V・サマーリーグ 決勝リーグリポート~12年ぶりの優勝でつかんだ揺るぎない自信~

  2011/09/13



 各自が与えられた役割を全うする。夏場の厳しいトレーニングを実戦に生かす。どのチームも強く意識することでありながら、実際にそれをやり遂げるのは相当に難しい。しかし、2011V・サマーリーグ決勝リーグを戦ったレッドロケッツは、夏の成果を存分に発揮した。
 9月9日に25歳の誕生日を迎えたばかりの松浦(麻)が多彩なトスワークを披露すれば、張と島村のセンター線は攻守の両面で相手の前に立ちふさがる。今季から副キャプテンを務める内田がチームメイトを叱咤しながら力強く牽引すると、金子や鳥越は新人らしく、ハツラツとしたプレーでチームを盛り上げた。スタッフやベンチ控え選手も含め、文字通りチーム一丸となって今回の目的をまずは達成したのだ。
 山田監督が「宿題を残して終わった」と振り返った7月のV・サマーリーグ予選リーグ以降、チームは「サーブとレセプション(サーブレシーブ)の安定と、つなぎの強化」に努めてきたという。あれから2ヶ月、兵庫・加古川市立総合体育館のコートに立ったレッドロケッツは、見違えるようなたくましさを身につけていた。


 
 10日、大会初日の健祥会レッドハーツ、久光製薬スプリングスとのグループリーグ戦。タイトなスケジュールではあったが、レッドロケッツはいずれもストレート勝ちを収め、大きな手応えをつかんだ。この2試合で「チームを勢いづけてくれた」と山田監督が特に評価したのが、張と島村のセンターコンビだ。島村は健祥会戦で69.6%という驚異のアタック決定率を叩き出し、張も負けじと久光製薬戦で20得点をマーク。今大会では控えに回った杉山、内藤のベテランセンター陣に優るとも劣らない輝きを放った。
 そして迎えた翌11日、岡山シーガルズとの優勝決定戦でも、レッドロケッツの快進撃は止まらなかった。
「全員バレーをするためにも、パスをしっかり返すなど、まず一本目のボールから大事にしようと、みんなで練習をしてきた」
 内田がそう話すように、試合を通して各選手の“つなぎ”の意識は高かった。厳しいボールでも易々と落とさない姿勢は、徐々に相手へのプレッシャーになっていたに違いない。正確なボールがセッターに返れば、あとは司令塔であるセッター松浦(麻)が自由自在にトス回しをする。センター、サイドとトスを効果的に散らして、アタッカー陣の持ち味をうまく引き出していく。張は言う。
「セッターが信頼してたくさん使ってくれた。それに応えられるように頑張って決めるだけでした」

 

 岡山シーガルズもミスの少なさが特徴のチームだけあり、連続得点を奪うまでにはなかなか至らない。しかし、第1セット7-8の場面から八幡のサービスエース、リベロ鳥越の攻守から金子の絶妙なフェイントが決まって挙げた6連続得点や、第2セットでもリズム良い攻撃を仕掛けた内田のスパイクなど、ここ一番でレッドロケッツの凄まじい集中力をみせ、25-20、25-19と2セットを連取した。
 第3セットは22-25で落としたものの、最大7点差あった相手のリードを2点差までに迫るなど、レッドロケッツの粘り強さはますます進化しているようにさえ見えた。張の速攻やブロック、金子の強打で得点を重ねた第4セット、序盤はやや劣勢な戦いであったが、八幡のスパイクを足掛かりに徐々にペースをつかみ、岡山シーガルズを引き離した。
24-21、マッチポイントで金子のスパイクが相手コートに突き刺さった瞬間、レッドロケッツの12年ぶり2度目となるV・サマーリーグ優勝が決定した。



 試合後の表彰式。レッドロケッツの選手たちの表情は充実感と達成感に溢れていた。
最終結果が改めて発表され、一人ひとりに優勝トロフィーが手渡された後、大会最優秀選手として張の名前が呼びあげられた。「自分がもらえるとは思っていなかったのでビックリしました。今回出場していたメンバーの中では私とキョウ(内田)が最年長。点数を獲ることもそうだけど、若い選手をしっかり引っ張れたことも評価されたのでは。チームも優勝でき、自分もMVPを獲れて本当にうれしいです」(張)
 V・サマーリーグ優勝がレッドロケッツにもたらしたのは、トロフィーや賞状といった物理的なものというよりも、「自分たちのプレーをすれば、どこにも負けない」と思える確かな自信だったのかもしれない。
 12月のV・プレミアリーグ開幕まであと3ヶ月――。
「絶対に決めるという強い気持ちで、初めてのリーグ戦に挑みたい」(金子)
「3レグ制になるので、一つの負けが大きく響いてくる。集中して乗り切って、リーグでも優勝したいです」(内田)
 私たちより先に、すでに選手自身が次なる戦いを心待ちにしている。


 

JVL承認NECW-2011-T009
(取材・文:小野哲史)

 

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