平成22年度天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会レポート

  info_category1.gif2010/12/20



 ごくたまに、どうにも相性の悪い相手や、相性の悪い大会というものが存在することがある。苦手意識とまでは言わないが、レッドロケッツにとっては天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会は、そんな大会に当てはまるのかもしれない。
 現に、山田監督はこう言う。
「初戦に勝ったことでホッとした部分もありました」
 本来ならばどの大会でも勝ちに行く。そして、頂点を目指す。しかし開幕したばかりのリーグに意識を向けつつ、すべてのチームがプレミアリーグに対してチャレンジャーとして向かってくる皇后杯も制するのは全く別の難しさがある。
初戦の上尾メディックスには危なげなく3-0でストレート勝ちを収めたが、絶対に勝ちたいというよりも、絶対に負けられないという気持ちがプレッシャーとなり、準々決勝の久光製薬スプリングスとの準々決勝は、気負いがよくない形で露呈してしまった。
 


 リーグでは勝利した相手に対し、「負けたら終わり」のトーナメントでも前回の対戦時と同様にサーブで攻めて、コンビを組ませないよう試合の前半からレッドロケッツが積極的に攻める。松浦(麻)のサービスエースや松浦(寛)のブロックなど得点にも結び付き、幸先いいスタートを飾ったかと思われた。
 しかし、ここからがよくない。本来ならばレッドロケッツがすべきバレーを、逆に久光製薬にやられてしまう。久光製薬・新鍋のサーブで守備が崩され、なかなかサイドアウトを切れずに焦りが生じる。「普段ならばできていることができなくなり、ミスが続いて流れを失った。立て直せなかった」と松浦(麻)が言うように、コンビの乱れも相次ぎ、13-10から8連続失点を喫する。一度失ったリズムを戻すのは容易ではなく、第1セットはそのまま久光製薬に18-25で先取される苦しい展開を招く。
 何とか盛り返そうとするレッドロケッツだったが、第2セットの立ち上がりでリードを奪ったのは久光製薬。何とか流れを変えようと、山田監督は杉山に代わって張を投入。外国籍選手の関係で、現時点ではプレミアリーグでの出場はないが、全日本選手権は出場が可能であるため、「いつ出ても自分の仕事、役割を果たせるように練習から準備してきた」と言うように、十分な調整をしてこの大会に臨んだ。



 強い気持ちはプレーにつながり、ブロック、クイックで奮闘。サマーリーグ以来の公式戦で思い切りプレーする張の姿が、再びレッドロケッツに勢いを与える。さらに松浦(麻)に代わって入った秋山も、安定したトスワークを披露。ガライ、八幡のサイド陣をうまく使い、久光製薬を追い上げる。18-19と1点差まで迫ったが、またも終盤で新鍋のサーブに乱され、逆転のチャンスを生かしきれず、第2セットも失ってしまう。
 後がない第3セットも、連続失点からの苦しいスタート。いいときであれば、多少の乱れも我慢と粘りで克服、挽回できるのだが、この日はやや様相が違った。山田監督が「自分たちの展開に持ち込めずバタバタしてしまい、乱れても修正できるしぶとさに欠けていた」と振り返ったように、あとひとつ、踏ん張りきれない。張や松浦(寛)のスパイクで第3セットも応戦したが、終始相手のペースで試合を運ばれ、第3セットは19-25。0-3と悔しいストレート負けを喫し、ベスト8で大会を終えた。
 応援席への挨拶を終えた後、張が言った。
「この試合が終わると、またなかなか試合に出る機会がない。もうちょっと長く戦いたかった」
 


 秋山が「自分が入って流れを変えなければならなかったし、アタッカーを生き返らせなければならなかったのに、それができなくて情けない」と反省の弁を述べたように、自分たちのバレーができないまま敗れた選手たちは表情も暗く、口も重い。
だが、沈むのは今だけでいい。なぜなら、確かに悔しい負けではあるが、下を向くばかりではないからだ。この試合に賭けてきた張がレッドロケッツの選手としてコートで躍動し、他選手に新たな刺激を加えたこと。ケガで苦しんだ秋山が、第2セットを通じて安定したセットアップを見せたこと。リーグに目を向ければ、これからにつながる明るい材料、明るい兆しはいくつもある。
そして、何より大きな財産も得た。不甲斐なく負けた、という悔しさだ。
最後に、松浦(麻)が言った。
「ものすごく悔しい。絶対に次は負けないし、もう二度と、こんな試合は見せません」
 休む間もなくこの週末からリーグが再開する。反省材料と課題を見つけたレッドロケッツが、再びここから立ち上がる。



取材・文:田中 夕子


 12月17日(金)  NECレッドレッドロケッツ  3 -  0  上尾メディックス   フォトギャラリーはこちら

  

  

 

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