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レッドロケッツ応援記 ~11/16 対日立リヴァーレ戦 魅力あふれる全員バレーを展開し、快勝で2014/15シーズンをスタート!~

  info_category1.gif2014/11/17



 ただの1勝にとどまらない、貴重な、そして素晴らしい勝利だった。
 相手も同じ条件とはいえ、リーグ開幕戦という独特な緊張感が漂う試合である。のし掛かるプレッシャーの大きさは計り知れない。しかもレッドロケッツは、昨季までのメンバーの数名が入れ替わり、〝全員バレー〟という伝統を踏襲しつつも、新しい取り組みを加えて今季を戦おうとしている。厳しい練習を積んできたとしても、実際に本番の試合でうまくいくまでは多少の不安はあったはずだ。しかし、「この初戦に賭けていた」という近江は、快勝した直後のお立ち台でさらりと言った。
「メンバーも変わって、やろうとしているバレーも昨季とは違うものなので、そういう面ではワクワクした気持ちで今日を迎えることができました」
 自信があった、ということなのだろう。第1セットに見せた先制パンチは実に鮮やかだった。口火を切ったのは、2シーズンぶりにチームに復帰したイエリズだ。リベロ岩崎が完璧なサーブレシーブを返球し、山口が丁寧に上げたトスをライトから力強く突き刺した。続くポイントもイエリズがブロック。レッドロケッツはこの2点でリズムに乗った。



 7-5からは島村の2本のサービスエースや白垣が難しい二段トスを決めきり、一挙に6連続得点。13-6から大野が決めたライトからのスパイクと島村の豪快なバックアタックは、レッドロケッツの〝進化の象徴〟と言えるシーンかもしれない。大野が言う。
「今までやっていた前衛での攻撃に加えて、今季は後衛に下がってコートに残ることが増えてバックアタックも打つようになりました。ただ、ディグ(スパイクレシーブ)がまだ上がらない部分があるので、そこはもっと練習していきたい」
 センタープレイヤーの大野と島村が後衛に回り、バックアタックやレシーブに入るという新しい試み。その効果からイエリズが伸び伸びと前衛でのプレーに専念できているようにも見えた。イエリズはセット半ば以降も、ブロックや高さのあるスパイクで攻撃陣をリードし、25-15。レッドロケッツは文句のつけようのない内容で第1セットを先取する。山田監督は「1セット目は良い入りができました。準備してきたことを出せたと思います」と胸を張った。
 ただ、「追う形になってしまった。プレーの精度をもっと高められるはず」と振り返った第2、第3セットは、第1セットのように試合を優位に運ぶことはできなかった。相手が対応してきた面もある。とくに第2セットは、交代で入った鳥越のサーブからイエリズがブロックを決める場面もあったが、追いつけそうで追いつけない展開を強いられ、一時は13-18と5点のビハインドを負う。それでも近江の絶妙なフェイントで徐々に点差を詰め、島村が4連続得点と爆発。一気に逆転すると、最後は白垣が締め、このセットも25-22でレッドロケッツが奪う。
 新加入のセッター山口は、もう何年もレッドロケッツでプレーしているかのような存在感で、アタッカーたちを効果的に操った。山口がトスの際に常に意識していたのは、「攻撃の枚数を増やすこと」だったという。
「全員が攻撃に参加し、そこに自分のツーアタックも入れて、5枚攻撃、6枚攻撃ができるように夏を通してずっと練習してきました」



 第3セットも相手の懸命のプレーの前にやや押され気味だったレッドロケッツ。近江のセンターへの切り込んでのスパイクの後、10-12から山口の意表を突くツーアタック、白垣のレフトスパイク、島村のブロックで逆転し、大野もバックアタックで続いた。その後は白熱した点の取り合いとなったが、近江の得点と山口のツーアタックで抜け出し、25-21でレッドロケッツが試合を決めた。
 多彩な攻撃を繰り広げられた陰には、サーブで攻め、サーブレシーブやレシーブ、ブロックといった一つひとつのプレーを忠実に行ったことにある。なかでもサーブレシーブは安定していた。リベロ岩崎と、本数こそ少ないものの、途中交代で5回の機会があった鳥越は、ともに成功率100%。近江も75%という高い数字を残した。サーブレシーブが正確にセッターに返れば、それだけ攻撃の選択肢が増え、相手も的を絞りづらくなるというわけだ。
 勝利の瞬間、ほぼ満員にふくれ上がった東京体育館の約半数を埋めたレッドロケッツサポーターは、その見事な勝ちっぷりに酔いしれているようだった。キャプテンの秋山が開幕前に「応援してくださるみなさんに感動していただけるようなゲームをしたい」と抱負を語っていた通り、観る者を魅了する鮮やかな快勝劇。選手やチームスタッフもハイタッチで喜びを分かち合う。昨季は1勝3敗と負け越し、その3敗のうち2度は2セット奪ってから大逆転された日立である。この難敵をストレートで破ったことは選手たちの大きな自信になるに違いない。
 それでも山田監督は「もっともっとNECの力を出せます」と言い、山口も「まだまだ完成ではありません」と語った。レッドロケッツは試合を重ねるごとに進化しながら、V・プレミアリーグ2014/15シーズンを突き進む。







~マルチプレイヤーを目指して~
 キャリアの面では入社5年目の中堅ながら、良い意味で「風格」が漂っているように見える。島村に任せておけば大丈夫、そんな安心感がある選手だ。
この日の開幕戦、「ミスが多く、それほど良くはありませんでした」と自己評価は厳しいものだったが、アタックで12点、ブロックとサーブでそれぞれ2点を挙げ、チーム最多となる16点をマーク。とくに3点をリードされた第2セット中盤のプレーは圧巻だった。逆サイドに鋭く突き刺した幅の広いワンレッグ攻撃を皮切りに、1人で4連続得点。またたく間に劣勢をはね返し、流れを引き寄せた。
 そして今季の島村は、得意のクイックや移動攻撃、サーブやブロックだけではない。サイドからのアタックやバックアタックに加え、後衛に回ってもコートに残り、守備でもチームに貢献した。「マルチプレイヤーを目指して頑張っていますので」と笑顔を見せる。
 若い世代の日本代表として、9月から10月にかけてアジアカップやアジア大会を経験したことが、ステップアップのきっかけとなった。
「そのチームでは全員がアタッカーとして、パサーとしても練習したので、NECではやっていなかった動き方やボールを扱う感覚が身についたと思います。それをNECに戻ってからも生かしていこうと取り組んでいます」
 日本代表の合宿や遠征でレッドロケッツへの合流が遅れたが、それでも開幕戦できちんと結果を残すあたりに、島村の対応力の高さと責任感の強さが感じられる。その上、精神的な部分でチームを支えていかなければいけないという役割も自覚している。
「アジア大会のチームでも年齢的に上の方だったので意識していましたし、NECでも経験はある方だと思うので、自分がどんどん引っ張っていかないと。たとえ自分の調子が悪くても周りに声をかけたり、プレー以外の面でも貢献していきたいです」
 求められるプレーも役割も増えた。しかし、自身は「大変ですけど、やり甲斐もあります。自分の可能性を広げられる機会かなと」と至って前向きだ。
 改めて今季の目標を聞くと、「優勝です」とすぐに答えが返ってきた。「今日の1セット目のようにミスなく、どこからでも攻撃をできる状況を作れたらNECは強い。目指すところは優勝ですが、そのために一戦一戦の戦いに集中したいです」
 進化の途上にある島村が、今季もレッドロケッツを力強くけん引する。
(取材・文:小野哲史)

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