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レッドロケッツ応援記 ~1/31 対トヨタ車体クインシーズ 真骨頂の〝粘り〟を発揮し、白熱のラリー戦を制す~

  info_category1.gif2015/02/02


 
 前節のホームゲームでは岡山シーガルズを相手に快勝し、2位に浮上したレッドロケッツ。しかし、負けられない厳しい戦いは、まだまだ続く。女子のリーグ戦開催が7年ぶりという富山大会は、外は雪が舞う寒さの中で開催されたが、富山市総合体育館は開場前から長蛇の列を作った多数のファンの熱気であふれ返っていた。
 この日の相手、トヨタ車体クインシーズは前節を終えて7位。ただ、この試合に勝てば入れ替え戦圏内から脱出できるという状況にあり、モチベーションは高かった。しかも第1レグの対戦では、フルセットにもつれての辛勝だっただけに、レッドロケッツにとって簡単な相手ではない。対トヨタ車体という点で、次のようなプランがあったと山田監督は言う。
「まずはエースのカナニ選手を封じること。そのためにもサーブでどう崩して、相手に思うようなオフェンスをさせないかというテーマがありました。そこはある程度、うまく行ったと思います」


 
 立ち上がりこそ、サービスエースを献上したり、連携ミスやスパイクミスで2-5と出遅れたものの、山口の冷静なツーアタックの後、島村のブロックやブロード攻撃ですぐさま逆転。近江が好レシーブでつないだボールは上野が鋭く相手コートに叩き込んだ。ところが、10-8から4連続失点を喫し、山田監督はセッターを秋山にスイッチ。以前、「どんな場面でコートに入ることになっても、やらなければいけないことは一つだけ」と語っていた秋山は、落ち着いたトスさばきでイエリズの得点を演出した。さらに、秋山との抜群のコンビから島村が速攻を決め、近江もブロックにスパイクにと好守両面で活躍を見せる。



 15-16で迎えた島村のプレーは圧巻だった。幅の広いブロードを突き刺した直後に、ダイナミックなバックアタックを2本連続で炸裂させた。相手ベンチは堪らず、タイムアウトを要求せざるを得なかった。白垣が左右両サイドからスパイクを決め、イエリズはブロックで相手の攻撃をシャットアウト。島村のブロード攻撃で24-21と圧倒的に優位に立ったレッドロケッツだったが、そこからあと1点が遠かった。トヨタ車体の懸命の粘りの前に同点とされ、デュースに入ってセットポイントを握られる場面もあった。それでもレッドロケッツは攻撃的な姿勢を貫き、最後は相手のスパイクミスを誘って、30-28で最初のセットを奪った。
 続く第2セットも、両チームが一歩も譲らなかった。上野の鮮やかな1枚ブロックや白垣のエンドラインいっぱいを突いたスパイク、途中交代で入った鳥越の身体を張ったレシーブから近江がきっちり得点するなど、随所に好プレーを見せながらも、山田監督が「相手もうちの的を絞れていた」と話したように、なかなかリードを広げられない。しかし、レッドロケッツもトヨタ車体以上の粘り強さを発揮し、リベロの岩崎らが必死につないだボールを秋山が押し込んで、20-17とこのセットで初めて3点差をつけた。セット終盤に送り込まれた家高も速い移動攻撃で得点し、24-23でつかんだセットポイントは近江が確実に締めくくった。
 この試合、ラリーが長引くことがとにかく多かった。そして、そうした長いラリーの多くはレッドロケッツに分があった。試合後のインタビューで、「ラリーが多かったことで体力を消耗したのでは?」と聞かれた島村は、「こういうゲームを想定して夏場にトレーニングを積んできました。その成果が出たと思います」と胸を張った。



 セットカウント2-0となったことでレッドロケッツに勢いが増したのか、あるいはトヨタ車体がやや意気消沈したのか、第3セットに入ると、第2セットまでとは打って変わって一方的な展開になる。近江の先制点の後、近江、イエリズの連続ブロックで3-0とし、島村のスパイクや白垣の絶妙なフェイントなどで、レッドロケッツが12-4と一気に走った。その後も上野が難しい二段トスを決めきり、ベンチもサポーターも行け行けムードが漂い始めたが、トヨタ車体は諦めることなく、徐々に反撃を開始。そこで受け身になってしまったレッドロケッツは、相手の連続得点を止められず、逆転を許した上に18-21とリードされてしまう。
 わずか数分前の明るい雰囲気から一転、重苦しい空気に包まれつつあったチームを救ったのが、18歳ルーキーの柳田だった。「自分ができることを精一杯やるのと、(今日の展開では)ストレートで勝つことが大事だと思ったので、1点1点思い切ってプレーすることだけを心掛けました」と柳田。コートに入って最初のポイントで鋭いスパイクを決めると、近江の得点で追いついた後、23点目と24点目も柳田が挙げた。デュースに入ってからは島村が存在感を示し、最後はレッドロケッツの〝粘り勝ち〟といった形で相手のミスを誘い、28-26。ストレートで勝利し、今季9勝目をつかんだ。


 
 山田監督は「苦しい場面をよくしのいで、チームとして力を発揮できたことは良かったです」としながらも、「理想はみんなが軸になること。イエリズの攻撃で1、2セットを取れたとか、柳田の頑張りで最後に再逆転できたと、個々の活躍がはっきりしすぎるよりは、もっとチームとしてバランス良く攻めることで、首位の久光製薬(スプリングス)にも対抗できてくるはずです」とチームが掲げるバレーの方向性を語った。試合後、すぐに秋山や近江、白垣を呼び止めて声をかけたのも、翌日の試合に向けたアドバイスだったという。
 試合に負けたときはもちろん、勝ったときも反省点や修正点は生まれる。それらを謙虚に受け止め、一つずつ改善していった先に、レッドロケッツが目指す終着点がある。
 





 ~〝家族〟とともに挑む2シーズンぶりの挑戦~

 2012/13シーズンに日本のチームで初めてプレーするトルコ人選手として来日を果たした。188cmの長身から繰り出す、高さのある強烈なスパイクは対戦相手にとって大きな驚異。その前のシーズンに最下位に沈み、チャレンジマッチ(入れ替え戦)にまわる憂き目にあっていたレッドロケッツをレギュラーラウンド1位に躍進させた。
 昨季は「興味を持っていた」という韓国リーグの現代建設ヒルステートでプレー。ただ、思い描いていたチームではなかったこともあり、「再びNECでプレーしたい思いが強くなった」という。そこには当然、レギュラーラウンドを1位で通過したにもかかわらず、ファイナルラウンドで失速し、4位に終わった2年前の悔しさも、大きな原動力になっている。
「今シーズンはチャンピオンを目指して勝負したい」と、すでに昨年11月の開幕戦からフル回転で奮闘中だ。2月1日終了時点で、アタック決定率は39.7%でリーグ8位、ブロック決定本数も1セットあたり0.48本でリーグ6位。総得点やアタック決定本数でも島村や白垣とともに、リーグ上位に名を連ねる。とくに第1レグの終盤あたりから調子をぐんぐん上げており、この日のトヨタ車体戦でも随所でスパイクやブロックを決めて見せ場を作った。イエリズが直接決めなくても、相手のマークを引きつけることで味方をフリーにするという効果も少なくない。
 しかし、イエリズ自身はここまでの出来に少しも満足していない。「まだまだ本来の力を出しきれていないと感じています。もっとコンディションを整えて、もっと良いプレーができると信じています」。そうした飽くなき向上心は、かつてトルコナショナルチームのメンバーとして国際大会を戦った者だからこそ持つ、特別なメンタリティーなのだろうか。
レッドロケッツを〝家族のような存在〟と言ってはばからない。
「チームメイトはいつも私に力を与えてくれるし、監督やスタッフも私を助けてくれる。ファンの人たちも温かく素晴らしい。そういう環境の中で、チームの一員として良いプレーをしていきたいのです」
 イエリズは〝家族〟の力を借りながら、2年前の忘れ物を取り戻しに行く。
(取材・文:小野哲史)

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