レッドロケッツ応援記 ~4/1 対日立リヴァーレ ストレートで快勝、プレミアリーグ残留決定~

  info_category1.gif2012/04/02



 独特の緊張感が伴うチャレンジマッチ。
 チームで最も豊富な経験を誇る杉山にとっても、これが初めての経験だった。
「普通の状態ならば出ないサーブミス、スパイクミスが出る。点を取らなきゃ、勝たなきゃと思えば思うほど硬くなる。ムードに飲まれたら負けだと思っていました」
 試合の主導権を握り、勝利するためにまずポイントとしたのが、全日本女子メンバーであり相手の得点源であるサイドアタッカー・江畑をどう止めるか。杉山が言う。
「前半から乗らせると嫌なタイプの選手。今まで対戦経験がなかったので、どれほどの高さ、パワーなのかわかりませんでしたが、とにかく集中して止めに行くことをチーム内で徹底しました」
 江畑にトスが上がれば2枚、時には3枚のブロックを揃える。第1戦は1セットを取られはしたが、この江畑対策がピタリとはまり、逆転の末に3-1で勝利を収めた。
 


 4月1日、日立との第2戦。勝利すればプレミアリーグへの残留が決まる。
 気持ちを切らすことなく練習から集中して臨む選手たちの手には、前日と同じく、「信」と一文字、太く、はっきりと書かれていた。
 発案者は秋山だった。
「今シーズン、苦しい状況で戦ってきたメンバーで試合をするのはこれが最後。みんなが1つになって戦うために何かをしよう。格好悪くてもいいから、目に見える何かをしようとみんなで話して、手に『信』と書くことにしました」
 どんな状況でもぶれずに、冷静にプレー出来得るだけの技術は確かに必要だ。だが、プレミア昇格を目指して死に物狂いで戦ってくるチャレンジリーグのチーム、ましてやリーグの首位を走ったチームの勢いに飲まれず、会場の空気にも臆することなく戦うためには、技術だけでなく強い精神力が求められる。
 だからこそ、苦しい戦いを乗り越えてきた自分たちを信じよう。その思いが形になって表れた姿だった。


 
 1つ勝ったことで安堵したわけではないが、追い込まれた状況から半歩抜け出したことで、余裕が生まれたのは確かだと内田が言う。
「初戦は全員が硬かった。でも何より、試合を迎えるまでの期間がつらく、厳しい時間だったので、『やっと試合ができる』という開放感、喜びのほうが大きく、そこで昨日の勝利も重なって『自分たちの力を出すことができれば勝てる』と思いながらプレーができました」
 サーブで攻めて、コースを絞り、ブロックからチャンスをつくる。切り返しからの攻撃も落ち着いて、今できることをそれぞれがする。至ってシンプルなことだが、全員がそれぞれの為すべきことに集中した結果、第1セットからレッドロケッツが流れを引き寄せる。「スタートの7人の中では自分が一番若い。入れ替え戦は未経験なので怖かったけれど、怖さを持ってしまったらできることもできなくなる。とにかく一生懸命、思い切りやろうという気持ちでプレーしました」と、近江が言った。
 


 高さや経験に勝る日立の選手に対しても、小技を絡めるのではなく真っ向勝負を挑む。戦う姿勢を前面に打ち出すことで流れを引き寄せ、相手にリードされても離されずに追い上げ、逆転し、そこから一気にレッドロケッツが走る。
 リーグ中はなかなかできなかった展開に持ち込めば、プレミアリーグとチャレンジリーグの実力差が自ずと得点にも表れる。第1戦と同様に、江畑への対策も継続され、レッドロケッツが終始、試合の主導権を握り1セット、2セットを連取した。


 
 第3セットは日立に先行されたが、すぐさま追いついたレッドロケッツが中盤に逆転、張のブロック、サーブで得点し、ピンチサーバーの八幡も日立の守備を崩す絶妙なサーブでチャンスを広げる。さらに今リーグは急遽セッターとしての出場を余儀なくされ、苦しい状況が続いた松浦(寛)も秋山が前衛時にワンポイントで投入され、エンドラインギリギリのサービスエースでマッチポイントに到達。最後はレフトから内田が鮮やかなスパイクを決め、3-0で勝利を飾り、プレミアリーグの残留を決めた。
 試合後、対戦相手の江畑は言った。
「自分たちは1年間この試合を目標として、チャレンジリーグでは優勝したが、相手は1年間プレミアリーグで戦い、悔しい試合を経験してきた。身を削って厳しい中で戦ってきた強さ、差を感じました」
 まさに全員で乗り越え、一丸となってつかんだ勝利。快勝を笑顔で称え合い、苦しいシーズンを戦い抜いた選手たちの目から涙がこぼれた。
 最後に、キャプテンの内藤が言った。
「苦しいシーズンだったけれど、だからこそ乗り越えて、次につなげなければならないと思っています」
 全員で悩み、苦しみぬいたシーズンだったからこそ、見えるものはきっと幾つもあるはずだ。苦しさも、厳しさも、これからへ向けたプラスの要素として受け止め、ここから先へ――。ひと回りもふた回りも大きく、逞しくなったチームの姿が見られることを願って。




 

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