レッドロケッツ応援記 1/16 vsデンソー ~決定打を欠き、惜敗。今こそ、我慢のとき~

  info_category1.gif2010/01/18



 試合直後のコート上では、一方のチームがヒーローインタビューを受けたり、勝利した喜びをみんなで分かち合っていた。そんな光景を無意識に、あるいは悔しさを胸に刻みつつ眺めながら、もう一方のチームの選手たちが黙々と身体のケアを施している。いつもの光景ではあったが、この日はその明暗がくっきりと分かれ、いつも以上に対照的に見えた。
デンソーエアリービーズを前に、レッドロケッツは16-25、17-25、17-25。自分たちがやりたいことをやり切る前に、気がつけば試合が終わっていたという印象だ。総得点50点は、ここ3シーズンの中でももっとも少ない。コートからロッカールームへ戻る選手の足取りはさすがに重かった。



 この加古川での試合を前に誰よりも気合いが入っていたのは、ルーキーの八幡だったかもしれない。兵庫県出身の八幡にとっては、NEC入社後初めての凱旋試合。「地元ですし、たくさんの人が応援に来てたので勝ちたかった」と、熱い思いを心の奥でたぎらせていた。 
立ち上がりは上々だった。内田の先制点の後、序盤に2本の鋭いスパイクを決めている。ただ、自身が「まったくアタックが決まらず、デンソーのブロックに負けてしまった」と悔しがったように、第1セット終盤に1点を決めたのを最後に八幡は沈黙してしまう。チーム最多のアタックを放ちながら、第2セット以降は得点を挙げることができなかった。内藤はチームとしてうまくいかなかった点を次のように説明する。
「スタートから攻めていきたかったけれど、うまく回らずに後手、後手になってしまった。どっち(のチーム)でも行けるグレーゾーンのボールがこちら側に落ちることが多くて、入りのリズムがつかめなかった」



 第1セットは内田の攻撃を中心に、杉山のブロックやブロード攻撃も随所で決まったものの、試合の主導権はデンソーがつかんでいた。中盤以降はレッドロケッツが1点獲ると、デンソーが2点を取り返すような展開。結果的に両チームの点差はどんどん開いていった。
 第2セットに入っても、その流れは変わらなかった。先制攻撃を浴びて0-3。山田監督は早くも1回目のタイムを要求せざるを得なかった。直後にフォフィーニャ、内田のスパイクや内藤のブロックが決まったが、追いつけそうで追いつけない。デンソーの勢いに圧されていた。5-11でレッドロケッツは2回目のタイムアウト。八幡に代わって入った澁澤が2本のスパイクを突き刺し、秋山が投入されてライトに回った松浦が強打とフェイントを鮮やかに決めたが、相手の勢いを食い止めるまでには至らなかった。
 背水の陣で臨んだ第3セットも、互角だったのは1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたあたりまで。内藤のクイックとブロック、リベロ井野が必死につないだボールが直接得点に結びつく好プレーもありながら、その後、スコアボードが動くのはデンソーの方ばかりだった。終盤に松浦のサービスエースやフォフィーニャが意地を見せるも、反撃したタイミングがあまりに遅く、2試合連続のストレート負けとなってしまった。




 山田監督は敗因の一つに「決定力を欠いたこと」を挙げた。
「ブロックで絞るとか、レシーブで拾うといった約束事は詰まってきている。あとはそれをどうやって得点に結びつけるか。デンソーはつなぎのいいチームなので、そう簡単にラリーを取れないことはわかっていました」
 たしかにデータを見ると、アタック決定率43.1%のデンソーに対し、レッドロケッツは27.9%。苦しい戦いを強いられるのは、ある意味で当然だった。ただ、山田監督は「練習でやっていることは確実に身についている。まだまだ精度は上げられるし、伸びしろもある。ここから修正して明日以降、しっかりやっていきたい」と試合後のコメントを残した。全力を出し切れなかった悔いは残っただろうが、逆に、個の力を最大限に発揮し、組織として、チームとしての結束力で「つなぎのバレー」を展開していかなければならないことを選手達は痛感した試合だったのかもしれない。
「絶対に気持ちで勝って、波に乗っていけるように頑張りたい」(八幡)、「ボールに関わっていない所で声を出すなど、基本的なことから見直していかないと。もう一度、原点に戻ってやりたい」(内藤)と、選手たちも表情に悔しさを浮かべながら、すでに前を見つめていた。



 翌1月17日は阪神・淡路大震災からちょうど15年を迎えた日だった。当時、壊滅的な被害を受けた街は完全に復興し、現地の人々も元気に日々の生活を送っていた。もちろん自然の前には、人間の力など遠く及ばない。それでも人間は、たとえ街がどんなに破壊されようと、諦めない気持ちさえあれば以前のような、いや、以前よりももっと美しい街を取り戻せるのだ。

(取材・文:小野 哲史)

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