬が続き、ボールはトヨタ車体のレフト・眞へ。
「それまで何本も(スパイクで)抜かれていたので、チームを代表して絶対止めたかった」
 内藤が完璧なブロックで仕留め、ついにレッドロケッツがマッチポイントへ到達。その後も競り合いが続き、第3セットと同様に再びジュースへ突入したが、勝敗の決着をつけたのは、この試合ではレシーブ、スパイクでなかなか見せ場をつくれず苦しんでいたライトの松浦(寛)だった。
「もっと大事なところで決められる選手にならなきゃいけないのに、ダメなところばかりでチームに迷惑をかけてしまったので、せめて最後ぐらいは何とかしたかったし、絶対決めなきゃいけないと思ってトスを呼びました」
 全員で拾ってつないだボールをライトから鮮やかに決め、17-15、今シーズン初のフルセットは大熱戦の末、レッドロケッツが大逆転で勝利を収めた。
「勝ててよかった」
 長いリーグはまだ始まったばかりで、これからが過酷な戦いとなる。だが今は、昨年の呪縛が解けたこのフルセット勝利を素直に喜びたい。






 



―途中出場で勝利に貢献しましたね
自分に上がってきたボールは全部決める気持ちで、流れを変えたいと思って必死でプレーしました。アタックを打つときは思い切って決めに行くこと、細かいボール、つなぎの部分もしっかり頑張ろうと思ってコートに入りました。
 
―昨年はフルセットの勝率があまりよくなかったですが、5セット目を迎えたときの心境は?
とにかくこのセットに賭けようと。去年はフルセットで負けた試合のほうが多かったですが、今日は負ける気が全くしなかったし、一度気持ちをゼロに戻して、また1からやり直そうという強い気持ちでした。
 
―客席に飛び込むようなレシーブもありましたね
「この1本をとらないと負ける!」という気持ちで、とにかく必死でした。つなげられてよかったです。
 
―今年はケガからの、苦しいスタートでした
シーズンのほとんどをリハビリに時間を費やしたので、他のみんなに比べるとゲーム数も少ない。不安はありましたが、逆にみんなが経験していないこと、つらいことを一気に経験してきたと思うので、その分も絶対に負けられない。試合に出たら「この試合に賭けよう」という気持ちでしたし、ここで結果を残して、前に進みたいと思っていました。ケガやリハビリは本当につらかったけど、今は状態もいいので、これからもっと頑張ります。
 
―同じポジションの内田選手が開幕から好調なのも、刺激になりますか?
キョウさん(内田選手)が頑張っているので、キョウさんが崩れたときは自分が入って助けてあげたいし、タイプが似ているので、キョウさんのプレーを見ていると勉強になります。一緒に頑張りたい気持ちと、負けられない気持ちがどちらもある。いいライバルだと思っています。
 
―ではこれからに向けた抱負をお願いします
1日1日、チームとして、個人としても成長して、データを取られてもその上を行くためにはまず気持ちが大事だと思うので、強い気持ちを持って戦いたいです。まだリーグは始まったばかりですが、これからもファンのみなさんと一緒に勝って、一緒に喜び合いたいです。

取材・文:田中 夕子

 

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