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レッドロケッツ応援記 ~2/7 対久光製薬スプリングス戦  攻守がかみ合い、女王相手に約2年ぶりの勝利~

  info_category1.gif2015/02/09



 チャンピオンの座を勝ち取るチームには、シーズン中、必ずターニングポイントとなるゲームがある。そこから波に乗ったり、自信をつかむきっかけとなるような試合だ。レッドロケッツが今季、10シーズンぶりの悲願を成し遂げるとしたら、この日のゲームがその意味を持つかもしれない。
 リーグ2連覇中の久光製薬スプリングスには、今季の1レグ、2レグに加え、リーグ戦、天皇杯・皇后杯全日本選手権、黒鷲旗大会では2013年3月の勝利を最後に10連敗中を喫していた。その女王に対し、レッドロケッツは怯むことなく立ち向かい、セットカウント3-0で快勝。試合後、勝利チームインタビューに選ばれたリベロの岩崎は、「チャレンジャーの気持ちでチーム一丸となって、スタートから思い切って攻めて行こうと戦いました。ストレート勝ちをできて、嬉しい気持ちでいっぱいです」と喜びを素直に表した。



 第1セット25-23、第2セット30-28と、どちらに転んでもおかしくなかったセットを、いずれも競り勝つことができたのが大きかった。山田監督が言うように、「いつもは守りに追われる展開になり、やられてしまうことが多かった」が、この日は第2セットまでで3点差をつけられたのは、第1セット中盤の10-13から12-15の場面だけ。ズルズルとリードを広げられることはなく、たとえ1、2点リードされても必死に食らいついた。
 相手にペースを握られかけた立ち上がりは、島村のブロード攻撃でしのぎ、山口のツーアタックやイエリズのブロックで得点を重ねた。岩崎の好レシーブが相手のスパイクミスを誘う場面もあった。14-15で迎えたラリーは、レッドロケッツの気迫が凝縮されたシーンと言える。結果的に相手のポイントになってしまったが、何度も何度も執拗に拾いまくり、コート中央にフェイント気味に落とされたボールは山口、白垣、近江の3人が躊躇なく頭から飛び込んだ。19-19の勝負所では、その直前に送り込まれた柳田と島村のポイントで2点をリードし、久光製薬は堪らずタイムアウト。そこでもレッドロケッツの選手たちは、「ここから!ここから!」「攻めていくよ!」といった言葉で自らを鼓舞し、白垣の2本のスパイクで締めくくるまで攻め続けた。



 レッドロケッツは第2セットに入っても高い集中力を維持する。白垣のブロックで先制し、イエリズは力強いバックアタックを2本突き刺した。近江の冷静なフェイントの後、島村がブロード攻撃に行くと見せかけて山口がツーアタックを決めたプレーは、相手がまったく反応できないほどに鮮やかだった。白垣は「どんなトスが来ても絶対に決めに行く」と、エンドラインいっぱいの深いスパイクで得点を挙げただけでなく、相手エースの長岡のスパイクを1枚ブロックでシャットアウト。セット半ばにピンチサーバーとして起用された鳥越は好レシーブでつなぎ、近江のネット際に落とす技ありのスパイクをアシストした。18-19からは島村の速攻とイエリズのサービスエースで3連続得点。その直後に再逆 転を許し、久光製薬の意地を見せつけられたが、柳田のバックアタックなどで主導権を渡さなかった。デュースに入ってからも佐川のクイックやイエリズの強打などで終始、レッドロケッツが先行。6度目のセットポイントを島村がうまく押し込んだ。



 ところが、第3セットは岩崎の完璧なサーブレシーブからイエリズが先制したものの、そこから久光製薬が一気に走り、2-8とされてしまう。近江は「(セットカウント2-0から大逆転で敗れた)第1レグでの対戦が一瞬頭をよぎった」と明かしたが、それでも「16点までには追いつこうと、みんなの意志が統一されていたので、すぐに切り替えることができた」(島村)という冷静さもこの日の勝因の一つだった。島村の速攻の直後、流れを変えるべく秋山と柳田が投入されると、近江のブロックやスパイクでまたたく間に同点に。秋山との抜群のコンビネーションから佐川がクイックを決めると、白垣も豪快なバックアタックで続いた。
 佐川は第2レグに入って登録メンバーから外れることもあったが、「外から見ていて勉強になることはあったし、試合に出たい思いが強くなった」とプレーできる喜びを力に変え、この日は第1セット途中からの出場で9点をマーク。アタック決定率はチームトップとなる52.9%を記録し、得点を決めるたびに派手なガッツポーズでチームを盛り上げた。18-17からは柳田のスパイクや白垣の4連続得点で畳み掛けたレッドロケッツが、相手につけ入る隙を与えず、25-18で一挙に試合を決めた。


 
 山形県総合運動公園総合体育館に詰めかけたレッドロケッツサポーターとともに、約2年ぶりの久光製薬戦勝利の喜びを分かち合った選手たち。試合後の記者会見では、おもに攻撃面での活躍が光った白垣と島村の同期入社の2人が次のように試合を振り返った。
「各プレイヤーが自分のやるべきことを前もって準備して試合へ臨みました。その成果と、元気よく、明るく勢いを出してという自分たちの持ち味を出せたと思います」(島村)
「次のファイナル6につなげたい、ここで久光製薬に勝って勢いを出したいという気持ちがあったので、結果につながって良かったです」(白垣)
 V・ファイナルステージに進めば、再び久光製薬と対戦することになる。それを考えると、この勝利の持つ意味はとてつもなく大きい。山田監督も「勝つことで本当の自信がつく」と言っており、次に久光製薬と対峙したときも、レッドロケッツの選手たちは自分たちを信じてプレーすることができるだろう。翌8日の東レアローズ戦はフルセットの末に敗れてしまったが、なんとか1ポイントを確保。あと4試合を残すのみとなったレギュラーラウンドは悔いのないように戦い抜き、できるだけ早く、そして可能な限り上位でV・ファイナルステージ進出を決めたいところだ。






~ディフェンスと〝声〟でチームを引っ張る大黒柱~

 ルーキーイヤーだった2012/13シーズンは、ベスト6と新人賞を獲得し、2013年には全日本デビューも果たした。すべてのプレーを高いレベルでこなすオールラウンダーだが、今季はリベロの岩崎とともに守備面でチームを支えている。ディグでは鋭い反応と身体を張ったプレーで、これまでに何度も窮地を救ってきた。サーブレシーブ成功率は前節終了時点で73.9%と堂々のリーグ1位。それについて近江は、「昨季までは先輩に頼っていた部分がありました。でも、今季は白垣がレフトに入り、今までオポジットに入っていたことで不安もあると思うので、少しでも負担を減らせてあげたいし、私自身がディフェンスの軸となって頑張りたい」と話す。
 もちろん、攻撃面での巧さも健在だ。この日の第1セット17-17の場面では、鳥越が上げた難しい二段トスをうまくブロックアウトで得点に結びつけた。第2セット中盤にもライトからネット際に鋭角に落ちる絶妙なスパイクを決めるなど、50.0%という高いアタック決定率を残した。
 ただ、副キャプテンとなった今季、そうしたプレー以外のところで近江の進化が垣間見える。試合中の積極的な声掛けだ。昨季まで在籍したベテラン選手たちが抜け、年齢的にも上の世代になったことに加え、「声に出すということは自分自身も確認できるし、相手にとっても発した声がプレッシャーにもなることがある」との考えから、練習中や試合中のポイント間に意識的に声を出すようにしているという。前向きな声はチームが苦しいときに仲間を安心させ、相手に自分たちの苦しさを悟らせない効果もある。精神面や心理面が大きく影響するバレーボールでは、そうした些細なことが勝敗を左右することが少なくない。
 今季ベストマッチと言える久光製薬戦を終え、チームメイトと喜びを分ち合った近江だが、すぐに視線を次なる戦いに向けていた。
「まだV・ファイナルステージ進出は確定ではありません。最後まで気を抜かず、何位通過になるかでポイントも変わってくるので、どんな相手に対しても攻める気持ちを忘れないようにしながら、少しでも上の順位を目指してやっていきたいです」
 精神的な支柱として近江の存在の大きさが、試合を重ねるたびに大きくなっている。
(取材・文:小野哲史)

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