レッドロケッツ応援記 ~セミファイナルラウンドリポート 激戦及ばず1勝2敗で3位決定戦へ~

  info_category1.gif2013/04/08



 左手の甲に書かれた「信」の文字。
 思えば、1年前は同じ文字を記し、チャレンジマッチを戦っていた。
 苦しく、悔しい思いを力に変えて、もう一度立ち上がろう。
「捲土重来」のスローガンを掲げ、いざ、ファイナルへ。セミファイナルラウンドは、まさに死力を尽くした戦いとなった。


 
 初戦の相手は岡山シーガルズ。レギュラーラウンドとは異なり、よりディフェンスを重視する布陣を敷いたシーガルズ相手に先行される形となり、苦しい戦いが続く。初夏を思わせる気温や、セミファイナルの空気感。キャプテンの内田は「若い選手たちはセミファイナルという舞台を経験したことがないため、緊張から本来の力が出し切れていなかった」と振り返る。
 2セットを相手に先取され、第3セットも22-23と相手にリードされた状況。あわやストレート負けかというところまで追い込まれたが、ここからレッドロケッツの真骨頂とも言うべき粘りのバレーが展開される。
 内田のサーブからリベロの鳥越を中心にしたレシーブで懸命にボールをつなぎ、ラリーを近江が決める。レギュラーラウンドで何度も見られた必勝パターンが、崖っぷちでようやく覚醒。終盤の逆転劇で26-24と第3セットを制し、第4セットもサーブ、ブロックで主導権を握ったレッドロケッツが25-21で連取した。
 そして、迎えた最終セット。いきなり岡山に2点を連取される、苦しい立ち上がりとなったが、ここで流れを再び引き寄せたのがベテラン、杉山の活躍だった。
 岡山の攻撃を見事ブロックし、続けざまに今度は自身がライトへ走り込んでのブロード攻撃を決め、チームに連続得点をもたらす。いい時だけでなく、苦しい時もチームを支え続けたベテランに、セッターの秋山はラリー中もトスを託し、その起用に杉山が応える。1点、また1点と杉山が得点を挙げ、最後はイエリズのスパイクが決まり、0-2からの大逆転で勝利を飾った。
 試合後、勝利の立役者となった杉山は「苦しい展開だったけれど、追い込まれたところから力を出せた。今シーズン、ここまでやってきたスタイルで勝つことができてよかった」と安堵し、「どのチームも『勝ちたい』と準備して臨む緊張感の中でやってきたことを出し切れるか。若い選手たちは緊張していただろうけど、経験できたことをプラスにして、今日よりも成長して明日を迎えたい」と表情を引き締めた。



 2日目は久光製薬と対戦。レギュラーラウンドでは4戦4勝と対戦成績では圧倒している。しかし短期決戦のセミファイナルは、長いリーグ戦とは異なる戦いが繰り広げられる。
 その怖さを、まざまざと見せつけられたのが、この一戦だった。
 レッドロケッツ同様に、初戦をフルセットで勝利した久光製薬はスタートから気迫がこもったプレーで、レッドロケッツにチャンスを与えない。鉄壁とも言えるブロック&レシーブを前に、いいところがないまま、2セットを失い、第3セットも13-18と5点のリードを追う展開を強いられた。



 ここで奮起したのが、イエリズに代わって入った白垣だ。
「今年は打ち屋として、最高のオポジットを目指したい」と話していた3年目の右腕が、得意のバックアタックで得点を量産。
「外から見ていてもみんなの緊張が伝わって来た。その中に入って、最初は『どうしよう』と迷うところもあったけれど、思い切ってやろうと相手のブロックを利用する気持ちで(スパイクを)打ちきりました」
セッターの松浦も「(白垣が入って)クイックと絡めた攻撃ができたので、チームにリズムを持ってくることができた」と振り返ったように、白垣の活躍が起爆剤となり、初戦に続いての逆転劇で第3セットを奪取した。
 しかし勢いもここまで。第4セットは再び修正してきた久光製薬に押し切られ、追い上げながらも1-3で敗れた。
 1勝、1敗が重くのしかかるセミファイナルだが、これで終わったわけではない。
 最終日、ともに1勝1敗で並ぶ東レとの試合で勝利すれば決勝進出が決まる。まさに総力を尽くした戦いが、最後の最後で待っていた。



 試合前に円陣を組み、勝利への士気を高める。
 コートの中だけでなく、ベンチも、ベンチ外も、選手もスタッフも応援団も、まさに全員の力が結集し、すべてを込めて臨む戦い。
 並々ならぬ気合と共に試合開始を迎え、勝利への強い気持ちは、試合開始早々に内田のサービスエースという最高の形で現れた。さらに大野のブロック、白垣のスパイクで連続得点し、課題としてきた立ち上がりで昨年の覇者を圧倒した。
 しかし、追い込まれた状況で踏みとどまるのが、何度も厳しい戦いを制し、頂点に立ってきた東レの強さでもある。中盤に逆転を許したレッドロケッツは、1、2戦と同様に1、2セットを失い、まさに崖っぷちに立たされた状況で第3セットを迎えた。



 17-20と3点を追う終盤、この試合で攻守に亘り存在感を見せた島村のクイックが決まり点差を縮める。前日の久光製薬戦ではレギュラーラウンドでも経験のなかった途中交代となった近江も、続けてラリーを制するスパイクを放ち、さらに荒木のブロードを1枚でブロック。20-20と同点としたレッドロケッツは、スタンドからの大きな拍手に背を押され、大野のブロック、近江のスパイクで第3セットを逆転で奪取し、第4セットに望みをつないだ。
 負けたら終わり。それでも、追い込まれてきたところから何度も見せた奇跡の再来を信じる応援団に応えるべく、第4セットのスタートは連続ブロックや、島村のクイックで5点を先取する最高の立ち上がりを見せ、スタンドのボルテージは一気に高まる。
 あと1点、あと1セット。高まる気持ちと裏腹に、中盤に荒木のサーブから連続失点を喫し、またも東レがリード。それでも、勝利への意志を込めた気迫溢れるプレーでボールをつなげ、見ている者が思わず目頭が熱くなるような魂のこもったプレーを展開する選手たちに、熱い声援が送られる。



 そして、迎えた終盤。近江、内田のスパイクで追い上げるレッドロケッツに対し、東レは迫田、荒木が得点。最後は荒木のクイックが決まり、1-3。レッドロケッツの決勝進出が阻まれた。
秋山は言う。
「何が何でも勝つという気持ちで臨んだけれど、東レは優勝経験もあり、こういう土壇場の戦いに慣れていた。自分たちは去年最下位で、ここまでガムシャラにやってきたけど、最後のここ1本というところでの勝負強さが足りませんでした」
 死闘の後、涙を浮かべる選手たちにスタンドから温かな拍手が送られた。
 敗れはしたが、東レ戦はベストゲームと呼ぶにふさわしい、素晴らしい試合だった。見ている誰もがそう思った。だからこそ、よくやった、という労いでもあり、そして3位決定戦へ向けた激励の拍手だった。
 今リーグのラストゲームは岡山との3位決定戦。優勝という目標を叶えることはできなかったが、総力戦で戦い抜いた今リーグを象徴すべく、すべてを懸けた戦いが待っている。







――試合を振り返って
(優勝決定戦への)最後の切符を懸けた戦いで、どうしても勝ちたかったので「悔しい」の一言です。でも、若い選手たちも頑張っていたし、いいところもいっぱいありました。私自身、もうちょっと頑張りたかった、という反省が残りました。
 
――セミファイナル3戦の中では東レ戦はベストゲームと呼ぶにふさわしい試合でした
勝った方がファイナルに行けることは誰もが知っていたし、今日は特別な試合だと、お互いに声をかけ合って、スタッフ、選手が同じ気持ちで臨みました。そういう部分がつながって、一番いい試合になったのだと思います。
 
――勝敗の差になったのは?
ちょっとしたミスが多かった。東レはチャンスボールを確実に得点へつなげるのに対して、私たちは二段トスがぶれたり、サーブレシーブや、ちょっとしたパスをもっと丁寧に上げれば、とか、細かなプレーで東レのほうが上回っていました。これまで東レはセミファイナル、ファイナルを何度も経験しますが、そこを打破してNECの歴史をつくりたいというのが今回の目標でした。それが叶わなかったのがすごく悔しいし、残念。今回は相手のほうがうわてでした。
 
――3位決定戦に向けて
岡山はいつも苦戦をする相手ですが、絶対に3位になるためにチーム一丸となって戦います。

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