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レッドロケッツ応援記 ~3/21 対久光製薬スプリングス戦  リズムをつかめないままストレートで敗れ、2位でファイナル3へ~

  info_category1.gif2015/03/21



 前節終了時点でファイナル6における2位以内を確定させていたレッドロケッツ。次週28日のファイナル3を飛び越し、一気にファイナル(優勝決定戦)進出を決めるには、この日の久光製薬スプリングス戦に勝利し、かつ、その久光製薬が翌22日にも敗れなければならない。ファイナル6の首位争いは圧倒的に女王に有利な状況にあった。ただ、仮にレッドロケッツが2位通過であっても、ファイナル3を勝ち抜けば、ファイナルの舞台で再び久光製薬とあいまみえることになる。その意味では、少なくとも相手に「NECとは戦いにくい」という印象を植えつけておきたかった。
 しかし、結果から言えば、20-25、18-25、20-25と、ストレートでの完敗。試合直後の島村は「(何が敗因だったのか)整理ができません」と語り、近江は「レギュラーラウンドの3レグでは良い形で勝っていたからこそ、今回は相手も何かしてくるはず。簡単には勝たせてくれないと思っていた」と振り返った。レギュラーラウンド終盤やファイナルラウンドの大事な試合で見せてきた気迫や粘り強さは、この一戦では影を潜めたと言わざるを得ない。前回の対戦で与えたはずの「NECは戦いにくい」というイメージを払しょくされてしまった可能性すらある。白垣は悔しさを滲ませながら言った。
「サーブで攻めて、相手にAパスの状況を作らせない狙いでしたが、それができなかった。個人的にもまったく自分の持ち味を出せなかったので、情けない気持ちでいっぱいです」


 
 第1セットの中盤あたりまでのレッドロケッツは決して悪くなかった。島村のブロード攻撃や山口のツーアタック、柳田のスパイクと攻撃のバリエーションが豊富だったことに加え、大野のブロックや島村の好守から相手のスパイクミスを誘うなど、守備面でもレッドロケッツらしさが随所に見られた。しかし、13-10を13-16とされたあたりから、試合の流れは相手に傾いていく。流れを変えるべく、秋山、鳥越、古賀が次々と投入され、秋山の好レシーブを鳥越がバックトスでつなぎ、古賀が切れ味鋭いスパイクを決める場面もあったが、開いていた点差は縮まらないままだった。
「後手、後手の受け身の展開になってしまいました。我々の強みであるサーブレシーブやディグといった崩れてはいけない部分で、うまく機能せず、オフェンスでも相手に対応されてしまい、苦しい状況を打開できませんでした」
 試合後、山田監督がそう語ったように、自分たちが本来やりたかったプレーを久光製薬にやられてしまった印象だ。結果として連続失点が目立った。第2セットも2-2から5連続、その後、古賀の得点や大野の一人時間差攻撃、柳田がサーブで崩したところを近江がダイレクトで決めるなど、17-18まで迫ったにもかかわらず、そこから6連続で得点を許し、あっさりとセットを失った。
2セットをリードしたことで、さらに勢いを増した久光製薬の前に、第3セットもいきなり3点を先行される。それでもレッドロケッツはリベロ岩崎の身体を張った守備から大野が決めて、4-5。「先輩たちがカバーしてくれるので、とにかく思い切りやることだけを心掛けた」という古賀は技ありのスパイクをネット際に落とし、山口に代わって入っていた秋山のブロックで、ついに10-10に追いついた。古賀はこの日、第1セットの途中から10得点を挙げる活躍を見せ、山田監督も「なかなかチームのオフェンスが機能しない中、個人技でポイントを取ってくれて助かりました」と高評価。しかし、チームは同点にして以降が抜け出せず、逆に相手に走られてしまう。ウォームアップエリアでは控え選手たちが「行ける!行ける!」と声を枯らせて仲間を鼓舞したが、攻守において終始、安定していた久光製薬の牙城を切り崩すことはできなかった。


 
 鹿児島アリーナでの試合ということで、鹿児島県出身の鳥越はとくに気合いが入っていた。3セットともにリードされている場面でコートに送り込まれたが、自身は「地元ということでいつも以上に緊張して、自分のプレーができませんでした。チームが苦しい時にムードを変えるのが役目だったのに…」と唇を噛んだ。すべての選手が敗戦を悔しがり、反省を口にし、肩を落としたが、その一方で、誰もが「まだ終わりではない。このままじゃ終われない」と強く感じている。反省の弁の次に出てくる言葉は、みな前向きなものばかりだった。
「今日できなかったことを、次はこうしていこうと、みんなで話し合って、また久光製薬と決勝で対戦できるように取り組んでいきたい」(近江)
「久光製薬とは次は決勝で当たるわけだから、この負けをどう生かすかが大切」(島村)
「久光さんのような強い相手には、もうワンランク、レベルを上げて取り組まないといけません。選手たちが今日越えられなかったところを、ファイナルでは越えてくれると信じています」(山田監督)
 もちろん、その前にはファイナル3という大一番が待っている。相手はレギュラーラウンド4位ながらファイナル6で3位と一つ順位を上げた上尾メディックス。今季、レッドロケッツとは2勝2敗と互角の戦績を残しており、決して侮ることはできない。いま一度、〝心〟を一つにし、全員の力を結集させてファイナルへの切符をつかみ取ってほしい。


 



~すべてはレッドロケッツを優勝させるために~

 今季は、近江、岩崎とともに全試合スタメン出場を果たし、ここまで力強くチームを引っ張ってきた。山田監督は選手全員に、自分が軸になることを求めてきたが、その中でも島村は、とくに替えがきかない選手の一人と言っていいだろう。高い得点力やサーブ、ブロックでの安定感といったプレー面はもちろん、故障による離脱や調子を落として試合に出られないということが、まずない。それは一流アスリートの何よりの証である。
 そんな島村も「今季が始まるまでは先輩たちが抜けて不安があった」と言うが、その不安こそがチームを、そして島村自身を着実に成長させてきた。
「みんなが今のままじゃダメだ、もっとうまくならないと、という強い思いで自分の役割を考えながら試合に挑んできました。それが、ここまでの成績に表れているのかなと思います」
 レギュラーラウンドとファイナル6の成績を合わせると、今季のレッドロケッツは16勝10敗で、たとえば2シーズン前のレギュラーラウンド(23勝5敗)より勝率は悪い。それでも島村は、負けた後の対応の仕方にチームの変化を感じている。
「昨季までは負けた直後の更衣室は沈んだ雰囲気になることが多かったんです。でも、今季はみんながすぐに切り替えて、次を向いている。負けて悔しい、それで終わりじゃ得るものがありませんから」
 この日もそうだった。久光製薬を相手にほとんど持ち味を発揮できないまま敗れたが、「今の試合はこういう感じだったから、次にやる時はこういうふうにやっていこうと、当たり前のように話が出ていた」ことを明かした。ファイナル3をきっちり勝ち、再び久光製薬と戦える権利を得られたら、「きっと燃える」と、今から再戦を楽しみにしているようにも見える。
ところで島村は、全日本チームについてどんな思いを抱いているのだろうか。夢や憧れはあるのか。「今はNECで優勝することしか考えていません。NECで頼られる選手でありたいですし、その結果、チャンスが出てくればいいかなと」
 島村は今、レッドロケッツにすべてを注ぐことしか考えていない。
(取材・文:小野哲史)

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