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今季初タイトルを逃すも、リーグ戦につながる確かな手ごたえ ~天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権リポート~

  info_category1.gif2014/12/13


 
 V・プレミアリーグが開幕して約1か月。1レグの7戦を5勝2敗で終えたレッドロケッツは、年明けから再開するV・プレミアリーグでの更なる飛躍に向けて、そして、今年度最初のタイトル奪取を目指し、12月10日から開幕した天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会に臨んだ。
 
 初戦の大野石油オイラーズとの試合を3-0で危なげなく勝利し、準々決勝はJTマーヴェラスと対戦。現在はチャレンジリーグで戦うJTだが、昨年までV-プレミアリーグに在籍しており、選手個々の能力や、戦術遂行能力も非常に高いチームである。試合は第1セットから白熱したラリーが展開される手に汗握る展開となった。
 同じ相手と何度も対戦するリーグ戦とは異なり、トーナメントの皇后杯は負けたら終わりの一発勝負。独特の緊張感が伴う戦いに臨む選手の中で、準々決勝のJT戦を人一倍強い思いを持って迎えたのが、今季JTから移籍したレッドロケッツの新司令塔、山口だった。
 新天地での挑戦を「がんばれ」と温かく送り出してくれたかつてのチームメイトやスタッフ、そして今、共に「チーム」として支え合い、助け合う仲間たちに感謝を込めて、1本1本のトスを丁寧に。山口の献身的なトスを、島村、大野といったミドルブロッカーや、好調のイエリズが要所で決め、競り合いながらも粘る相手を3-0で退け、準決勝進出を果たした。試合後、山口は「どんなに劣勢でも攻め続けるチーム力を発揮して勝つことができたのが、本当に嬉しいです」と笑顔を見せた。


 
 決勝進出をかけ、準決勝は昨年、一昨年の覇者であり今大会で3連覇を狙う久光製薬スプリングスと対戦した。
 今シーズンのV-プレミアリーグでの初対戦時は、サーブが走り、1、2セットを先取しながら3セット目以降をひっくり返される悔しい逆転負けを喫した相手だけに、年明けからのリーグを見据える意味でも「皇后杯でリベンジを果たしたい」と、全員がこの一戦に賭けていた。
 しかし「勝ちたい」と思えば思うほど、気づかぬうちに硬さも生じる。リーグでの対戦時のように、試合のスタートからサーブで攻め、ブロックで仕留めるといった思い通りの展開にできれば一気に走ることもできるのだが、試合巧者の選手が揃い、リーグ、皇后杯と多くのタイトルを制してきた経験を持つ久光製薬に、逆に序盤からサーブで攻められ、レッドロケッツの攻撃を封じられてしまう。
 スタートからリードを奪いたいレッドロケッツだが、1、2セット共にサーブレシーブやスパイク、ブロック後のつなぎのプレーが乱れ、なかなかリズムをつかめずに連続失点を喫し、主導権は久光製薬へ。島村、イエリズの攻撃で1点、また1点と追い上げるも、白垣が「久光製薬は他のチームと比べても安定感もあり、こちらが連続得点を挙げても大きく崩れない」と言うように、レッドロケッツが追い上げると久光製薬がまた突き放し、1,2セットは久光製薬に連取されてしまう。
 決勝進出に向け、後のないレッドロケッツは「攻撃のテンポを変え、つなぎのプレーを安定させたかった」(山田監督)という理由から、山口に代えて秋山、大野に代えて上野を投入。V-プレミアリーグの岡山戦でも同様に試合途中から出場し、流れを変える働きを見せた2人が、久光製薬戦でも持ち味を発揮し、チームに勢いを与えようと懸命のプレーを見せる。しかし、相手を崩した、と思う場面でも秋山が「(相手の)攻撃に対してブロックを揃えて『よし、止まる!』と思っても、それをかわして打って来たり、うまく利用してブロックアウトを取るスパイクを打たれてしまい、逆に自分たちがストレスを感じながら試合が進んでしまった」と言うように、緩急をうまくつけた久光製薬の攻撃が止め切れず、一時は7-17と10点のリードを与えてしまう。
 このまま万事休すかと思われたが、今季のレッドロケッツはここからでも決して諦めない。
 相手の攻撃をブロックでワンタッチを取り、レシーブでつなげ、レフトから白垣、ライトからイエリズが次々に決め、相手のミスも誘い、18-23と点差を縮めていく。マッチポイントを取られてからも再び白垣、イエリズが豪快なスパイクで連続得点を挙げ、20-24と4点差まで迫ったが、最後は秋山が懸命にレシーブしたボールを久光製薬に抑え込まれ、20-25、セットカウント0-3で敗れ、皇后杯を3位で終えた。


 
 今年度最初のタイトルを手にすることはできなかったが、Vリーグはこれからが本番だ。
 ミスが目立ったこともあり、もっとできたのではないかと悔しさを滲ませる選手も多かったが、その悔しさや今回の対戦で見つかった課題こそが、きっと、これから先を戦うための大きな財産になると山田監督は言う。
「我々は常にチャレンジャーです。久光製薬や去年準優勝の岡山シーガルズなど、格上のチームに勝つためには、よりプレーの精度を高めて、各々がどれだけオフザボール時の役割を徹底できるか。これから取り組むべき課題が見つかったことをプラスに捉えて、年明けからのリーグ戦に臨みます」
 同じ思いを選手も共有している。
 リーグ戦と同様に、皇后杯でも高い攻撃力を見せた島村が言った。
「ボールに触れていない時にどれだけチームに貢献できるかが、このチームにとってはすごく大切なことなので、自分のプレーを頑張ろう、というだけじゃなく、みんなが輝けるように。最後に勝って『NECは誰か1人がいい』というわけじゃなくて、『みんなが頑張る強いチームだね』と言われるようなチームになりたいです」
 1つの戦いを終えてまた次なる戦いへ。頂点を目指して、レッドロケッツの戦いは続く。

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