レッドロケッツ応援記 12/12 久光製薬戦 ~敗戦の中で見えた明日への光~

  info_category1.gif2009/12/14

 開幕連敗スタートの後、前節の秋田大会を2連勝で乗り切ったレッドロケッツだったが、そこで満足していたわけではない。鮮やかな逆転劇で前回の覇者・東レを破っても尚、山田監督が「勝つことはできたが、課題はたくさんある。しっかり確認し、来週からの試合に臨みたい」と語ったように、視線は前だけに向けられていた。しかも今月17日からは天皇杯・皇后杯全日本選手権が行われるため、V・プレミアリーグは今節を終えたら一旦、中断期間に入る。全日本選手権と年越しを勝って良い気分で迎えるか、悔しさの残る気持ちで迎えるか。どちらがいいかは言うまでもないだろう。




 12日、埼玉県・深谷ビッグタートルでの久光製薬スプリングス戦。リベロを含めたスターティングメンバーに名を連ねた7人は、秋田の東レ戦とまったく同じ顔触れとなった。長いラリーから杉山の速攻とブロード、さらに有田のサービスエースが決まるなど、上々の立ち上がりを見せたレッドロケッツ。ミスが絡んで一度は逆転を許すも、フォフィーニャのブロックと松崎の2本のクイックで再びリードを奪っていく。
 しかし、12-12からの4連続失点で試合の流れは少しずつ久光製薬へ。ここで内田と交代でベンチに下がった澁澤は「全然ダメだった。もう一度、自分を見つめ直さないと…」と反省しきりだったが、この交代策も久光製薬の勢いを止めるまでには至らない。有田の鋭いライト攻撃やフォフィーニャの技ありのブロックアウトが決まりながらも、レッドロケッツは19-25で第1セットを失った。




 続く第2セット、6-8で迎えたテクニカルタイムアウトの直後に、フォフィーニャに変わって投入された八幡が輝きを放った。「思い切って、自分の力を100%出そう」とコートに入った八幡は、ファーストプレーで気持ちの良いスパイクを突き刺すと、自らのサーブから相手のスパイクミスを誘う。ルーキーのはつらつとしたプレーに触発されたのか、有田や内田が切れのあるスパイクを打ち込み、杉山も秋山とのコンビから得点を重ねていく。しかし、セット半ばからレッドロケッツのミスが目立ち始める。松崎が鮮やかに速攻を決める場面もあったが、気がつけば15-25という大差でこのセットも落としていた。
「NECはサイドが速い。でも、だからと言って先、先に行くのではなく、セッターをよく見て、中で我慢してから追いかけようという戦略があった。それと、サーブで攻めて、うちがやりやすい展開に持ち込みたいと考えていた」
 試合後、久光製薬の濱田監督がそう話していたように、この日のレッドロケッツは相当に研究されていた。相手の緩急をつけたサーブに揺さぶられ、サーブレシーブの乱れから攻撃は単調にならざるを得なかった。久光製薬が展開していたバレーこそ、レッドロケッツがやりたいと思っていたバレーだったのだ。
 第3セット、山田監督はこの状況を何とか打開しようと、第2セットで存在感を示し八幡と、セッターを秋山に代えて松浦という2人のルーキーをスターターとして送り出した。初めのうちは相手の勢いに押され気味だったが、有田のコーナーいっぱいに狙いすましたスパイクや松浦のサービスエースで、レッドロケッツはすぐに立て直す。しかし、均衡を保っていたのは8-8までで、その後は徐々に久光製薬にリードを広げられていった。リベロ井野の懸命のレシーブから有田がスパイクを放ち、八幡も高い跳躍から強打を叩き込むなど、随所に好プレーが見られたものの、点差は開く一方だった。どんなときも諦めてはいけない。前節の東レ戦で学んだ教訓は、とくに17-23から生かされ粘りをみせるが、この日は2点差に迫るまでが精一杯。22-25でセットを落とし、悔しさの残るストレート負けとなってしまった。




 山田監督は「今日は試合の主導権を終始、久光製薬に与えていた。緩急をつけた向こうの攻撃にこちらの守備が機能せず、逆に、こちらの攻撃もサイドアタッカーの対策をしっかり取られ、後手後手の試合展開になってしまった」と敗因を分析。完敗と受け止めるしかない内容に、さすがの選手たちも試合直後は落胆の表情を隠せなかった。
 ただ、勝っても反省しなければならないことがあるように、負けた試合でも良かった点はきちんと評価し、次につなげていくことは重要である。そういう点で、八幡の活躍はこの日の大きな収穫だった。2セット目途中からの出場で、10本のスパイクを放って5得点。自身も「攻撃に関しては今までより思い切ってできた」と、たしかな手応えをつかんだようだ。また、杉山も63.6%という高いアタック決定率を残し、2ケタ得点をマークした松崎、有田とともにベテラン勢も健在ぶりをアピールした。
 そして、17日からは天皇杯・皇后杯全日本選手権へ。ひたすら前へ――。勝っても、たとえ負けたとしても、レッドロケッツはチーム一丸となって一歩ずつ歩み続ける。




(取材・文:小野 哲史)

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