~天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権 ファイナルラウンドリポート~

  info_category1.gif2012/12/17


 
 2012年の最後を締めくくる公式戦、天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会が今年も開催された。Vリーグ期間中ではあるが、プレミアリーグ各チームにとっては、リーグ、黒鷲旗と並ぶ三大大会の1つであり、高校生や大学生、チャレンジリーグなどさまざまなチームが一堂に介する場でもある。
 V・プレミアリーグ8戦を終え、6勝2敗で2位と好調を保つレッドロケッツにとっても、これが今年度初のタイトル獲得のチャンスだ。リーグ戦と同様に、高い意識のもと、天皇杯・皇后杯に臨んだ。
 
 レッドロケッツにとっての初戦となった2回戦は日本体育大学と対戦。先の全日本大学選手権で準優勝した強豪校であり、この大会が大学生にとっては最後の公式戦となるため、打倒Vリーグと勢いを前面に打ち出してぶつかってくる。実力差があるとはいえ、受けて立てば相手のペースに飲まれてしまう。侮れない相手だ。
 そんな相手に対して、終始落ち着いたプレーで圧倒したのがレッドロケッツのルーキー、近江だ。自身も昨年までは東海大学に在籍していたため、Vリーグ勢と対戦する際に学生が抱くモチベーションの高さを最も理解している選手である。
「自分が学生だった時は、とにかく思いきりぶつかることを第一にしていたので、相手も『こうしてくるだろう』ということを予想していました。どんな相手にも負けたくはないけれど、大学生には絶対負けたくないし、追いつこうと思えないぐらい大きく差をつけて諦めさせてやろう、と思ってプレーしました」
 まさにその言葉通り、相手ブロックをうまく利用したスパイクや、ブロックで相手のチャンスを潰し、着実に得点を重ねる。すべてのセットで序盤に連続得点を挙げて突き放し、主導権を常に握ったレッドロケッツが優勢に試合を運ぶ。
 さらに第3セットで活躍が光ったのは白垣だ。リーグ中もセッター対角に2枚替えで起用されるなど存在感を発揮しているが、「いつ出番が来るかわからないのをプラスに考え、いつでもできるようにレギュラーと同じ気持ちで準備していた」という右腕が、日本体育大学との一戦でも得意のスパイクを次々に相手コートへ打ち込み、ストレート勝ちに貢献する活躍を残した。
 


 それぞれが与えられた役割を果たし、迎えた準々決勝、対するは昨年の覇者、東レアローズ。V・プレミアリーグ、1レグの対戦時にはフルセットの末に惜敗を喫した相手にリベンジを果たす、絶好の機会が早くも訪れた。
 第1セットの立ち上がり、スタートダッシュを狙うレッドロケッツは内田のサーブで攻め、相手の守備が崩れ、攻撃が単調になったところをブロックで抑え、連続得点を挙げる。終盤にも秋山のサーブから、イエリズ、内田のブロックなど7連続得点で突き放し、第1セットは25-20で幸先よく先取する。
 このまま突っ走りたい第2セットだが、連携や、チャンスボールの処理など小さなミスが連鎖し、連続失点を喫し、流れを東レに与えてしまう。8-21と最大で13点もの大差をつけられる展開を招き、何とか悪循環を断ち切ろうと積極的にメンバー交代を図るも、序盤の大量失点が響き、11-25でこのセットを失う。
セットカウント1-1で迎えた第3セット、レッドロケッツは島村、近江のブロックとスパイクで先行するも、東レは荒木、二見のブロック、クイックで追い上げる。一進一退の攻防が繰り広げられる中、18-18から東レは二見のサーブから連続得点し、レッドロケッツを突き放す。18-21と3点のビハインドを背負うが、ここで杉山がブロック、クイックで連続得点し20-21と1点差まで迫る。しかし、あと一歩のところで荒木の連続ポイントに屈し、競り合いながらも第3セットを制したのは東レだった。立て直しを図り、第4セットはスタートに白垣を起用したが、一度傾いた流れを引き寄せるのは容易ではなく、勢いに勝る東レに押し切られ、セットカウント1-3で敗れ、準々決勝敗退を喫した。
 




 試合を終えると、山田監督は「捲土重来というスローガンのもと、苦しい時からどう頑張るか、ということを体現したかった」と悔しさを顕わにした。
「いい時はいいけれど、その反面に脆さもある。悪い時にすべてが連鎖して崩れてしまうのではなく、悪い時からどう立て直せるか。その課題が、これ以上ないほどわかりやすい形で現れた試合でした」
 選手たちも、監督と同じように顕わになった「課題」を受け止める。内田はこう言う。
「流れが悪くなる時は、どのチームにもあります。大事なのは、そこでどう決めるか。悪くてもチームを乗せるようなプレーが出れば勝てるし、出なければ負ける。去年から続いてきた課題であり、リーグ戦の中でも見えた課題を露呈してしまいました」
 悪かったところがわかっているだけに、悔しさも募る。だが、この悔しさや、敗戦から学んだ糧をいかに生かすかが、これからチームがより良くなっていくためのカギでもある。
 リベロとして試合数を重ね、東レ戦でもサーブレシーブやディグで安定感を見せた鳥越が言う。
「チームのために、アタッカーやセッターを少しでも楽にできるように。自分の役割をしっかり果たして、『自分が引っ張るんだ』という強い意志を持ってプレーしたいし、それをしなければいけないと思います」
 2012年最後の公式戦を勝利で飾ることはできなかったが、2013年につながる財産を得られたことをプラスに。それぞれの役割を果たし、みんなで「チーム」を作り上げて行く。今はまだ、その過程にすぎない。



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