レッドロケッツ応援記 ~11/22 対デンソーエアリービーズ戦 気迫と粘りのバレーで今季2勝目~

  info_category1.gif2014/11/25



 1つの快勝は、次のゲームの推進力を生み出す。その一方で、気が緩み、うまく回っていた歯車がいつの間にか狂ってしまう危険性もはらむ。しかし、今のレッドロケッツには、後者の不安は杞憂だった。鮮やかなストレート勝ちを収めた開幕戦から6日。2勝目はもちろん、開幕戦よりもさらに良い内容を求め、課題の克服や技術、戦術の向上に時間を割いてきた。
 2シーズンぶりにプレミアリーグに復帰したデンソーエアリービーズに対し、山田監督は「速いテンポで相手にインパクトを与え、それに絡めてチームとしてのオフェンスをしっかりやっていくという狙いで、この一戦に臨みました」と話す。切り込み役を担ったのは、大野だった。セッター山口との息の合ったコンビから試合開始直後に2本のAクイックを相手コートに突き刺した。「序盤に速いテンポのクイックを使えたことで、相手にその印象を与えて、サイド攻撃やバックアタックがより生きました」と手応えを感じた山口はその後、近江、島村、イエリズらにトスを振り分け、相手ブロックに的を絞らせなかった。
 島村のバックアタックも決まり、3点リードで迎えた2度目のテクニカルタイムアウト後に同点に追いつかれ、嫌なムードになりかけた場面では、ピンチサーバーに起用された鳥越がリベロの岩崎と鉄壁の守備網を築いた。ディフェンスの安定が大野の速攻やイエリズのスパイクを生み、18-17から5連続得点。セットポイントでは近江が1枚ブロックで仕留め、レッドロケッ ツが25-18で幸先よく最初のセットをものにした。



 岩手県一関市でのV・プレミアリーグ開催は2008年2月以来のこと。この日を心待ちにしていたという観客は、セット終盤のレッドロケッツの一気の攻撃に興奮度を高め、会場となった一関市総合体育館はワンプレーごとに沸き返った。
 ただ、第2セットのレッドロケッツは劣勢を強いられてしまう。デンソーがメンバーを入れ替えてきたことに加え、山田監督が「アタックに持っていくまでの精度が低くなり、自分たちの形を作れなかった」と振り返った通り、第1セットのようなスムーズな攻撃は影を潜めた。いきなり3点をリードされ、すぐに追いつくも、ミスも絡み4-4から一挙6点を許す。それでも、その間にとった2回のタイムアウトでは、選手たちから「1本、1本 !」「ここから、ここから!」と前向きな言葉が飛び交った。焦りの表情は少しも見られなかった。
 島村のクイックとライトからのスパイクで反撃を開始すると、大野や近江の身体を張ったレシーブから白垣が4連続得点。勢いを取り戻したレッドロケッツは、山口のサービスエースと大野のセンターに切り込んでのスパイクで一歩抜け出し、途中交代で入った佐川はリーグ戦初得点でチームをさらに加速させた。終盤には近江のスパイクとブロック、島村の移動攻撃とサービスエースで突き放し、このセットも25-18でレッドロケッツが奪取。立ち上がりは苦しい展開だったが、早い段階でスコアをイーブンにできたことが大きかった。



 佐川をスタートから起用した第3セットは、両チームが互いに譲らず、セット半ばまでは一進一退。そんな中、勝負どころで存在感を示したのが白垣だった。第1セットこそやや硬さが見られた白垣だが、第2セット以降は持ち前の豪快なスパイクが決まり始め、このセットでも14-15から3連続を含む4得点をマーク。試合後に「周りのみんなにフォローしてもらって気持ちよく決めることができました。みんなに感謝です」と語ったように、チームメイトが懸命につないだボールを確実に得点に結びつけた。近江も絶妙なフェイントや鋭いスパイクをきっちりと決めていく。そして最後も再び白垣が強烈なスパイクをたたき込み、25-23。開幕戦に続くストレート勝ちで、レッドロケッツが今季2勝目を飾った。
 ハイタッチで勝利の喜びを分かち合う選手たち。山口は「締める所はもっとしっかり締めて、隙を見せずに一気に行けたら」と、何度かあったもたついた場面を反省したが、開幕戦と同様、苦しいセットでも誰一人として最後まで諦めなかった姿勢は大いに評価できるだろう。
 翌23日のトヨタ車体クインシーズ戦でも、レッドロケッツの粘り強さが光った。第2、第3セットを奪われ、一時は重苦しい雰囲気が漂ったが、フルセットの末に今季3勝目。キャプテンの秋山も今季初出場を果たし、チームとしてのまとまりがさらに強まった印象を受ける。ただ、島村が「次につなげられる試合になった」と話したように、選手の視線はすでに次なる戦いに向いている。
 次週の山口大会は、昨季の優勝決定戦を戦い、ともに開幕3連勝を飾っている久光製薬スプリングスと岡山シーガルズが相手。この2チームに対し、どれだけ自分たちのバレーが通用するか。今季のレッドロケッツの真価が問われる戦いとなる。







~〝社会人の第一歩〟を踏み出した期待のルーキー~
 今季からレッドロケッツに加わった社会人1年目は、サウスポーから放たれる強力なスパイクが持ち味だ。ブロックも得意とし、ジュニアの頃から将来を嘱望される選手だった。母校の共栄学園高校は、開幕戦の前日、来春行われる全日本バレーボール高校選手権(春の高校バレー)の東京都予選を堂々の1位で突破。「後輩たちの頑張りが自分の大きな刺激になっています」と佐川は話す。
 7月と9月のサマーリーグで社会人としての試合を経験してはいたが、リーグ戦となると雰囲気はまるで違う。先週の開幕戦、各セットの終盤にワンポイントで出場し、リーグ戦デビューを果たした。ただ、得点に絡んだという意味では、この日が佐川にとって本当の〝社会人の第一歩〟を踏み出した日と言えるかもしれない。第1セット終盤はワンポイントで終わったが、第2セット半ばに山田監督から「自分らしくプレーしてきなさい」と送り込まれた。
「イエリズが相手のブロックに対応されている感じだったので、機動力のある佐川を入れて、ブロックを翻弄したいと考えました」(山田監督)
 佐川は指揮官の期待通り、速いスパイクで記念すべきリーグ戦初得点をマーク。そのシーンを自身は「とても緊張しました。少し当たり損ねでしたが、1点は1点なのでうれしかったです」と笑顔で振り返る。第3セットはスタートから起用され、早々にライトから強打を、セット終盤には速攻を突き刺した。また、ルーキーらしいハツラツさでムードメーカー役も担った。常に大きな声を出して盛り上げ、自身はもちろん、先輩たちが得点を決めたときでもコート内を所狭しと駆け回った。山田監督は、「佐川の良さは新人らしく、伸び伸びと元気なプレーができるところ。そこは臆せず、これからも続けてほしい」と、さらなる成長に期待を寄せている。
 試合に出る、得点をとる、と一つずつ〝初〟をクリアしたことで欲も出てきたようだ。次戦に向け、「得意のブロックで得点を取りたいです。ブロックで相手のエースを止めるのが、チームにとっては一番だと思っています」と語ったが、その機会は翌日のトヨタ車体戦に早くも訪れる。セットカウント1-2と後がなくなった第4セット中盤、ドンピシャのタイミングで相手の攻撃を食い止めた。そのブロックポイントを含めて、この日は8得点をマークし、チームの逆転勝利に貢献した。
試合を重ねるたびに経験値を上げている佐川。数年後にはレッドロケッツを背負って立つエースになるべく、着実に、ゆっくりとその階段を昇り始めた。
(取材・文:小野哲史)
 
 

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