2014/15V・プレミアリーグ開幕展望~新生レッドロケッツ、『心』ひとつに悲願のリーグ制覇へ

  info_category3.gif2014/11/10



 体育館の緊迫した雰囲気に胸が高鳴り、ボールの行方に一喜一憂する季節が、今年もまたやってくる。2014/15V・プレミアリーグの開幕が、いよいよ今週末に迫ってきた。
 今季も8チームによって覇権が争われる。リーグ3連覇を目論む女王・久光製薬スプリングスや、2012/13シーズンから3位、準優勝と着実に順位を上げてきた岡山シーガルズ、また、初のプレミアリーグ昇格を果たした上尾メディックスといった多彩なライバルたちが、NECレッドロケッツの前に立ちはだかることになる。
 昨季はシーズン序盤に惜しい敗戦が続き、開幕からまさかの5連敗。徐々に調子を上げ、終盤まで4強入りへの可能性を残しながらも、負ければチャレンジマッチ(入れ替え戦)参戦という重圧のかかった最終戦をチーム一丸でものにし、5位で終えたシーズンだった。近江あかりは最終戦の直後、「みんなが1つ成長できた、強くなれた試合でした」と語っている。しかし、リーグ全体を振り返れば、チームは優勝を目指していただけに、選手やスタッフが感じたであろう悔しさは計り知れない。
 レッドロケッツがリーグの頂点に最後に立ったのは、2004/05年の第11回Vリーグ。10年ぶりのリーグ制覇を目指す今季に向け、選手たちは『心』というスローガンを掲げて、チーム全員で強化してきた。この『心』というわずか一文字には、たくさんの思いが込められているという。壁に当たっても全員で乗り越え、年齢に関係なく、みんなでチームを作るという仲間を思いやる「心」、ファンや職場の方々など、いつも支え、応援してくれる人たちへの感謝の「心」…。言葉や行動のすべてに「心」を込めることで、今まで以上に魅力的な選手、チームになれると信じている。


 
 そんなレッドロケッツは、チームを支えてきたベテラン数人が昨季限りで勇退し、今季は新キャプテンに秋山美幸、副キャプテンに近江という新体制でスタートした。経験豊富なベテラン勢が抜けた穴は小さくないが、それを十分に補うだけの若手の台頭や新戦力の加入がある。
 注目選手としては、JTマーヴェラスから移籍してきたセッター、山口かなめの名前を挙げたい。レッドロケッツでのデビュー戦となった9月のサマーリーグでは、持ち味の丁寧なトスワークでアタッカー陣の良さを引き出し、2年ぶりのサマーリーグ優勝に貢献した。2011年、大学4年時に全日本インカレを制し、自らもMVPに輝いているが、そのときの同期メンバーに近江がいた。3年ぶりに復活する〝東海大コンビ〟のプレーには要注目である。
 夏以降、もっとも成長を遂げたのは、大野果奈かもしれない。全日本チームの一員として、8月のワールドグランプリで初の銀メダルを獲得。9月から10月にかけて行われた世界選手権にも出場し、世界の強豪を相手に貴重な経験を積んだ。また、島村春世と鳥越未玖も日の丸をつけて戦った。9月のアジアカップと仁川アジア大会に出場し、ほとんどの試合でスタメン出場を果たしている。



 一方、代表組以外のメンバーもその間、それぞれにレベルアップを図った。サマーリーグでは2年目の上野香織や、ルーキーの佐川奈美、柳田光綺らが伸び伸びとプレー。大会MVPを受賞した白垣里紗からは、今季にかける並々ならぬ決意が感じられた。さらに、イエリズ・バシャの2012/13シーズン以来となるチーム復帰も心強い。2012/13シーズンといえば、レギュラーラウンド1位突破の快進撃を見せたレッドロケッツだが、そのときの立役者の一人がイエリズだった。2シーズンぶりとなる日本の地で、再び高い決定力を披露してくれるはずだ。もちろん、ここに名前の挙がらなかった選手も含め、〝新生〟レッドロケッツへの期待感はますます膨らんでくる。

 ところで今季のV・プレミアリーグは、開催方式において、昨季までとは大きな変更点がある。「ポストシーズンの長期化」と「ポイント制の導入」だ。ポストシーズンが長期化されるのに伴い、V・レギュラーラウンド(昨季までのレギュラーラウンド)は3回戦総当たり方式になるため、開幕してからの数試合で勢いに乗れるかどうかがカギになる。昨季のように開幕戦から足踏みをしてしまうと、立て直せないまま6チームによるV・ファイナルステージ進出を逃すことになりかねない。
 また、ポイント制(セットカウント3-0もしくは3-1の勝利で3点、3-2の勝利で2点、2-3の敗戦で1点、0-3もしくは1-3の敗戦で0点)の導入もいろいろと影響が出てくるだろう。たとえば5試合の結果を考えたとき、セットカウントの内容によっては、5勝0敗のチームよりも3勝2敗のチームの方がポイントが上回るケースも出てくる。そうした点からも、勝つときはできるだけセットを落とさず、仮に劣勢な試合でも最低2セットは獲るという気持ちが必要になる。応援する私たちとしては、今まで以上にハラハラドキドキする展開が繰り広げられるに違いない。
 そのV・プレミアリーグは11月15日、東京体育館で開幕。レッドロケッツは翌16日の第2試合、日立リヴァーレとの一戦から悲願のリーグ制覇への一歩を踏み出す。
(文・小野哲史)

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