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2020/08/11

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金子隆行監督インタビュー 「プレーも姿勢も“攻める”。覚悟を持って攻めて勝つ!」

 新体制のスタートと共に選手・スタッフを取材した連載インタビュー企画、最終回はチームを指揮して3年目に突入する金子監督に話を聞いた。
 昨シーズンなぜ勝てなかったのか、上位チームとの力の差はどこにあったのか、成熟が求められる就任3シーズン目のチームに迫る。


最重要課題は攻撃参加の意識を高めること

――昨シーズンは8位。まずこの結果をどう受け止めているのか、そしてそれを踏まえて今シーズンはどんなことを課題として取り組んでいるのでしょうか?
単純に順位を見たら8位、入替戦へ回る結果です。当然ながら満足できるものではありません。数字をトータルで見るとディフェンス面はリーグでも上のほうに位置付けていましたが、オフェンス面で劣っていたので勝ち切れなかった。今シーズンはオフェンス面に力を注いでいます。

――上位のチームと比べて差は感じましたか?
負け惜しみに聞こえるかもしれませんが、僕自身はそんなに勝てないチームだと思いませんでしたし、差もそれほど感じていません。(山田)二千華や(曽我)啓菜が捻挫をして試合に出られなかったり、ケガに泣かされ、歯車がかみ合わなかったのも一因でした。ケガをさせない身体の使い方や身体づくりを徹底すれば、技術の差はないと思っているので、やるべきことが普通にできればトップ3に入る実力はあると思います。むしろ昨シーズンに関してはメンタル面で弱さも出た。中盤まではよかったけれど、負けが続いたところから耐えられるタフさがなかった。1本の結果に左右されてしまったり、ただ一生懸命プレーすることしかできなかった、というのは全体をうまくコントロールできなかった監督である僕のミスです。選手からすれば、一生懸命やってくれているけれど結果が出ない。どうにかスイッチを入れようと練習でも喝を入れ続けたのですが、それが逆効果だったのかもしれないし、足りなかったのかもしれない。そこは後悔が残る面でもあります。その反省を活かして、今季は身体づくりに重点を置くことと、オフェンス面を強化する。取り組むべきことを明確にすることが大切だと思っています。



――オフェンス面について。課題としては個々の技量が不足していたのか、組織的に機能しなかったのか。昨シーズンのオフェンス成績はどうとらえていますか?
個々の技量でしょう。ラグビーのONE FOR ALL,ALL FOR ONEという言葉もチームの前に1人、個が先に来る。チームとしてのオフェンス戦術の前に、自分がオフェンスで引っ張ろうという個々の意識が薄かったのかもしれません。技術面だけでなく、オフェンスへの参加意識という面で人任せになっていたというのが大きな反省点です。たとえば優勝したJTを見れば、オフェンスの意識は高かったし、特に誰がというのではなく、全員の参加意識が高かった。その差が上位に進めなかった自分たちとの差であり、課題だととらえています。

――オフェンスの重要性に関しては、金子監督が就任当初から課題に掲げていました。3シーズン目を迎え、特に強化しているのはどんなところでしょうか。
OGの佐藤伊知子さんがいた頃はサイドアウト制で、ブロックにワンタッチさせたリバウンドボールも1本に数えられる時代だったので、より少ない本数、助走でスパイクまで持って行かなければならなかったので、個々のアプローチ技術が高く、なおかつ一歩助走でも決定打にできる選手、打ちきれる力がありました。当時とはバレーボール自体が異なりますが、今はそれほどのボールコントロール技術は高くない状況で、でも個々のオフェンス技術は高めたい。ボールコントロールばかりに目を向けていたらダメだと理解していても、どうしてもそちらに意識が向き、実際のオフェンス技術まで回らなかったのはこの2年間の反省でもあります。たとえばセッターも、なかなかいいパスが返らないと思い通りの展開で攻撃を組み立てられない。そう思うのも当然ではありますが、そこに甘えもあったと思います。だから今シーズンはパスが乱れてもいかにセッターの運動量でカバーするか。オーバーセットできる位置まで走って、そこからセットしてコンビを組む。アタッカーもどんな状況からでも攻撃に入る準備をする。そこを徹底してやっていこう、というのはかなり強く言い続けています。今まではボールコントロールに時間を割いてきましたが、何のためにボールコントロールするのかといえば、オフェンスの決定率を上げるため。ただ何となく練習するのではなく、1つ1つの意味を伝えて、取り組むことのほうが大切で、効果もあると感じていますし、選手たちも一生懸命練習に取り組んでいる。オフェンスを極めて本当に日本一になる、という意識が高まって来たと思います。

※試合中もジェスチャーを加え、細かい指示を与えていく



――自分たちがどういうバレーをしたいか。「しなきゃいけない」ではなく「したい」バレーを追求し、コンセプトが明確なチームが強い印象は確かにあります。
その通りです。そして追求するためには細かく言い続けるのも大切ですね。たとえばオフェンス時、ここのスペースが空いているけれど打てる技術がない。だったら練習しようよ、と言い続けて、取り組んで、これができればゲームを支配できるという意識を持たせる。でも実際にゲーム形式の練習をした時にそのスペースに打たなかったら、その都度止めて「何で今こっちに打ったの?」と確認します。やってできないのは練習すればいいですが、やらないのはダメ。だから「何で打てないんだ?」とは言わず「何でここに打たなかったの?」と聞くし、練習の中ではいくら失敗してもいいからトライしてみよう、むしろトライしない方が嫌だよ、というのは言い続けますね。その答えが僕の考えと違っていたとしても「私はこうしたかったからここに打ちました」と言えば僕も納得できるし、そのやり取り、コミュニケーションを取って行こう、というのは選手にも伝えてきました。

 

今は「毎日ものすごく疲れる」充実の監督3シーズン目
 

――今シーズンは例年と異なり、全体練習ができない期間や、対外試合ができないなど、チームづくりのうえで難しさもあると思います。なかなか先を組み立てにくい状況の中で、金子監督はここからどんなプランニングを描いていますか?
まだまだ十分時間はあると思います。試合はできませんが、体育館で練習できる状況ではあるので、1つずつ丁寧にやっていければいいと思いますし、むしろ課題に対しても集中して取り組めるとプラスに考えています。第一優先はコロナウイルスに感染しないよう免疫力が下がらないように、密にならないようにというのは一番ですが、その状況でも個の力を高めることはできるので、それほど心配はしていません。

※今でも感染予防の対策はチーム全員で徹底している



――全体練習ができず、各自個別で自主練習の期間はどんなふうにコミュニケーションを取り、チームとしてコントロールしていましたか?
身体づくりに関してはきちんとメニューを出してもらって、少しずつ人数を増やして練習ができるようになってからも走る時間を多めに取り、ラグビーのパスをやらせてみたり、トライと同様にボールを床につけたら1点、阻止したら1点、など遊びの要素もある中に頭を使うことも取り入れていました(※注)。考える、分析するということも大切だと思いましたので、全体練習ができない期間は選手にVリーグ男子のトップ5のチームの分析、勝つために見習いたいアスリートの研究を課題として出しました。選手だけでなく僕もアテネ五輪のブラジル男子の映像を見て、分析、研究をして攻撃参加の意識を選手に伝える。具体的なイメージのもとで「レシーブをしてからもオフェンスに入れば枚数が増えるし、決定の確率も上がる」と話をしたのですが、選手たちの反応もこれまで以上によかったですね。自分自身で考える、イメージする意識は高まっていると思います。

(※注)公式Twitterで公開されたユニークなトレーニング。画像をクリックして練習をご覧になれます

※《ルール解説①》
ルールは簡単。ネット越しにオフェンス3人とディフェンス3人に分かれており、オフェンスはボールをパスしながら、ボールを持った人間が中央の白線(黄色点線)を踏めば得点となる。



※《ルール解説②》
ディフェンスはボールホルダーに白線を踏まれる前に脚にタッチすれば防御できる。




――今季で監督3シーズン目、これまでの2シーズンと比べて金子監督自信の中でも違いはありますか?
毎年違いはありますが、昨シーズンの順位が順位ですので、これまで以上に一新しなければならないという気持ちは強くあります。ディフェンスはできても勝てなかったということは、相手に得点されないけれど、自分たちが得点できていないということ。理由は明確なのでオフェンスを重視して取り組もう、と言い続けてきましたし、その力さえ身につけられれば確実に上位へ食い込む力はある。啓菜は「クビアクみたいになりたい」、紗理那は「ガビのようにスロットを変えてバックアタックに入りたい」と言うようになりましたし、僕はどんどんチャレンジしてほしいと思っています。特にバックアタックに対する意識は高めたいので、打ったらおしまいではなく、打った後、次の動きまで徹底する。ハードワークを要求していますし、実際かなりしんどいと思います。でもそこに耐えられる身体がつくれれば、自由度も上がる。できることはいっぱいあると思います。

※昨シーズン加入1年目から主力メンバーの一人として成長を遂げる曽我啓菜選手(中央)


――求める以上は責任もあるし、結果も出さないといけない。監督としても当然同じように結果が問われるシーズンでもあります。
その通りです。でも僕はたとえいつ終わったとしても、2年後、3年後でもいいから、あの時やったことが今生きている、というものを残したい。もちろん結果を出すことが一番の目的ですが、変化していく過程に大切なものを残したいですね。そのためにも徹底的にやるべきことはやる、と覚悟も定まって練習にも力を注げているので、今は毎日ものすごく疲れます(笑)。でも気遣いをして疲れるのではなく、力を使い果たして疲れるのでいい疲れですね。もちろん評価するのは自分ではないので、試合はもちろんですが、チームのフロントの方々にも今どんなことに取り組んでいるのか。練習も見ていただきたいです。
 

変化を恐れずチャレンジを
 

――「見せる」意識に対して。今季はここまで試合もなく、イベントなども限られる分、露出の機会は減ります。その中でどう魅力を発信すべきだと思いますか。
チームとしてSNSを使って積極的に情報発信をしていて、その中で練習中の動画や写真も上げていますが、それに対しても僕はありだと思います。見ている方には練習見学をしている気分になってほしいし、選手が一生懸命頑張っている姿を見て勇気が出る人もいるかもしれない。積極的に取り組むべきだと思います。

※監督自身も「スゴ技チャレンジ」で選手顔負けの技術を披露

――これまでは会社に向けた情報発信が主だったかもしれませんが、これからは地域や広い社会に向けての情報発信も必要になります。
たとえば成績が芳しくない時に、会社としては存続が厳しいと判断する。その時に支えていただける力があるか、ということですよね。僕がブルーロケッツで経験したのはまさにその状況でしたが、同じ轍を踏んだ、経験者が現場とフロントに3人(中村GM、中西TD)いるのは大きい。どんなことがあっても同じことを繰り返すわけにはいかない、だから僕は強化に努めますし、フロントとの風通しもよく、チームとしての風の回りはとてもいいと思います。地域に向けてもそうですが、企業スポーツである以上はやはり社員のモチベーションであるべきで、レッドロケッツが頑張っているから頑張ろう、レッドロケッツのために営業成績を上げよう、と思ってくれる人たちのためにも僕たちは勝つことが求められると思うので、すべての頑張りがつながることを信じて取り組んでいきたいです。

――もっと魅力的な愛されるチーム、クラブになるためには?
簡単に言うならば、リスクを気にしないことだと思います。今までの練習法がこうだったからこうしなきゃいけない、ではなくて、今年はこういう方法で行く、うまくいかなければ変えるけれどまずはこうする、と常識じゃないこともチャレンジする。今の時代、もはや今までの常識は常識ではなくなったので、誰もやっていないことにチャレンジして、変化を恐れない。そういうことが求められるのではないかと思います。コロナ禍でVリーグを行うことに対しても賛否あると思いますが、スポーツ、バレーボールが開催されることで元気になる方もいると思うので、我々は10月17日の開幕に向けてチャレンジするのみだと思っています。

※新任の岡本コーチの誕生日をお祝いする選手たち。チームの雰囲気の良さはSNSを通しても伺える


 


果たすべき役割は「バレーの魅力を伝えること」
 

――今季は観客数も制限され、状況次第では無観客も想定されます。今までとは異なる状況で戦うことに関してはどうとらえていますか。
感染状況を考えればどんな決定も仕方ないと思いますが、僕の個人的な思いとしては、たとえ10人、20人でもいいから観客は入れてほしい。選手のモチベーションが上がるのもそうですが、誰かに見られている中で力を発揮することが重要だからです。できない理由や、やらない理由もあるかもしれませんが、お客さんに見てもらう中でバレーをするということを大前提にやっていくことが大切だと思います。

――たとえ今年は状況によって無観客になるとしても、来年以降、リーグとして発展するためにはその場しのぎではなく今やるべきこともある。バレーボール人気、認知度を高めるためにどんなことができると思いますか?
日本バレー独自のものを考えてほしいですね。密になるから体育館は危険だ、観客は入れられない、と安易に考えるのではなく、たとえばとどろきアリーナの試合を隣のスタジアムにお客さんを入れて、屋外で見られるようにしたり工夫はいくらでもできる。バレー界も事業化やプロ化を見据えてファンの新規開拓ばかりが取り上げられますが、僕は逆に今までずっとバレー界を支えてくれたファンがいるわけだから、その人たちに何ができるかだと思うんです。新規のファンを獲得するのも大事なことですが、何十年と応援してきてくれた人もいて、その人たちに今何ができるか。現地に足を運んで試合を見に来続けてくれて、それを生きがいにしている人たちに何かしてあげたいという気持ちが強いです。

※HGではファンと一体となれるイベント・演出を積極的に取り入れている



――同じバレーボールでも大会が中止になった小中高生や大学生、満足行く環境でできない選手もたくさんいます。その中で開催されるVリーグにはこれまでとは違う責任、役割もあるのではないでしょうか。
たとえリモートでも見てくれた方から「やっぱりバレーっていいよね」と思われる試合をしなければいけないですよね。試合がなくなってしまった選手たちの思いを背負うなどおこがましい。我々はトップリーグで戦う以上、バレーボールは素晴らしいものだと思わせるようなプレーを見せること、それに尽きると思います。もしも高校最後の試合がなくなって、もうバレーを辞めようと思っていた選手が、たまたまVリーグ、レッドロケッツを見て島村(春世)はすごい、古賀はすごいと思って、自分も諦めなければいつかこの人たちとバレーができるかもしれないから、もう少し頑張ろう、と思うかもしれない。その責任や役割があるので、そういう意味でも今年のトップカテゴリーのチームは生半可な覚悟では臨めない。そのためにも、バレーを極めなければならないと思っています。同時に、僕らが今とても残念な思いをしている中学生や高校生に向けてできることもあると思うし、実際に国体へ出場予定だった神奈川選抜のチームと練習試合をしてYouTubeで配信するとか、いろいろな方法もあるはずです。今年しかできないことが絶対あるはずなので、実際中学生や高校生は何がしたいか、何をしてほしいか。アンケートを取って、僕らができることはどんどん積極的にやりたいですね。

※例年はシーズン開幕前に川崎市内の学生を中心に「バレーボール教室」を実施


――オフェンス面に力を入れるという課題同様「攻める」チームになるということですね。
そうです。実際だいぶ変わってきたという実感もあります。今までは守られた狭い環境だけで行動する印象も強かったですが、今はいろいろな業務もマネージャー任せではなく、基本的に自分でやる。自立してほしいし、自分で考えて自分でできる人になってほしいと伝えています。試合時の練習環境も特別にすることが当たり前ではなく、与えられた環境の中でやりきる。コロナウイルスと戦う今は、いかにウイルスと共存しながら変わるべきことは変われるか。逆にウイルスから「変わりなさい」と教えられているんだと思うし、スポーツ界、バレーボール界も変わるなら今だと思います。

――新しい一歩。これをお見せします、という決意表明をお願いします。
アグレッシブに攻め勝つ。そういうバレーを見せられると思うし、ひるまないことがコロナウイルスに対するメッセージにもつながると思います。パスをして転んで終わり、ではなく、転んでもすぐ起き上がり、何度でも攻める。そんなアグレッシブさを高めるべく、意識改革をしっかり行い、攻めて勝つ。強いチームになって優勝すること。それが最終目標です。

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デンソーエアリービーズ

2020/12/05 13:00

とどろきアリーナ

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