レッドロケッツ三者鼎談 ~新シーズンに向けた、それぞれの決意~

  info_category3.gif2013/07/18



 
2連覇したサマーリーグから始まり、V・プレミアリーグレギュラーラウンド1位通過、ファイナルラウンド4位、天皇杯ベスト8、黒鷲旗準優勝という形で幕を閉じた昨シーズンのレッドロケッツ。山田監督、大村ヘッドコーチ、内田キャプテンの3人はその結果をどのように捉え、すでにスタートを切っている新シーズンをどう戦っていくつもりなのか。胸の内に秘めた思いを、あますことなく語ってくれた。


山田 晃豊
Akinori Yamada
監督

大村 悟
Satoru Omura
ヘッドコーチ

内田 暁子
Akiko Uchida
キャプテン


――昨シーズンを改めて振り返ってみて、いかがですか?
 
山田監督 リーグ戦は前年度最下位からのスタートでしたから、『捲土重来』というスローガンのもと、巻き返しを図ろうと取り組んだシーズンでした。レギュラーラウンドは1位通過で成果を表すことができましたが、セミファイナルと3位決定戦に関しては、まだ越えなければいけない壁があることを痛感しました。黒鷲旗は杉山の引退やシーズンの締めくくりということもあり、やってきたことをすべて出そうという位置づけで臨んだものの、それも優勝するにはまだ足りなかった。今シーズンに課題を残したシーズンでしたね。
 
内田キャプテン 最下位に終わった前のシーズンは、勝てそうな試合も落としてしまうという所に問題があったので、昨シーズンは今まで以上に勝ちにこだわりました。夏場のサマーリーグ優勝で若いメンバーも自信を持ち、リーグの開幕戦2連勝で勢いづいた結果が、レギュラーラウンドの1位通過だったかなと。ただ、ファイナルラウンドの3連敗は課題が明確になった部分です。
 
――2年前には入れ替え戦にまわったチームが、昨シーズンはリーグで快進撃を見せました。その間にチームはどのように変わったのでしょうか?
 
大村ヘッドコーチ 目指す方向性は大きく変わっていないですし、我々コーチ陣が何かを変えたということもありません。ただ、選手はずっと一生懸命練習や試合に取り組んでいて、昨シーズンはちょっとしたきっかけをつかんだのだと思います。
 
山田監督 やはり危機感はありました。入れ替え戦にまわって、これはもう次のシーズンでなんとか結果を出していかないといけない。そういうチーム全体の危機感が、推進力になった面はあると思います。そして、開幕3連勝でスタートできたのは、チームが勢いづくという点で大きかったです。連敗してそのままズルズル行ってしまった一昨シーズンのイメージがありましたから、うまくスタートを切れたことがその後の流れにつながりました。
 
内田キャプテン 正直、リーグ前はかなり不安でした。開幕から勝ててはいたものの、またいつ連敗するかわからないし、いくら順調に勝ち星を重ねて1位でいても、次は負けるんじゃないかという不安は常にどこかにありました。
 
――内田選手は、キャプテンとしてとくに意識して取り組んだことはありましたか?
 
内田キャプテン キャプテン1年目のシーズンでしたが、要領ややり方もわからず試行錯誤のままでした。頼りになるタイプでもないですから、選手もスタッフもみんなが助けてくれて、シーズンを戦い抜くことができました。年齢的に近い世代のチームメイトに相談すれば、自分のことのように考えてくれたし、いろいろな経験をしているスギさんのアドバイスなど、チームが一番良い形で進めるようにサポートしてもらえたのも大きかったです。ただ、『捲土重来』のスローガンだけは、できる限り言葉に出すように心掛けましたね。
 
――大村ヘッドコーチはそのあたりの選手間の連携を客観的に見ていて、どんな感じでしたか?

大村ヘッドコーチ 各自が役割を果たし、足りない面はカバーし合う。昨シーズンだけに限らず、やっていることは毎年同じです。本質的な部分は選手の中でしかわからないことですが、昨シーズンは雰囲気も良かったように思います。
 
――戦術的な面を含め、一昨シーズンと変えたこと、また変わったことは?
 
山田監督 大きく変わったのが、若手選手が力をつけたことです。それによって積極的、もしくは戦術的な選手交代ができるようになり、チームとして戦い方の幅を広げることができました。さらに、どのポジションもライバルがいるという状況や、苦しい時は助け合える状況も作ることができましたから、そういった点では一昨シーズンよりうまくチームとして機能していました。
 
――リーグで最優秀新人賞とベスト6を受賞した近江選手をはじめ、若手の台頭がチームの躍進を支えました。若い選手の評価については?
 
山田監督 それぞれの選手が本当によくやってくれました。近江はその前のシーズンから試合に出ていますから、実質的には2年目のようなもので自信を持ってプレーしてくれました。また、島村、大野、白垣、鳥越といったあたりも、自分の持ち味を出してよく頑張ってくれたと思います。ただ、優勝を目指すには、心の部分も技術の部分もまだ先は遠いと、ファイナルラウンドで感じたでしょうから、その経験を糧にして今シーズンはさらにステップアップして欲しいと思います。

  

――昨シーズンまでのチームを支えた杉山、イエリズ、張、滝口がチームを去りました。

山田監督 メンバーは毎年、変わっていきます。でも、今の個々の課題や必要な部分を練習で着実に積み上げていく、という所はメンバーが入れ替わっても同じですから、不安や危機感はあっても、とにかくより強くなれるように練習を積んでいく。シンプルですが、それだけです。
 
内田キャプテン 誰かがいなくなったら別の誰かがその役割になると思いますし、今いるメンバーでやっていくしかありません。
 
――抜ける選手がいる一方で、新しい戦力も加わります。松崎選手、上野選手、小山選手の新人3選手に加え、トヨタ車体から都築選手が加入します。
 
山田監督 新人3人に関しては、まずはそれぞれリーグで戦えるように体力や筋力、基礎の技術といった土台を強くしていくことを頑張ってやってもらいたいなと。3人とも先日のサマーリーグ(1次リーグ)に出場し、その中でまだ通用しない部分が明確になったと思いますから、それをこれからの練習の中でやっていくということでしょう。都築はハートでプレーするというのを体現できる選手ですから、そういう彼女らしさでNECでも力を発揮してもらえることを期待しています。
 
内田キャプテン 新人はもう打ち解けて、冗談も言い合ったりフランクに喋れるようになっています。体力的にもきついと思いますし、学生の時と社会人とではレベルが格段に違うので、今はしっかり基礎を固めて、シーズンを迎える時にチームの力になってほしいと思います。都築さんは年齢的にも私より上の選手で、他のチームでもキャプテン経験があって頼りにもなりますし、チームをより良くしていけるように一緒にやっていけたらなと思います。
 
――現有戦力を見渡せば、島村選手が全日本、近江選手がユニバー代表として世界の舞台で経験を積んでいます。チームに厚みができるのでは?
 
山田監督 そうですね。ナショナルチームで世界と戦うという中で、日本国内でやっているだけでは感じ取れないものを吸収できるはずですから、この時期に経験できたことをコートの中でどう表現してくれるかというのは楽しみな部分です。
 
内田キャプテン 全日本やユニバーに選ばれた2人は、それぞれのチームで頑張っていますし、残っている私たちはいつもの環境で2人に負けないように、目標に向けて取り組んでいるところです。


 
――今後はどのようにチーム作りをしていく予定ですか?

山田監督 例年もそうですが、8月下旬までは「鍛錬期」という位置づけで、基礎体力をつけるなど土台作りをしっかり行い、9月のサマーリーグ決勝を経て、徐々にプレミアリーグへの準備期間という形で戦術的な厚みを加えていこうと思っています。バレー教室などの活動も取組みながら合宿も行う予定です。
 
――新シーズンのチームスローガンは決まっているのでしょうか?
 
山田監督 チームスローガンはまだですが、バレーボールのテーマは決まっています。今シーズンは『トータルバレーボール』ということで大村ヘッドコーチのもと、練習を積み重ねています。斬新な戦術を取り入れるとか今までと違ったバレーをするというのではなく、これまでの取組みをさらに積み上げて練習していくことに尽きます。一つのパスにしても確実にする。みんなが同じイメージを持ち、当たり前のことをしっかり確実にできるようにするというのが一番です。
 
大村ヘッドコーチ 『トータルバレーボール』というのは、選手全員がある一定のプレーを高いレベルでできるようにということです。レッドロケッツには、今までも全員バレーという流れがありましたが、その延長線上にある戦い方を想像していただければいいと思います。
 
――内田選手は今、個人的に強化している部分は?
 
内田キャプテン 私のポジションはオフェンスもディフェンスもできないといけませんが、最終的に点を取るのはオフェンスになります。もちろん、ディフェンスも毎日、基礎練習を続けていますが、よりオフェンス力を上げていきたい思いがあります。


 
――最後に、今シーズンの抱負を一言ずつお願いします。
 
大村ヘッドコーチ とにかく勝利するにふさわしいチームを作るために、できることを精一杯やっていきたいと思います。
 
内田キャプテン 昨シーズンの課題だったリーグ戦終盤といったここ一番で勝つということ。また、1本目2本目のパスの精度をもっと高めていくことが、オフェンス力につながると思うので、この時期にしっかり練習し身につけて、リーグに臨めるようにしていきたいと思います。キャプテンとしても2年目を迎えます。1年目は何もわからないからこそ、がむしゃらにできましたが、2年目になると要領がわかっていることで緩んでしまう面も出てくるかもしれません。そこはしっかりと気を引き締めていきたいと思います。それと、昨シーズンはホームゲームで5勝1敗。職場関係や身近な人、地域の方々やバレー教室で出会った人たちも応援に来てくれるので、今シーズンもホームゲームは勝って盛り上げたいですね。
 
山田監督 昨シーズンは優勝を目指していたにもかかわらず、最終的にリーグ4位に終わり、本当に悔しいシーズンでした。届かなかった想いや悔しさは、成長するために非常に重要なものですから、絶対に忘れずに持ち続けること。そうして今シーズンはセミファイナルで超えられなかった相手との差をしっかり詰め、そこに勝って優勝できるようにしたい。最近はタイトルからも遠ざかっていますので、全力でチャレンジして取りに行きたいと思います。また、我々の取り組みがNEC関係を始め見ている方々に伝わって、勇気やエネルギーを少しでも感じてもらえれば嬉しい限りです。
 
(取材・文:小野哲史)
 

アーカイブ