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レッドロケッツ応援記 ~4/12 対IBK企業銀行アルトス戦  V制覇でつかんだ自信で韓国王者にストレートの快勝!~

  info_category1.gif2015/04/13



 10シーズンぶりの歓喜に沸いたファイナルから8日、レッドロケッツの選手たちは韓国・ソウルの奨忠(ジャンチュン)体育館のコートに立っていた。日本と韓国のトップリーグチャンピオン同士が対戦する「日韓V.LEAGUE TOP MATCH」に日本代表チームとして出場するためだ。あの久光製薬スプリングスとの激戦を終え、ある種の達成感を得た選手たちにモチベーションの低下が起こっても不思議ではない。しかし、山口はそれをきっぱりと否定した。
「日本代表のチームとして戦える。こういうチャンスをもらえることは少ない。チームとして、リーグの時と同じように気持ちを作っていこうという話はしていました。誰も気が緩んだりすることはなく、今日の試合を迎えることができたと思います」
 たしかに年代別の代表チームを含め、ナショナルチームの一員として国際大会に出場したことのある選手は何人もいるが、レッドロケッツというクラブとして国際試合を戦う機会は、もうここ何年もなかった。やるからには意味のあるものにしたい。山口の言葉通り、高いモチベーションで臨んだレッドロケッツは、大野の連続得点で4-0と好スタートを切ると、第1セット25-13、第2セット25-14と、韓国王者のIBK企業銀行アルトスを圧倒する。



 この試合、一つのポイントはボールにあった。使用されたボールは韓国製。日本国内で普段使われているものと比べると、「少し軽くて、力を入れすぎてしまうとボールが飛んでしまう。力の加減が難しかった」と柳田は言う。サーブも微妙に変化するため、岩崎も「サーブレシーブはできるだけ脚を使って身体の正面に入り、いつも以上に基本に忠実にプレーすることを意識しました」と語っていた。ただ、この試合の出場が決まった直後から日本で準備してきたレッドロケッツは、慣れないボールにも混乱をきたすことはなかった。相手の攻撃にはブロックとレシーブの良い連係で対応し、攻撃に転じれば、アタッカー陣が高い決定率で得点を重ね、またたく間にリードを広げていく。IBK企業銀行は正セッターを負傷で欠いていたとは言え、それを差し引いてもレッドロケッツのバレーの完成度は高く、ピンチらしいピンチはほとんど見られなかった。
「自分たちのポイントで静まりかえる、完全アウェーの雰囲気が好きです」と言っていたのは島村だ。会場の9割以上を占める韓国人応援団は当初、独特なリズムでおおいに盛り上がっていたが、レッドロケッツの洗練されたプレーを目の当たりにし、応援の迫力も次第にトーンダウンしていったようだった。



 それでも、IBK企業銀行にも韓国王者としての意地が、さらには大観衆の前で簡単には負けられないという思いがあったに違いない。第3セットは互いに譲らない激しい点の取り合いとなった。レッドロケッツは5-6から島村のブロード攻撃や白垣のスパイクで4連続得点を挙げて突き放しにかかるも、11-8からの4連続失点で逆転を許す。ロンドン五輪でベストスパイカーを獲得したアメリカ代表のフッカーや、山田監督が「ミドルだけでなく、状況に応じてレフトからでもライトからでも打てる素晴らしい選手だった」と評したキム・ヒジンら、IBK企業銀行自慢の攻撃陣に手を焼く場面が増えていく。しかし、レッドロケッツも途中交代で入った古賀の2本のスパイクなどで主導権は渡さず、23-23という終盤の勝負所では近江の好レシーブから再び古賀のスパイク。マッチポイントはフッカーの強打を島村が見事なブロックで仕留め、レッドロケッツがストレートで勝利を収めた。
 スタメンのアタッカーは、柳田の17得点を筆頭に、島村が12点、近江が11点、白垣が10点、大野が8点をマーク。セットの途中で投入された鳥越、秋山、佐川、古賀もしっかりと役割を果たし、V・プレミアリーグでも見せてきたチーム力をこの日もいかんなく発揮した。そして、この日のMVPはファイナルラウンド以降、目覚ましい活躍が光り続けている柳田が受賞。ナショナルチームで戦う国際大会と違い、「(チームメイトが)普段から一緒に練習している分、つながりや絆を感じながら、楽しくプレーできました」と笑顔が弾けた。



 試合後の会見で、韓国人記者が山田監督にぶつけた質問が印象的だった。
「私たちは、今日のNECのバレーを見て、とても驚きました。動きが速いことに加えて、各選手がきちんとセットになっていました。そういうバレーの源はどこにあるのか?」
 レッドロケッツは、Vプレミアリーグで見せてきたいつもの全員バレーを披露したに過ぎなかったが、それは多くの韓国人の目には鮮烈に映ったのだろう。山田監督はその質問に丁寧に応えた後、最後に「恐縮ですが」と断った上で、こうつけ加えた。
「ナショナルチームに入っている日本人選手は海外でも名前が知られていると思いますが、ナショナルチームに入っていない、あるいは体格的に小さくても良いプレイヤーがいるんだぞということを、韓国のみなさんにどうしても見せたかったのです」
 レッドロケッツが韓国のチャンピオンチームに快勝したことは誇らしい限りである。しかし、それ以上に、初めての体育館や慣れないボール、周りを取り囲む相手チームの大応援団という難しい試合を、チームとして経験できたことが何よりも喜ばしい。レッドロケッツに、また一つ、大きな財産が加わった。
(取材・文:小野哲史)



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