レッドロケッツ応援記 ~3/10 対岡山シーガルズ戦 前半の苦境乗り越え、2時間超の接戦を制す~

  info_category1.gif2013/03/11



 先週末の試合でファイナルラウンド進出を早々に決めていたレッドロケッツ。長く厳しいシーズンにおける1つの目標をクリアし、ほっとひと息ついてしまう部分が多少あったとしても、それは仕方のないことかもしれない。しかし、最終目標がさらに先にある選手たちに、そうした思いは少しもなかった。
 この愛媛大会での2連戦は、セミファイナルでも対戦する可能性が高い東レと岡山が相手である。しかも今季3レグまでに1勝2敗と負け越している2チームには、しっかり勝っておきたい思いが強かったはずだ。しかし、9日の東レ戦では相手の集中力が上回りストレートで敗れ、連敗は何としても避けたいところ。10日の岡山戦を前に、「この一戦に賭ける」という選手たちのモチベーションは、いつも以上に高かった。



 ただ、山田監督が試合後、「シーガルズさんは試合巧者。緩急つけたオフェンスに対し、自分たちのリズムをなかなか作れないまま、ズルズルと試合を運んでしまった」と振り返ったように、ゲーム前半は岡山に押し込まれる場面が目についた。第1セットを21-25で落とすと、第2セットも10-9とリードした場面から連続失点を喫し、最大6点差をつけられてしまう。そこから内田や近江の攻撃を中心に、じわりじわりとリードを詰め、25-22と逆転してセットを奪い返したものの、中盤から突き放された第3セットは17-25。随所で好プレーがありながら、主導権は完全に相手の手中にあった。大野も「3セットあたりまではエンジンが掛からないというか、自分たちのプレーが全然出せなかった」と語っている。



 レッドロケッツが良い意味で開き直ることができたのは、第4セットに入ってからである。チームに勢いをもたらしたのは、このセットのスタートから起用された八幡だった。
 「雰囲気的にも相手に少し押されていて、チームのために何とかしたという気持ちがあった。それと、今シーズンに関して言えば、チームはここまで1位で来ているけれど、個人的には悔しい思いもしていたので、それをすべてぶつけようと試合に入りました」
 挨拶代わりに鋭いスパイクを突き刺した八幡は、杉山の移動攻撃を挟んだ後、3連続得点。8-1として一気に流れを引き寄せた。その後も杉山が一人時間差やブロックを決めれば、大野はセッター松浦とのコンビから鮮やかな速攻を見せた。近江は伸びのあるサーブで連続サービスエースを奪い、白垣はバックアタックを次々と打ち込んだ。一時12点差をつけるなど、攻撃の手を緩めなかったレッドロケッツは、25-19でこのセットをものにする。会場の愛媛県武道館まで駆けつけたサポーターも選手の背中を力強く後押しした。



 勝負はファイナルセットへ――。ゲームの流れは第4セットで追いついたレッドロケッツの側にあった。白垣の切れ味鋭いスパイクで先制し、4-1の場面で相手が堪らずタイムアウトを取ると、ベンチ前に戻ってきた松浦からは「もう1点。もう1点取りに行こう!」と元気の良い声が響いた。八幡はこのセットでも好調をキープ。2枚替えで投入された秋山とイエリズは、与えられた役割をしっかりこなした。岡山は4強入りへの執念から粘り強いプレーを続けたが、レッドロケッツの集中力はそれを上回った。大野のブロックと八幡のスパイクで終盤も得点を重ね、15-10。2時間15分に及ぶ大接戦を制し、レッドロケッツが19勝目を手にした。


 
 試合後、お立ち台に呼ばれた鳥越は「出だしが悪く自分たちのバレーができなかったけれど、諦めずにみんなでつないだ勝利」と胸を張り、逆転勝利の立役者とも言える八幡は「私に決めさせようとしてくれた周りのみんなで感謝です」と笑顔をのぞかせた。一方、反省の言葉を口にしたのは山田監督。「東レ戦でも出た課題だが、個々のアタッカーはもっと工夫が必要。ファイナルラウンドまでにできるだけ多くの引き出しを作っていきたい」と、とくに立ち上がりが良くなかった試合内容に満足できていない様子だった。
 それでも勝ったという事実は大きい。苦しみながらも勝利をつかみ取った経験は、必ずやファイナルラウンドで生きてくるだろう。チームとして、レギュラーラウンドの1位通過に強いこだわりはないという。八幡の「とにかく目の前の試合に勝つこと。その積み重ねで、結果的に1位通過ができればいいと思う」との言葉が頼もしく聞こえる。
 この試合の翌日の3月11日は、あの東日本大震災からちょうど2年を迎える。被災地では依然として復興活動が続けられている中、レッドロケッツの選手たちはバレーボールができることの幸せと、できることを一生懸命やるという使命感を改めて胸に刻み、レギュラーラウンドの最終章に入っていく。
(取材・文:小野哲史)



 

 
――今日は途中からの出番になりました。振り返っていただけますか?
 呼ばれればいつでも行けるようにウォーミングアップは常にしていましたし、重要な場面でコートに立つつもりでいました。自分の出番が来たときは、チームに貢献できるように頑張りました。チームメイトを少しでも助けられるように、できる限りのプレーをしました。
 
――白熱したゲームになりましたが、ベンチではどういう思いで見ていましたか?
 セットを取られて取ってという形で第5セットまで行きましたが、最後まで自分たちは勝てると信じていました。なぜなら、私たちは厳しい練習をしてきましたから、それがきっと結果に結びつくと思っていました。
 
――今シーズンからレッドロケッツに加入し、ここまでチームを引っ張ってきました。
 自分がスタメンであろうと控えであろうと関係なく、チームのために全力を尽くすだけです。日本のリーグはシーズンが長いので、調子が上がったり、ときには思うように行かないときもあります。そんな中でもセミファイナルに出場する権利を得ることができました。ファイナルラウンドでは、出場するすべてのチームにチャンピオンになる可能性があるわけですが、私たちは他のどのチームよりも良いプレーをできるでしょう。というのも、私たちはとても楽しみながらプレーをできているからです。
 
――レッドロケッツというチームにすっかり溶け込んでいる印象を受けます。
 チームメイトが最初から私を受け入れてくれましたので、私もすぐに溶け込むことができました。祖国を離れてバレーボールをしている感覚はなく、自分の慣れ親しんだ場所でプレーできている気分です。チームメイトを家族のように感じていますし、それこそが自分がこれまで良いプレーを続けてこられた理由の一つになっています。
 
――食事の面など、日本の生活には慣れましたか?
 日本の方たちは本当に敬意を表してくれますし、親切なのでまったく問題はありません。日本に来ることができて、本当に良かったと思っています。食事も雰囲気にも慣れました。エビマヨなどの“おにぎり”は好きで、よく食べています(笑)。
 
――最後に、レッドロケッツのサポーターにメッセージをお願いします。
 いつも会場に足を運んでくださるサポーターには感謝しています。勝っても負けても、どんなときもみなさんが支えてくれることで、自分たちが良いプレーができています。みなさんへ恩返しをするためにも、私たちは必ずチャンピオンになりたいと思います。

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