平成23年度天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会レポート

  2011/12/20



 V・プレミアリーグのチームのみならず、高校生、大学生やクラブチームなど全国各地の予選を勝ち上がってきた猛者たちが、天皇杯・皇后杯のタイトル獲得を目指し、一年の終わりに、東京体育館へ集う。
時には番狂わせも起こり、見ている側からすれば醍醐味のある大会ではある。だが、すでに開幕を迎えたチャレンジリーグや、女子プレミアリーグ勢にとってはリーグ期間に行われるトーナメントは、戦い方がなかなか難しい。
 
 先週末に行われたV・プレミアリーグの開幕戦では東レアローズにストレートで敗れ、レッドロケッツは苦しいスタートを強いられた。今後のリーグを戦うための自信と勢いを手にするためにも、天皇杯・皇后杯でどう戦うか。その勝敗以上に、内容も問われる大会となった。
 まず初戦で対したのは、今秋開催された山口国体の少年女子の部で優勝を遂げた誠英高校。厳しい練習で積み上げてきた技術とチーム力を誇るチームである。「高校生だから」と安易に構えることはできない。
 中でも特別な感情とともにこの対戦を迎えたのが、誠英高校の卒業生である井野、張の2人だ。冗談半分で「(誠英の)監督から心理戦を仕掛けられた」と笑う井野だが、他の試合を戦う以上に気合と緊張を持って母校との対戦を迎えたと言う。
「せっかく母校と対戦できる機会なので、たくさんレシーブを拾ったり、いいプレーをして恩師にも『成長した』と思ってほしいし、後輩たちにも刺激を与えられるように、試合前から万全の準備をして臨みました」
 井野の言葉通り、リーグ戦同様にレギュラーメンバーがコートに立ち、主導権を握ったレッドロケッツが3-0で誠英高校を下した。


 
 準々決勝は、プレミアリーグ勢が集結。レッドロケッツはトヨタ車体と対戦した。
 レッドロケッツにとっては、リーグ開幕戦で敗れたところからのリスタートであり、対するトヨタ車体にとっては本大会2回戦・東海大戦でフルセットの末に辛勝したところからのリスタート。互いに「負けられない一戦」となった。
 両チームとも高さがあるわけではない。サーブで攻めて、レシーブで粘り、チャンスを引き寄せる。そして「ココ」というポイントを逃さず、得点すべきところできっちり得点につなげる。まさに「当たり前」のことを、どれだけ「当たり前」にできるかが勝敗をわけるカギになる。
 第1セットは両チームの間を流れが行き来する。センターの移動攻撃で得点するトヨタ車体に対し、レッドロケッツも内藤、杉山のセンター線からの攻撃やモルナール、松浦がサイドから攻撃を仕掛け、13-13と中盤までは両者互角の展開が続く。
 しかし、まず抜け出したのはトヨタ車体。内田、杉山が続けてブロックに止められ、13-16と先行を許す。劣勢のまま迎えた終盤、杉山のクイック、ブロックなどで23-24まで追い上げたが、最後はトヨタ車体に押し切られ23-25で第1セットを失う。



 調子がいい時であれば、ここから流れを引き寄せることができるのだが、今のレッドロケッツにはまさにそれこそが課題。キャプテンの内藤はこう言う。
「相手が何かを仕掛けてきているわけじゃない。自分たちが勝手に崩れて、ミスをして相手に得点を与えてしまうのが現状。もっとチームとしてまとまる必要があります」
 途中でメンバーが変われば、攻撃のフォーメーションだけでなく、ブロック、レシーブを含めた守備の体系も変わる。相手に対してどう攻めるか、ということも重要だが、相手の攻撃をどう守るか。絶対的エースがいるわけではないのだから、その部分こそ徹底しなければならない部分であるのは間違いない。守備の要である井野はこう言う。
「後ろへ抜けてくるボールもコースが絞られていれば拾える。でもそれが徹底されていないし、抜かせてはダメなところから簡単に打たれてしまう。もっともっと頭を使って、工夫しなきゃいけない。まずは当たり前のことを、当たり前にできるようにならないと…」
 2、3セットも、ともにトヨタ車体に先行され、劣勢から追い上げるも要所での細かなミスが続き、とらえるところまでは行き切れず、各セットともに同様の展開となった準々決勝は、ストレート負けを喫した。
 
 やや停滞気味の流れや雰囲気を一新するためにも、トヨタ車体戦を勝利で飾りたかったが果たすことができず、リーグの開幕同様に、またも明確な課題が残った。
 厳しい状況であることに変わりはないが、戦いはここから。たとえ模索しながらでも、チームの形をつくり、再び連戦の続くリーグを戦っていかなければならない。
 内藤が言った。
「課題は山積みだけれど、ここを何とか乗り越えないと。自分たちのできること、やらなきゃいけないこと、武器となることをもう一度確認して、ここから頑張ります」
 苦しい時だからこそ、育まれるもの、培われるものがきっとある。




アーカイブ